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「部屋の匂い」を感じる場にしたい Web音楽即売会「Apollo」座談会

ネットでポチるという感覚が当たり前の時代に

──ちなみにApollo開催の準備はどうですか?

AnitaSun 正直に申し上げると一ヶ月遅れくらいです……デモページも本当は9月中に公開予定だったんですけどね。

のりお 参加者の集まりとしてはすでに400以上のサークルさんにご登録いただいています。登録締切はまだ先なので、これからさらに増えると思います!

与作 まさか座談会中に「進捗どうですか?」が聞けるとは思わなかったよ!

AnitaSun Diverseさんはまだ登録されてないですよね?

与作 ちょっとM3の準備で俺がテンパってたので、まだ登録作業できてないです。ごめんね。でも参加予定なのでご心配なく!

AnitaSun 1サークルで3作品まで出品できるので、作品の数としては更に増えますよ。CDがあるものはBOOTHを通して自家発送・倉庫サービス経由での発送はもちろん、現物がないものでもダウンロード頒布が出来るようになっています。倉庫サービスを使えば、実際にはショップ委託とほぼ同じ手続きで頒布ができます。

のりお 倉庫発送サービスも宅配便のほか、メール便にも対応したので送料的にも使いやすくなっています。

──与作さんのところでは自家通販をされていますけど、こうした発送面で大変なことはありますか?

与作 うちでは宅急便ではなくて郵便の大口契約をつかってます。通販を始める頃、Twitterで「誰かいい配送方法知らない?」って聞いてみたら、郵便局勤めの友人が釣れちゃって。話通しておくからと言うのでそいつに任せてみたら、いきなりうちの住所を管轄してる郵便局の営業所から電話がかかってきてびっくりしました(笑)

一同 すげーー(笑)

与作 自分の知らないうちに他の業者と比べていることにされていて、おかげ様で送料をお得に収められたので、その分購入者への負担も少なくしています。

──海外からも注文があるそうですが。

与作 うちはPayPal決済にも対応しているんですが、これの良いところは海外からの入金にも対応出来ることで、1イベント毎に大体50件前後は海外からの注文がきますね。ただ海外向けには個別対応で発送しないといけないので、「国際eパケット」という郵便局のサービスで送っています。エアメールはたまに未達があるのでちょっと怖いんですよね……。

うちで取り扱っているCDだと、海外の音ゲーに収録されている作家の作品もあるので、そういうものだと韓国から結構多く注文が来るんです。その他に作品を知った理由が「どこから!?」って国からもたまに来ますね。イギリスは割とよくあるんだけど、この間はひょこっとイタリアから注文が来たね。同じヨーロッパでも、意外と注文を受ける国は偏ってる。

Diverse Direct通販ページ

AnitaSun 今日持ってきた自分のCD『Alice's Adventures in Wonderland』はbandcampにも現物の通販を置いているのですが、特に海外向けには全く宣伝を行っていないのに、それでも外国人が月2枚ずつくらい買っていくんですよね。

一同 へ〜〜

与作 うちも似たようなもので、宣伝しなくてもちょこちょこbandcampから1曲なりアルバム単位なりで捌けていくんです。多分、本当の意味で音楽に対して雑食な人が買っていくのかな。

きくお 自分もbandcampは気になっていて、やってみたいんですよね。今のところ扱っているのは同人ショップとAmazon、iTunesStoreだけなので。同人ショップでは通販と店舗販売が同じくらいずつ出てるみたいです。

AnitaSun 通販でそんなに数出るようになったんですね。5年くらい前の感覚だと通販での出荷数は3割いくかいかないかくらいの印象でした。

与作 みんなAmazonで通販慣れしたんじゃないかなぁという気がしています。それこそ5年以上前はネットでポチるということにすごく抵抗がある時期だったと思うんですよ。今はその意識がかなり薄くなってきたと思う。配送数が多くて宅配便がパンクしちゃうくらいだもんね。

Diverse Directも初期の頃、それこそ委託作品とかはなく自分の所のだけやってる時と比べたら、大体20倍ぐらいの規模になりました。もっとも20倍になっても自分一人でなんとかなったりならなかったりするぐらいの量なんですが…

AnitaSun そう言えばDiverseさんって、シーズンになると梱包の様子をたまにUSTで流してますよね。配信中に電話かけるとちゃんと画面の向こうで電話取ってくれるんですよ。(笑)

のりお BOOTHも倉庫にカメラ置いて「今発送してます!!」ってやりたいね。Webでの頒布だと対面で触れ合う機会がない分、手作業を感じる場面が少ないんです。画面越しでも人が動いてる様子が見えるのはいいなぁ。

AnitaSun 梱包の作業員もコスプレしてたりして。

与作 実は僕がサボらない為に配信してるんですよね、アレ。

音楽でつながるコミュニティ

 
のりお それにしても、やっぱり海外からの需要ってあるんですね。

与作 ありますね。日本にしかつくれないものというのがあるので、そこに注目している人がいるようで。

きくお 僕もそろそろ海外も視野に入れて活動しなきゃと思っているところで、bandcamp始めようとしたり、Facebookページの英語版も用意しているところです。

AnitaSun 海外の話をすると、向こうには向こうでコミュニティがあるんですよね。同人でも東方のこの辺と仲がいい人、ボカロのこの辺と仲がいい人、というつながりがあるように、あちらでもつながりを持っていないと、例えばbandcampなど、各サービス上にあるコミュニティの中に入りにくい面がやっぱりあるんです。

あちらは、みんなが音楽ブログをつくりあう文化が根付いているんですが、その音楽ブログや小さいレーベルを通じて、アーティスト同士がつながっていて、一緒につくったDJmixやらリミックスがいろんなところに点在しています。YouTubeでも1曲開くと、関連動画に同じ系統の曲がわあっと出てくるんですよね。

そこで名刺代わりとしてSonudCloudも活用されていて。SoundCloud単体では集客の動線としては弱いけど、音楽ブログ系や企業が運営している音楽メディアで、試聴ソースとしてエンベッドしてガンガン利用されますからね。

──日本の同人音楽だと、そういう横のつながりはどこにあるんでしょうね。

AnitaSun ボカロや東方でもその中でさらに細かく分かれているし。Twitterとかで細かく絡み合ってますよね。

与作 僕の周りの同人音楽だと、例えばHARDCORE TANO*C周りだったりとかDiverse周りだとか、それに音ゲー周り、ちょっとさかのぼると茶太さんとか片霧烈火さんのあたりだったりとか。集団をつくるって意味では結局全世界的にやってること自体は一緒ですよね。

集団に入らないなら入らないで、粛々と自分で曲をつくるしかない。

きくお ぼくは家が近いとかそういう理由で仲がいいのが2、3人いるくらいで、他のボカロPとつながり云々みたいなことがないので、そのあたりの話はよくわかんないです。

与作 完全にオンリーワンっすね。カッコイイと思いますよ。

AnitaSun BMSつくってた頃の自分がもろにそんな感じでしたね。

ボカロでも、東方でも、とにかくシーン初期の頃から活動をした場合は、周りとのつながりが薄くてもやれるんですよね。 シーンが大きくなるにつれ、一人で新たに参入するのはどんどん難しくなっていきます。

新たな大手サークルが生まれる「祭り」に

 
のりお クリエイター側から見るとオンリーワンではあるけども、買う側としてはジャンルの大きな括りで買いに来る人もいなくはないと思う。

きくお イベント会場では勢いで買ってくれる面もありますしね。

AnitaSun 会場に来たからには買わなきゃ損だし、後で買える保証もないからジャケ買いしていきますよね。お祭り気分もあるし。

与作 なんだかんだ、委託で後からでも買えることが保証されているサークルって少なかったりするので。Diverseは通販されることがわかっていて後回しになるので、会場ではそこまで数は出ないです。

のりお そこはApolloも同じですね。3日間に絞ったコンセプトも、「今買わなきゃ」っていうお祭り感を大事にした結果です。

AnitaSun 3日に絞ると、365日開いているサービスに対して、単純計算で120倍……とはいかないまでも、かなりの密度でコミュニケーションが行われるんじゃないか、という期待がありまして。

Apolloが開催されたら、サークルさん達が一斉にツイートをはじめて、それに対して買った人もどんどん「こんなアルバムを見つけた、あんなアルバムを買った」とツイートする。Apollo上で、アルバム詳細画面にコメントが付きだすと、サークルさんも更にその事についてツイートをはじめて……。

なんといいますか、そういう事が起こればいいなあ、という希望があります。フォローしているうちの何人かが、曲買っていたら気になるじゃないですか。

与作 音楽サークルのTwitterアカウントって、何かイベントをするごとに目に見えてフォロアーが増えるので、何か起こすとすぐ数になって見えますね。

「pixivのお知らせ」より

──Apolloではユーザーコメントについて、TwitterやほかのSNSに頼る以外では何か用意されていますか?

のりお 作品を買う時に応援コメントが付けられるようになっています。実際の即売会だと対面で一声かけるのと同じように、コメントを残して賑わい感を演出できればいいなと思っています。

──M3に行った時も知人が「知り合いの所を回るだけで、新しいサークルを掘るまで手が回らない」ということを言っていて、今回では試聴も出来るのでコメントと併せて、新しい発見にもつながるのかなと。

AnitaSun それこそが狙いで、Apolloを通じて新しく知ったサークルを、コミケとかの別の即売会でもチェックするような流れが起きてほしいんです。もっと言うと新しい大手サークルが生まれやすくなる状況をつくりたいのです。

同人音楽って、ちょうど去年の夏以降とか、あたらしい音楽サークルが出にくい雰囲気があって、それを今回壊したかったっていうのもあるんですよね。それこそ、きくおさんみたいな尖った人をもっと増やしていきたいというか。

「Apollo」Webサイトでは出品作品が一面に並び、試聴しながら好みの曲がないか探ることが可能

与作 コミケに良くいる人間としては大分、壁サークル、若しくは壁サークル級の人たちが増えてきた感じがします。昔に比べて通路が狭いというのは人が増えたのか、力をつけたサークルさんが増えたのか……。 壁サークルだけじゃなく、島中でも相当列やりくりしてるところを見たりします。

AnitaSun 以前から大手サークル(=壁サークル)が集まる外周は、列ができる関係上歩きにいですが、最近だとよっぽど島中の方がが混んでいて、いったん外周に出てから戻ってきたりしますもんね。
【次ページ】それぞれの制作スタイル
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