そんな「やる気」をさらに引き出し、みなさんの頑張りを応援するために、「初恋の味」のキャッチフレーズや「甘ずっぱい青春」をテーマに、コミュニケーションを展開している「カルピス」ブランドが始めた企画「ゲンエキインタビュー」。
今回は、自転車でアクロバティックな技を繰り出す競技「サイクルフィギュア」において、現在6年連続で世界選手権に出場している佐藤凪沙さん(京都産業大学・3回生)にインタビューしました。
取材・構成:宮崎祐貴・織田上総介
サイクルフィギュアとは?
━━佐藤さんが現在活躍しているサイクルフィギュアについて、どのようなスポーツなのか教えてください。佐藤凪沙(以下、佐藤) わかりやすく言うと、自転車版のフィギュアスケートみたいな競技です。
基本的には自転車に乗り、円を描きながら走行・演技をしています。走行中に繰り出す技は何百種類とあるのですが、その技を自分で練習し、約30種類の技を組み合わせて一つのプログラムをつくります。
演技時間は5分間で、ウィリー走行や自転車の上に立ったり……レベルの高い人だと逆立ちなどもします。そこから技の出来栄えによって減点方式で採点され、得点を競っていく競技です。
━━減点方式とのことですが、最大点数は何点でしょうか?
佐藤 技の一つひとつに得点があり、Aという技が成功したら2点とかBという技だと3.5点となるので、最大の点数は人それぞれです。
そのため、ハイレベルな技をプログラムの中に多く入れると、最大の持ち点は高くなりますが、落車したり、失敗したりするとその分大きく減点されてしまいます。
━━世界チャンピオンになると最高何点ぐらいのプログラムになるのですか?
佐藤 世界チャンピオンは200点以上です。私のプログラムでは100点を超えるくらいなので、世界チャンピオンにはまだまだですね。
━━そうなんですね。サイクルフィギュアにおいて強豪国というのはどこですか?
佐藤 ドイツを筆頭にオーストリア、スイスなどのヨーロッパ圏で盛んであり、強い国が多いです。アジアでは、香港やマカオ、マレーシアですね。
ドイツとは、毎年9月に合同練習を行っていて。私も何度か参加しているのですが、日本人プレイヤーだと競技のマイナー性から大学の部活として始める人がほとんどである一方、ドイツでは地域ごとにクラブがあり、小さい頃から育成されているので、大人になったときには大きな差が生まれているなと感じています。
日本には滋賀県など限られたところにしかサイクルフィギュアのスポーツクラブがないのですが、やはり小さい頃から取り組む環境があった方がいいので、ドイツとの交流をきっかけにそうした動きが国内にもどんどん広まっていくといいですね。
サイクルフィギュアよりバレーボールに心惹かれた中学時代
━━そもそもサイクルフィギュアを始めたのはいつからなんですか?佐藤 小学校3年生からですね。「小さい頃から育てていかないとダメだ」と父がずっと言っていて、一番身近にいた私が……(笑)。
それで、滋賀県のクラブに連れていってもらい、サイクルフィギュアを始めたのがきっかけです。私は京都だったんですが、滋賀のスポーツクラブには毎週通っていました。
━━それからずっとサイクルフィギュアに打ち込んでいるんですか?
佐藤 中学生になるとバレーボール部に入ってしまい、むしろ普段はそっちを頑張っていました(笑)。
サイクルフィギュアは個人のスポーツであり、バレーボールは団体スポーツで、楽しくて、どんどん惹かれていきました。
そうなると、どうしても京都から滋賀まで行くのがしんどくなってしまって、中学の3年間はほぼバレーボールだけをやっていました。
高校生になると、学校から体育館を貸していただけることになったので、そこから父と私の2人でサイクルフィギュアの練習を始めました。
━━ずっとお父様と二人三脚なのですか?
佐藤 最初の頃は、濱田美穂子さんというコーチがいたのですが、その方はドイツに行ってしまって……。それで父と二人で練習するようになりました。
━━なるほど。コーチをしているお父様がサイクルフィギュアに出会ったきっかけは?
佐藤 父は大学生の頃にサイクルサッカーを始めて、そこから自転車競技に関連する活動をしていく中でサイクルフィギュアにも関わるようになりました。
「言われてやる」から「自らやる」ことで芽生えた「本気」
━━今はこうしてサイクルフィギュアに打ち込んでいる佐藤さんですが、この競技をやろうと思った決め手は何だったのでしょうか?佐藤 始めた頃は小学生だったので、父に言われるがままに自転車に乗っていました(笑)。その頃は遊び半分でサイクルフィギュアをやりつつ、余った時間でドッジボールをしたりしていました。
正直「サイクルフィギュアを辞めたい」と思う時期もあったのですが、ただ、そんな時でも父はすごく熱心に教えようとしてくれて……それで「サイクルフィギュアをちゃんとやらなければ」と思い、この道を進むことにしました。
また、父の思いや情熱に応えることもそうなのですが、体育館を利用させてもらえる回数が増えるなど、練習環境が整ったことも大きな理由です。
それまで遊び半分な気持ちであったり、週に1回の練習で上達するスピードが遅かったのですが、意識を変えたこと、週2回、3回と練習回数が増えたことで上達スピードが早くなりました。
そうなると、自然とサイクルフィギュアが楽しく感じるようになり、高校生からはもっと頑張ろうと思うようになりました。
━━ただ、大学生になると飲み会や遊びなどいろいろな誘惑があると思います。そうした誘惑とどのように付き合っているのでしょうか?
佐藤 基本的に自分で体育館の予約をしているので、体育館が取れたら練習の予定を入れて、その他の予定は絶対に入れないようにしています。やりたいことや誘惑は、練習以外の時間に済ませるようにしています。
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佐藤凪沙
サイクルフィギュア選手
2015年現在、京都産業大学の3回生(21歳)でありながら、自転車を使って制限時間内により難度の高い課題を、いかに正確に行えるかを競う室内自転車競技「サイクルフィギュア」で世界選手権に6年連続で出場している。
2015年11月20から22日まで、マレーシアで開催される世界選手権「UCI Indoor Cycling World Championships 2015」にも出場予定。
連載
全9回まで展開したカルピスの「ゲンエキインタビュー」では、様々なジャンルで活躍する現役の方々をゲストに、ロングインタビューを敢行。 声優の内田真礼さん、諏訪部順一さん、水瀬いのりさん、Pileさん、アニソンを中心に活動する歌手のLiSAさん、プロ棋士の橋本崇載さん、ラテアーティストの松野浩平さん、サイクルフィギュアの佐藤凪沙さん、プロレスラーの丸藤正道さんにご出演いただきました。 それぞれの来歴や仕事への意識、そして他ではなかなか聞けなかったら青春や初恋についてのぶっちゃけトークまで、カルピスを飲みながら赤裸々にお話いただきました!
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