魔女たちが降臨　KAMITSUBAKI STUDIOの真骨頂

続いては、早くも理芽さんがオンステージ。舞台の中央にゆらりと現れると、衣装をひらひら揺さぶりながら「フロム天国」を歌い上げる。

不可思議な浮遊感を発する楽曲を全身で表現しきれば、ステージはもう彼女の独壇場になっている。派手な動きをしているわけではないのに、気づけばその一挙手一投足から目が離せなくなっていく。

理芽さん

その悪魔的魅力のすべては次なる「食虫植物」でさらに遺憾なく発揮されていた。進化を止めない圧倒的な表現力をこれでもかと見せつけると、ぴょんぴょん跳ねながらステージを後にしたので、疑いようもなくこの大舞台をも楽しみきったのであろう。

春猿火さん

蠱惑的なステージングにトリップさせられていたが、次なる魔女の登場で一気に目が覚まされる。心に突き刺さるような真っ直ぐな歌声を響かせたのは春猿火さんだ。消え入りそうなほどの細やかな歌声と絶叫のコントラストが光る「巫女」で、新次元へ達したアーティストとしての実力を示す。

そして本領発揮のパワフルボイスで「META」を熱く歌い上げると、ギャリギャリと鳴るギターサウンドも合わさってパシフィコ横浜が真っ赤に燃え上がった。頼もしいまでの圧巻のステージング、その姿勢と歌声でみんなを引っ張っていく春猿火さんらしさが強く感じられたパフォーマンスだった。

幸祜さん

続いてバトンを受け取ったのは幸祜さん。深い紫の光に妖艶に照らされる中で「MiMi Cry」を歌唱。洒落たビートの上で歌声を弾ませる幸祜さんの楽しそうな雰囲気がどこまでも伝播していくと、最後はビシッと決めポーズで〆。

次曲「始まりの銃声」は鋭く伸びゆく幸祜さんの歌声が映えまくる直球ロックナンバー。満員のパシフィコ横浜を突き抜けてどこまでも貫くようなハイパーロングトーンが鳴り響き、観測者たちのボルテージが更なる次元へ引き上げられる。

明透さん

次なるアーティスト、明透さんが繰り出したのは「Spiral」。丁寧かつ力強くひとつひとつのフレーズを歌い上げる様に、アーティストとしての確かな才覚と歌に対する誠実さがひしひしと伝わってくる。「ソラゴト」では歌唱と一体となったたおやかな舞も披露し、やりきった満足気な表情を見せてステージを締めくくる。

ヰ世界情緒さん

元気な挨拶と共にステージに飛び出してきたのはヰ世界情緒さんだ。普段の静謐さとは真逆の昂揚っぷりでオーディエンスを全員笑顔にさせたところで「ヴァーミリオン」へ。DAY1の勢いをそのまま持ち込んでフロアの熱量を高めまくると、遠慮知らずのハイトーンボイスまで繰り出すのだからもう無敵だ。

燃え尽きるかのような大熱唱から、「描き続けた君へ」を繊細に歌い上げる。念願の有観客ワンマンライブも経験し、明確に表現者としての次元が上がったのがわかる。超越的なパフォーマンスで観測者たちの度肝を抜いてみせた。

花譜さん

満を持して舞台に降臨したのはもちろん花譜さん。瞬間で沸き起こる大熱狂を受けて繰り出したのは「過去を喰らう」。1stワンマンライブから歌い続けてきたからこそ、成長の度合いがダイレクトにわかるライブアンセムだが、細部の繊細さとピークの爆発力を鮮やかに繋いでみせる超絶歌唱はもはや神話の域。

勢いそのままに「ゲシュタルト」へ。プリティな振り付けとともに遊び心満載のスーパーアッパーチューンを繰り出せば、必然的に観測者たちも笑顔にまみれてハッピーな一体感を共有する。「どっかーん」からの仁王立ちで爆熱するフロアを見渡す姿が妙にさまになっていたのも見逃せない。

夢のコラボが実現「フェスって最高ですね」

ここで、フェスならではのサプライズとして、夢のコラボレーションパフォーマンスが展開。

ヰ世界情緒×幸祜 with 夕凪機（罪十罰）

まずは、ヰ世界情緒×幸祜 with 夕凪機（罪十罰）で、ヰ世界情緒さんの「キミ消失セカイ」を歌唱する。激しい鍵盤とギターがぶつかり合う激烈ロックサウンドの上で、拳を突き上げ歌声を束ねていく3人の姿は笑ってしまうほどに痛快だ。会場を混沌と興奮で包み込むと、仲良く顔を見合わせながらステージを後にした。

理芽×春猿火 with 梓川

続いては、理芽×春猿火 with 梓川で理芽さんの「ピルグリム」をカバー。それぞれが切れ味鋭い歌唱力を持つ3人が、その歌声の柔らかな部分を丁寧に折り重ねる。並びを見た時にイメージされたそれとは全く異なる淑やかなハーモニーが、観測者たちを未体験のゾーンへ誘う。

花譜×明透 with kahoca（Empty old City）

そして花譜×明透 with kahoca（Empty old City）の3人に、オリジン（3次元）スタイルのVALISも加わって花譜さんの「ホワイトブーケ」をパフォーマンス。KAMITSUBAKI STUDIOのライブでは、なかなか珍しい大人数でのステージングだが、それぞれが持ち味を発揮しながら一つの作品を完成させていく様は圧巻だった。

V.W.P

二日間に渡った祝宴の最後を飾るのはもちろん神椿たちの魔女たちが集結した最強ユニット・V.W.Pだ。5人並んでステージに現れると、珍しくMCからスタート。すっかり慣れた自己紹介や、歌唱とは異なりあまりに無軌道で愛おしすぎるわちゃわちゃしたやりとりで、観測者たちをほっこりさせる。

彼女たちなりのリラックス手段で準備を万全にしたところで、決めポーズから「同盟」へと突入。＜Virtual Witch Phenomenon＞の大合唱が楽しすぎるスーパーアッパーチューンによって、オーディエンスたちも大大大熱狂をみせる。

V.W.P「同盟」MV

名場面だらけのイベントを振り返り「フェスって最高ですね」と述べる理芽さん。充実した雰囲気そのままに、ライブ初披露となる「欲望」へ。暴れるように激しい鍵盤の音色に唸るベース、そしてそこに重なる5人の歌声で圧倒的な迫力が生まれていく。V.W.Pの真骨頂たる驚異的な歌唱力でパシフィコ横浜をロックしてみせる。

何度経験しても観測者たちと熱狂を共有するライブは特別なようで、花譜さんも「（観客の）みんな、生きてるな～って」と彼女らしく、そして感慨深げに噛みしめていた。総決算たる真のフィナーレは「電脳」で飾る。初期から歌い継いできた名曲はラストに相応しい壮大なアレンジが施されており、5人のハーモニーが楽曲の威力を何倍にも増幅させていく。

V.W.P「電脳」MV

KAMITSUBAKI STUDIOを彩る様々な才能たちが集うライブを最強の5人が締めくくり、納得の大団円で「KAMITSUBAKI FES ’24」は幕を閉じた。

新たなプロジェクトの始動を祝うように、俊英たちの躍動を歓迎するように、そして初期からKAMITSUBAKI STUDIOを支え続けてきた魔女たちの見違えるほどの成長に歓喜するように、エンドロールの後まで拍手と大歓声が響き渡っていた。

「KAMITSUBAKI FES ’24 THE DAY THE EARTH STOOD STILL」セットリスト

ー第1部ー
M01：ど～ぱみん DJ Time
M02：梓川「今さらサレンダー - ノルカ／／ソルカ Medley」
M03：跳亜「凍結」
M04：詩道「黎明」
M05：Awairo「Pale&Deep」
M06：Awairo「烙印」
M07：梓川×Awairo「Replay feat.梓川」
M08：KAMITSUBAKI DISCOTHEQUE
M09：Empty old City「カミツレと愛のブーケ」
M10：Empty old City「Buffer」

ー第2部ー
M11：雄之助 DJ Time
M12：音楽的同位体 V.I.P「フォニイ」
M13：音楽的同位体 V.I.P「機械の声」
M14：水野あつ「知りたい」
M15：雨宿り「スターダスト」
M16：雨宿り「猫かぶり」
M17：ANMC「月の匂い feat.WaMi, ueil」
M18：ANMC「Sad Sad Hot Latte feat.むﾄ」
M19：獅子志司「虚ろを扇ぐ」
M20：獅子志司「絶え間なく藍色」
M21：獅子志司「神下り feat.可不」

ー第3部ー
M22：KAMITSUBAKI DISCOTHEQUE
M23：罪十罰 from 少女革命計画「弔花」
M24：心世紀 from 少女革命計画「フェイクナイト・シンデレラ」
M25：VALIS「熱愛フローズン」
M26：VALIS「乙女的サイコパシー」
M27：理芽「フロム天国」
M28：理芽「食虫植物」
M29：春猿火「巫女」
M30：春猿火「META」
M31：幸祜「MiMi Cry」
M32：幸祜「始まりの銃声」
M33：明透「Spiral」
M34：明透「ソラゴト」
M35：ヰ世界情緒「ヴァーミリオン」
M36：ヰ世界情緒「描き続けた君へ」
M37：花譜「過去を喰らう」
M38：花譜「ゲシュタルト」
M39：ヰ世界情緒×幸祜 with 夕凪機(罪十罰)「キミ消失セカイ」
M40：理芽×春猿火 with 梓川「ピルグリム」
M41：花譜×明透 with kahoca(Empty old City) & VALIS「ホワイトブーケ」
M42：V.W.P「同盟」
M43：V.W.P「欲望」
M44：V.W.P「電脳 - THE DAY THE EARTH STOOD STILL -」