『Magic:The Gathering(MTG、マジック:ザ・ギャザリング)』の多人数戦フォーマット・統率者戦(EDH/COMMANDER)の管理権限が、統率者戦ルール委員会(COMMANDER RC)から、『MTG』の発行元であるウィザーズ・オブ・ザ・コースト社に移譲されることが発表された。
管理権限の移譲ついて、統率者戦を巡ってコミュニティで批判が紛糾し、「統率者戦ルール委員会メンバーの安全を脅かす個人攻撃が容認できない」「個人が安全に取り組める範囲を超えて大きくなりすぎました」などの理由を挙げている(外部リンク)。
禁止改定により、統率者ルール委員会に批判が殺到
現在、統率者戦ルール委員会に対して、コミュニティから強い批判の声が向けられている。
きっかけとなったのは9月23日に《魔力の墓所》《宝石の睡蓮》《波止場の恐喝者》《有翼の叡智、ナドゥ》の4枚のカードが一挙に禁止推奨カードに指定されたことだ。
禁止されたのはセカンダリーマーケットで数万円する高額カードや、統率者戦の“顔”ともいえる重要なカードたち。
これによってルーリングを管理する統率者戦ルール委員会に対して大きな反発が起きていた。
大きくなり過ぎたカジュアルフォーマット“統率者戦”
統率者戦ルール委員会は、『MTG』の発行元であるウィザーズ・オブ・ザ・コースト社から独立した第三組織。現在は5人の個人によって運営されている(ウィザーズ社の社員も含んでいるが、あくまで個人として取り組んでいるとされている)。
一般的なTCGを嗜む人であれば「なぜ外部団体がルーリングを行っているのか?」という疑問が浮かんでくるはずだ。
これには理由があり、本来統率者戦は非公式のフォーマットであったことが大きい。発祥はアメリカのジャッジコミュニティであり、彼らがハウスルールとして、仲間内でカジュアルに遊んでいたルールを発祥として拡大。
その文化を公式が吸収する形で、現在の管理体制に至っている。
もともとは草の根ルールだった統率者戦だが、現在の人気は凄まじく『MTG』のメインフォーマットと見る向きも強い。
特に日本国外での人気が高く、筆者がラスベガスに『MTG』30周年イベントに取材に行った際は、テーブルや落ち着ける場所があれば、必ず統率者戦がプレイされていた。
様々なプレイヤーに話を聞いたが、統率者戦をプレイしていない人は筆者が取材する限り、一人もいなかった。
今後、統率者戦はどうなっていくのか?
今回の声明の中で、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社は、誹謗中傷や個人攻撃が巻き起こっている状況を非難。
「皆さんが愛するゲームをサポートしている人たちが、身の危険を感じることがあってはなりません」「皆さんがマジックについてどのように感じようとも、誰かを脅かして良いことには決してなりません」と意見を表明した。
また今後は「禁止カードを改めて評価」「追加の禁止はなし」「禁止カードのリストの即時変更は優先事項ではない」などの意向を示している。
さらに、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社は「デッキのパワーレベル分類をより客観的な手法で行い、それについてのご案内やお知らせを増やし、プレイヤーの皆さんそれぞれがプレイしたいゲームを楽しめるようにします」とも綴っている。
統率者戦は、カジュアルフォーマットであるがゆえに、デッキの強さをレベルで分類し、プレイヤー間で強さを合わせて遊ぶことが推奨されている。
そして、カジュアルフォーマットであるがゆえに、その分類は曖昧なものだった。
しかし今回、新たな取り組みとして、4つのレベル分類にあわせて使うことができるカードを制定していく、といった旨の内容を明かしている。
これについても決定事項ではなく「このシステムについて、どうか皆さんのお考えをお聞かせください」として、プレイヤーからの意見を募る形をとっている。
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