カンザキイオリ2ndワンマンレポ「創作をしている限りずっと側にいる」

カンザキイオリ・新章

ストリングスに、鈴の音も合わさった優しい旋律と共に「告白」へ。再び巡った春の日を思わせるあたたかなアレンジが施された曲を歌い、最後は大きく手を振ってオーディエンスと心を一つに重ね合わせた。 小さく「ありがとう」と告げると、スクリーンには爽やかな微笑みを浮かべた少女の顔が映し出された。

いつだってあなたに会える。
そうでしょう。あなたが言っていたのだから
別れなど、少年少女に恐れなし。

右目がなく、グロテスクにも見えかねない彼女の笑顔を爽やかだと感じられたのは、見守る誰もがその笑みの意味を知っているからだ。感慨に浸っていたのも束の間、「新曲、少年少女!」という声でフロアに再び火が点けられる。

突如繰り出された新曲「少年少女」は、新章の幕開けにふさわしいアグレッシブなロックソングで、カンザキイオリさんも腕を振り上げてオーディエンスと熱きバイブスを共有した。

別れなど何ひとつ怖くありません

そしてライブを支えた頼もしいバンドメンバー、ギター・大島健さん、ベース・HAOさん、ドラム・イノウエケンイチさんをひとりひとり名前を呼んで紹介し、ステージから送り出すと、一人残った舞台の上で手紙を読み始めた。 綴られていたのはこのライブを持って卒業するKAMITSUBAKI STUDIOへの想いだった。

「私があなた方に救われたように 私も誰かを救えるように
すべてを救えなくとも 一人でも多く創作を届けられるように
少しだけでも寄り添い共に生きられるように 誰かのそばにいられるように
そんな創作を目指しこれから躓きながらも歩いて行こうと思います
そしていつか私を誇りに思ってもらえるように
大きな私になってそしていつか恩返しができる日を願って私は今日卒業いたします
でも私は何も怖くない 別れなど何ひとつ怖くありません
創作をしている限りずっと側にいるのだから」 流れる涙を隠さず、言葉をつまらせながら、感謝と決意を口にしたカンザキイオリさん。その表情はうかがい知れないが、言葉には確かに荒野へ力強く一歩を踏み出す覚悟が感じられた。

またいつか共に創作ができる日を楽しみにしております。最後にあなたが好きと言ってくださったこの曲で終わります

その言葉から始まった最後の曲は「青い号哭」。今日という特別な日にかける思い、これまでの自らの歩みとそれを支えた多くの人々への感謝、そしてそれらと別れる決意。並べ尽くせないほどに多くの想いが込められた歌声が、満員の会場へ響き渡る。

夜が綺麗とか夏の幽霊とか
星が綺麗とか海が眩しいとか
目標もなく夢もないけど
それだけでいいじゃんか

窓を開ける
さよならだ春の匂い「青い号哭」

紗幕にはエンドロールが流れ、ライブを支えたスタッフたちの名前が列挙されていく。オーディエンスからも感謝を込めた拍手が送られ、ライブは大団円を迎える。

大仕事をやりきったカンザキイオリさんは、深く深くおじぎをして感謝を伝えると、今日一番の拍手に包まれて惜しまれながらステージを去った。

最後の最後にはインフォメーションとして、カンザキイオリさんによる新レーベル「IKIRU SHELF」の設立、披露された新曲も収録されたEP「少年少女」のリリース、カンザキイオリさんによるカバープロジェクトの始動が発表。次なる旅路を示して、ファンの期待を早速膨らませてくれた。 KAMITSUBAKI STUDIOからの卒業ライブ。その建付けから漂う悲壮感や惜別の想いは、確かにライブの中に感じられたが、すべてではなかった。それより強く印象に残り、我々の目に焼き付いたのは、自らをより厳しい環境に置き、どこまでも真摯に創作へ取り組もうとするカンザキイオリさんの気高き命の輝きだった

鮮やかに伏線が回収されたかのような爽やかさが胸を駆け抜け、衝撃と共にあの言葉がいつまでも離れない。「別れなど、少年少女に恐れなし」。

「別れなど、少年少女に恐れなし」セットリスト

【春】
M1:願い歌
M2:命に嫌われている
M3:結局死ぬってなんなんだ
【夏】
M4:あの夏が飽和するメドレー
M5:爆弾
M6:花女
【秋】
M7:君の神様になりたい
M8:アダルトチルドレン
M9:過去を喰らう
【冬】
M10:ハグ
M11:ダイヤモンド
M12:なぜ

【巡る春】
M13:狂感覚
M14:不器用な男
M15:告白
M16:少年少女 ※新曲
M17:青い号哭

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