KADOKAWAが7月29日、サイバー攻撃の影響で支障をきたしていた事業の回復状況について公表した。
発表によれば、KADOKAWAは「事業活動の根幹である経理機能の立て直し」と、「売上規模が大きい出版事業の回復」を最優先に実行。
経理機能は「アナログ対応も含め既に平常状態に復旧」。出版事業は「8月中旬以降は1日当たりの出荷部数が概ね平常時の水準に回復する見込み」だという。
MD(マーチャンダイジング、商品計画)事業においては、8月以降、サイバー攻撃の影響はほぼなくなる見込みだという。
なお、Webサービス事業においては、傘下のドワンゴが展開する「ニコニコ動画」「ニコニコ生放送」などが、8月5日(月)に復旧することが決まっている。
一時は既刊の出荷部数が平常時の3分の1程度に落ち込む
出版事業に関しては、KADOKAWAの発表にも「売上規模が大きい」とあるように、騒動の当初から回復状況の動向が注視されてきた。
当初から新刊の製造は平常時の水準を維持していたとのことだが、既刊の出荷部数が平常時の3分の1程度に落ち込んだ。
KADOKAWAは、9月以降もDOT(Direct Order Tablet=書店とのダイレクト受発注システム)の再稼働や販売施策を強化。
「事案発生以降の出荷保留分や、店頭で品薄となっているタイトルの埋め合わせを図り、逸失した収益の奪回を進めてまいります」としている。
なお、業績への影響に関しては精査中であり、「開示すべき事項が発生した場合には、速やかに公表いたします」としている。
6月にサイバー攻撃 社内システムや関連サービスの復旧に動くKADOKAWA
KADOKAWAは6月8日に、グループのデータセンター内のサーバーにサイバー攻撃を受け、公式サイトなどのほか、「ニコニコ動画」などの関連サービスを停止。現在、復旧に向けて動いている。
今回発表のあった出版事業では、ドワンゴ専用ファイルサーバーがサイバー攻撃を受けた際、被害の拡大を防ぎデータを保全するための緊急措置として、関連サーバーをシャットダウン。
この影響により、出版製造・物流のシステムが停止。以降、安全なネットワークおよびサーバー環境の構築を進める中、システムに依存しないアナログ対応も実施してきたという。
情報漏洩の二次被害にも対応 漏洩した情報は依然「確認中」
そのほか、サイバー攻撃の被害として、関連サービスを使用していたユーザーや社員の情報、KADOKAWAグループの機密情報や内部情報などが流出。
それらがSNSや匿名掲示板を通して拡散される二次被害も発生した。
本件についてKADOKAWAは、悪質な情報拡散について「法的措置を徹底的に講じます」と注意喚起。実際に情報開示請求を開始したことも報告されている。
また現在、KADOKAWAは社外の大手セキュリティ専門企業の支援を受けながら、漏洩した情報の確認作業を行なっており、結果が判明次第、報告するとしている。
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