今回は筆者が今一番友達になりたいおじさんを紹介します。
年間数百タイトルの漫画を読む筆者が、時事に沿った漫画を新作・旧作問わず取り上げる連載「漫画百景」。
第四十七景目は、鍋倉夫さんによる『路傍のフジイ〜偉大なる凡人からの便り〜』です。
これからをさらに盛り上がるであろう作品を表彰する漫画賞「次にくるマンガ大賞 2024」にノミネートされ、口コミによって静かにファンが増えている漫画です。
本作の何が読者に刺さっているのか? 「幸せの形」をテーマにした本作の魅力を、鍋倉夫さんの前作『リボーンの棋士』との比較を交えながら考えていきます。
前作『リボーンの棋士』完結から約3年 鍋倉夫の新作『路傍のフジイ』
『路傍のフジイ〜偉大なる凡人からの便り〜』(以下『路傍のフジイ』)は、作者の鍋倉夫さんが『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載中の漫画です。
既刊は2巻。将棋のプロ棋士を目指して挫折した主人公の苦闘を描いた前作『リボーンの棋士』の完結から約3年後、2023年5月から連載されています。
同僚には舐められ、結婚式に呼んでくれる友人もいない──地味な主人公・藤井
『路傍のフジイ』の主人公は、冴えない中年の藤井守(ふじい まもる)です。
40代、未婚、非正規社員。寡黙で表情に乏しく、何を考えているのか分からない。他人に侮られても特に気にしている風でもないため、誰も好んで彼に近づいてくることはありません。
会社の中で誰に関心を持たれるでもなく、邪険にされるでもなく、ただそこに居る。職場で重宝される特技があるわけでもなく、同僚に分かりやすく舐められています。側から見れば上がり目のない男です。
じゃあプライベートが輝いているのかと言えば、そういうわけでもない。興味関心がやたら広く、絵を描いたり、食器を自作したり、ギターを弾いたりと多趣味ですが、特に上手なわけではなし。
言葉その通りの凡人です。おまけに結婚式に呼んでくれる友人もいない。まさに路傍の人。
そんな地味〜~~な主人公・藤井ですが、特異な面があり、それに気づいた数少ない人々が、彼の知られざる魅力に惹かれていくというあらすじになっています。
では、以下から作者・鍋倉夫さんの前作『リボーンの棋士』を含むネタバレありで、『路傍のフジイ』の内容に触れていきます。未読の方はご留意ください。
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連載
テーマは「漫画を通して社会を知る」。 国内外の情勢、突発的なバズ、アニメ化・ドラマ化、周年記念……。 年間で数百タイトルの漫画を読む筆者が、時事とリンクする作品を新作・旧作問わず取り上げ、"いま読むべき漫画"や"いま改めて読むと面白い漫画"を紹介します。
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