中原中也賞詩人・最果タヒ、「詩ューティング」ゲームを公開

中原中也賞詩人・最果タヒ、「詩ューティング」ゲームを公開
中原中也賞詩人・最果タヒ、「詩ューティング」ゲームを公開

最果タヒさん「詩ューティング」のスクリーンショット

2013年11月16日(土)、第13回中原中也賞を受賞した女性詩人の最果タヒさんが、自身のWebサイト上に「詩ューティング」と題された、詩の言葉を利用したブラウザゲームをリリースした。

詩人、最果タヒとは

第13回中原中也賞受賞作『グッドモーニング』

最果タヒさんは、インターネット上から活動を開始した詩人。2004年に、ネット上に自作の詩を発表することを始め、2005年より歴史ある現代詩専門月刊誌『現代詩手帖』への投稿をスタート。そのビビットかつ叙情的な作風が評価され、2006年に第44回現代詩手帖賞を受賞し、脚光を浴びる。

2008年には、前年に思潮社から刊行された詩集『グッドモーニング』で、当時女性最年少の21歳で第13回中原中也賞受賞。翌年から、『別冊少年マガジン』で、漫画家の志村貴子さん、山本直樹さん、鬼頭莫宏さん、市川春子さん、萩尾望都さんや、美術作家の大槻香奈さんらの作品とコラボする連作『空が分裂する』を連載。

その他にもアートディレクターの大楠孝太朗さんとコラボし、書き下ろし作品「50億」に使用されている単語をGoogleのイメージ検索にかけ、検索結果画像をコラージュする「FRAGMENTAL IMAGE」というプロジェクトを行うなど、ジャンル越境的に活動し、現代詩の魅力をこれまでのファンとは違う層にまで届けてきた作り手だ。

「FRAGMENTAL IMAGE」により生成された「50億」のコラージュ作品

詩ューティングの遊び方

そんな最果タヒさんがリリースした、このブラウザシューティングゲーム「詩ューティング」の遊び方はいたって簡単。往年の「スペースインベーダー」のインベーダー部分が、最果さんの作品が織りなす言葉になっており、ステージ毎に異なる詩を自機の放つ弾で打ち消していくというものだ。

ゲーム制作エンジンであるenchant.jsを使用しており、マルチプラットフォームでのプレイを可能としているので、パソコンだけでなくタブレットやスマートフォンなど、環境に依存することなく遊ぶことができる。

登場するのは最果さんの過去作の一部を抜粋したもので、ゲームオーバーとなった際にはそのステージに登場する詩の作品名と共に「私はこの詩にやられました」というツイートをソーシャルボタンを利用して投稿することができる。最果さんはこのゲームについて、自身のブログにて以下のようなコメントを寄せている。

言葉を読む為には殺されなければならないし、生きるには読めないし。
なんてことも考えれますが、考えずに、楽しく遊んでくれたらいいんです。
そのうち新作も。そのうち。 ブログ「最果タヒ ノ 森山森子」より

打ち消されては消えていく言葉とのせめぎあいについて思索しながら遊ぶのもよし、ひたすらスコアアップを狙うのもよしなこのゲーム。改めて現代詩の自由度の高さと、最果さんのネット出身というキャリアのおもしろさを感じさせてくれる試みとなっている。
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