シンプルだけど心に刺さる、そんなゲームを目指して
続いて話を聞いたのは、人気ニュース番組のコメンテーターとなり世論を操作するノベルゲーム『コメンテーター』を開発するテバサキゲームズのヒヅメさん。
こちらは、「PlayStationとかのハード後期に出てくる、低予算の尖ったいい意味での『クソゲー』をインディーゲームだと思ってます」という回答が。
「『ラーメン橋』っていうゲームがあるんです。めちゃくちゃ売れた作品ではないんですが、僕にはものすごい刺さって。シンプルなのにすごく面白くて、自分たちのゲームの完成形のようでした」と、自身が影響を受けた作品を紹介。
「中学生の頃、中古ゲームショップに行って500円くらいの安いゲームを買ってきたら意外なくらい面白かった……みたいな体験がすごく好きで。実際にゲームをつくっていく中でも、自分はそういうゲームが欲しかった、つくりたかったんだって気づきました」と、理想のインディーゲーム像を語りました。
海外インディーゲームスタジオが語る、決定権の所在の重要性
「TGS2024」のインディーゲームエリアには海外からの出展も。
オープンワールドゲーム『Sengoku Dynasty』(戦国ダイナスティ)を開発するポーランドのスタジオ・Superkamiにも話を聞きました。
こちらも、言葉の定義は変化しているとしながらも「何十人でつくったとしても、自分のをつくっているものを、自分のやりたいようにやれる、自分たちで決めれるのがインディーゲーム」と決定権の所在を重視。
「投資家やパブリッシャーなどが関わってくると、話は少し違ってくる」とインディペンデントであることの重要性を強調しました。
また、ポーランドでは、「国や政府からの補助を受ける制度がある」と説明しつつ「ヨーロッパには、もっと補助制度が充実している国もあります。ポーランドももう少し制度を拡張してほしいと思っています」と率直な想いを述べてくれました。
改めて、インディーゲームとは何か? マーケティングを越えて
「決定権を誰が握っているか」「つくっていて楽しい」「熱意が重要」など、当事者である開発者らしい意見がいくつも飛び出した今回の取材。
開発体制を指す「インディーゲーム」という言葉を捉えた現場の意見は正しいと思います。一方で、そうした言葉がマーケティング用語として宣伝や告知の材料として使われることも当たり前となりました。
それが、「インディーゲーム」という言葉が独り歩きしていくきっかけになっている──という印象を取材を続ける中で考えさせられました。
議論を孕みながらも大きく花開いたインディーゲーム文化。
言葉だけに捉われず、作品の一つ一つの動向や挑戦にも注目していきたいところです。
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