音楽的同位体V.I.P×生バンド 無機と有機のハーモニー
第二部のオープニングDJは、先ほどAwairoとして会場を盛り上げた雄之助さんがつとめた。フロアの熱気を巧みに煽り、再びの大熱狂が会場を包む。
そしてメインアクトとして、音楽的同位体(=V.W.Pメンバーの声をもとにした音声合成ソフトおよびそのキャラクター)たちによるユニット・V.I.Pがいきなり登場。挨拶代わりに「フォニイ」を繰り出せば、オーディエンスは制御不能の狂乱へと引きずり込まれる。
無機質なボーカルと有機的な生バンドのハーモニーを展開したところで、強烈なメッセージ性と音楽的な強度を同位させるオリジナル曲「機械の声」へ。壮絶なリリックを淡々と並べ、聴く者すべての情緒を揺さぶりまくり、その存在感を焼き付ける。
軽やかな鍵盤の音色と共に現れたのは、シンガーソングライター・水野あつさん。“やさしい音楽”を標榜するとおりの優しい歌声で「知りたい」をパフォーマンス。繰り返される<知りたい>のフレーズが不思議な浮遊感を生み出し、自然と会場を自らのワールドへと誘っていた。
そのまま、水野あつさんとSoodaさんによるユニット・雨宿りのステージへと接続。洒落たビートにSoodaさんの瑞々しい歌声が映える「スターダスト」、静かな立ち上がりからスッと染み入るように広がっていく「猫かぶり」と、楽曲ごとに大きく表情を変える。
新プロジェクト・ANMCがベールを脱ぐ
続いては音楽とゲームを融合させた新プロジェクト・ANMCのパフォーマンスタイム。
ボーカルにWaMiさんを迎えた「月の匂い」は、タイトルのとおり月光輝く夜を感じさせる穏やかな一曲。WaMiさんが巧みな表現力でその世界観を余すことなく表現しきり、会場の雰囲気を塗り替えてみせた。
続いては、むトさんの歌唱する「Sad Sad Hot Latte」へ。跳ねるリズムが心地よいジャジーなチューンをむトさんがグルーヴィーに歌い上げれば、フロアのテンションも一気に上がる。
第二部のラストは獅子志司さんが登場だ。最後に相応しい、ただならぬオーラを纏って現れると、1曲目は「虚ろを扇ぐ」を披露。初音ミクとのデュエットで、艶のある歌声がさらに印象的に響く。
続く「絶え間なく藍色」では、情熱と冷静のピークを変幻自在に歌い分け、卓越した表現力とタフな精神力をまざまざと見せつける。そして、ステージを所狭しと跳ね回りながら、「神下り feat.可不」でフィナーレ。
音楽的同位体・可不との掛け合いを遊び心たっぷりに楽しみフロアを揺さぶると、「じゃあね」と告げて風のようにステージを去った。
「少女革命計画」始動──新たな伝説はここから始まる
いよいよ最終第三部。フロアの熱気がじりじりと上昇していく中、妖しい調べから始まったのは再びの「KAMITSUBAKI DISCOTHEQUE」。
理芽さんと春猿さんのコラボ曲「私的」や花譜さんの「海に化ける」といった至極の名曲たちがハイパーダンサブルにリミックスされては、オーディエンスも後先考えずに爆熱せざるを得ない。
十分すぎる準備運動を終えたところで、第三部オープニングアクトとして「少女革命計画」がそのベールを脱ぐ。
閃光と共にあらわれたのは、氷夏至(ひなげし)さん、美古途(みこと)さん、夕凪機(ゆうなぎ)さんの新たな3人のバーチャルシンガーによるユニット・罪十罰(つみとばつ)だ。ビビットな色合いから只者ではない雰囲気を感じる中、3人はデビュー曲「弔花」を歌唱。
三者三様の歌声を見事にユニゾンさせ、刺激的なのはそのビジュアルだけではないことを証明してみせた。
興奮が収まらない中、さらに大きなざわめきが巻き起こる。暗がりのステージに新たに3人のシルエットが現れたからだ。
リアルとバーチャルの狭間で燦めく彼女たちの名は心世紀(しんせいき)。御莉姫(おりひめ)さん、佳鏡院(かきょういん)さん、硝子宮(がらすみや)さんで構成されるユニットで、今回はリアルの姿でデビュー曲「フェイクナイト・シンデレラ」を披露。
ハードなダンスと込められた魂の熱さを確かに感じる熱唱は、これがデビューステージとはとても信じられない完成度だ。
罪十罰と心世紀。KAMITSUBAKI STUDIOのネクストジェネレーションを担う新鋭たちは、そのパフォーマンスで観測者たちに確かな衝撃を与え、これから始まる伝説を確信させる上々の門出となった。
出来過ぎなオープニングアクトによって過剰な熱気に満ちるステージに、続いて躍り出たのは神出鬼没のバーチャルサーカス団・VALIS。ピンクのライトが乱れ飛ぶ中、「熱愛フローズン」で見事なフォーメーションダンスを見せつけ、会場の空気を一気に塗り替える。
つづく「乙女的サイコパシー」では、コール巻き起こる大熱狂の中、残念ながら体調不良で出演の叶わなかったメンバーのMYUさんの思いも背負い、全てを追い風にして加速度的にパフォーマンスのレベルを上げていく。見るものすべてに甘い夢を見せるVALISらしさ全開の一幕であった。
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