事前にアナウンスされていた通り、渋谷区などが協力する形でのカウントダウンイベントは2020年に続き中止となった。 2021年の大晦日にはプラカードを持った警官が渋谷を巡回していたが、現場には、多くの若者たちや日本に滞在する外国人たちが渋谷に集って新年の瞬間を祝う姿があった。 撮影:Diora
つつがなく行われた2022年のカウントダウン
とは言え、渋谷駅一帯でほぼ身動きがとれないほどに人が押し寄せるこれまでと比べて、ハチ公や駅前、スクランブル交差点といった中心を除いて、人の間を縫ってなんとか歩行することができる程度には、明らかに数は減っていた。 むしろ厳戒態勢は、例年同様かそれ以上だったように感じた。 遡ると、2018年10月のハロウィンでこれまでにない大騒ぎが起こり、ほとんど暴徒と化したハロウィンの仮装参加者によってトラックが横転させられる事態に及んだ(関連記事)。それ以降、警備体勢が強化され規制も強まり、2019年からはハロウィンとカウントダウンに向けて路上飲酒規制条例が可決され、路上飲酒が禁止された。
今年も、2019年からの体制と同じように、渋谷署員や機動隊員に加えて、民間セキュリティ会社・BONDSの屈強な警備が目を光らせていた。 それでも2019年は警備と参加者との間でしばしば小競り合いが起き、現場は混乱している印象があった。
居酒屋もクラブイベントも、ほぼ平常通り
総じて、これまで以上につつがなく2022年の年越しが渋谷の街では迎えられていた。路上での飲酒は禁止されていたが、居酒屋を中心に飲食店も多くがここぞとばかりに客引きに精を出していたし、もちろん現在ではイベント制限が緩和されているため朝までの音楽イベントなども多数行われていた。 「家で年越ししてても寂しいだけだから(渋谷に)来ました。このあとどっかクラブでも行く」。センター街に座り込んでいた女性たちはそう言っていた。 記念撮影にこうじたりハイタッチをしたり、思い思いの交流を行ったのち、新年が明けてしばらくすると徐々に人も減っていった。
自然発生的な形に戻った渋谷のカウントダウン
若者たちを中心に、野外で記念日を祝う風潮が盛り上がっていき、KAI-YOUでカウントダウンの取材を始めたのは2013年から(関連記事)。2016年からは、その盛り上がりを背景に、区や渋谷区商店会連合会、渋谷駅前エリアマネジメント協議会らが主催となって、今のような商業イベントという形で駅周辺を交通規制してカウントダウンを開催するようになった。
2020年末はコロナ禍を鑑みて中止されており、2021年から2022年にかけてのカウントダウンも、やはり新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止が決定された。 しかし、もともと自然発生的に若者や外国人観光客らが集まって、野外で見ず知らずの人同士で新年を祝う恒例行事となっていったのが渋谷のカウントダウンだ。 これまでの“熱狂”とは程遠かったが、商業イベントとして中止されようが、みんなで新年を祝いたいと考えて集まってくる人手を規制することはできなかったと言える。
2021年のハロウィンはこんな感じだったよ
連載
日本が世界に誇るべき最高のポップシティ、渋谷。 あらゆるカルチャーと人種が集まるこの街で、毎日のように繰り広げられるパーティー、愛のはじまり、夢の終わり、高揚感と喧噪、その捉えがたきポップの断片をかき集める人気連続企画。 2010年代は渋谷から発信されていく、と思う。
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