2022年大晦日の夜、渋谷。
最低気温3℃という寒さにも関わらず、スクランブル交差点は、新年を迎えようとする人々の熱気に包まれていた。
撮影:鈴木一平(@1heisuzuki)
【画像】渋谷カウントダウン2023の熱狂
例年、年末年始に多くの人が集い、大狂乱となる渋谷駅周辺。その混沌を「秩序をもって誰もが楽しめるカウントダウン」(外部リンク)に変えようと、2016年より行政主導のもとでのイベントが行われるようになった。
しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行して以降、2020年、2021年と「渋谷カウントダウン」は開催中止に。2022年で3年連続となる。
今回イベントが行われない理由について、渋谷区は当初「諸般の事情により」と説明。後日、区長の長谷部健さんが「ハチ公前広場やスクランブル交差点周辺に人が密集し滞留してしまうリスクを軽減するため」と、改めてその意図を明らかにした(外部リンク)。 その上で、渋谷駅周辺における公共の場での飲酒制限や警備などの安全対策などを実施予定であると発表。「年越しの瞬間を盛り上げるような要素はございません」と、日本語・英語・中国語・韓国語の4言語で呼びかけていた。
にもかかわらず、大晦日の渋谷駅周辺は、あいも変わらず大勢の人で賑わっていた。
渋谷駅周辺は、警察車両が並び、至るところにバリケードや警備スタッフが配置され、まるでロックダウンされているかのような様相。
「若者の街」の代名詞であり、観光客もよく訪れている渋谷だが、その日はいつも以上に外国人が多い印象だった。 道ゆく人で溢れる中、大型のポータブルスピーカーから、美空ひばりさんの同名曲をサンプリングしたヒップホップ・ソング「TOKYO KIDS (feat. Zeebra & 般若) [Remix]」が流れる。
Zeebraさんによる“俺は東京生まれヒップホップ育ち/イケてるラッパーは大体友達”というパンチラインを背に歩き、「俺らが本当の『TOKYO KIDS』ですよ」と、意気揚々とはしゃぐ若者もいた。「TOKYO KIDS (Remix) feat. Zeebra & 般若」
人が集まりすぎたハチ公前広場や歩道は、なかなか身動きが取れない状態。対して横断歩道では、人々が行き交うたび、まだ年越し前にもかかわらずモッシュが巻き起こる。
事故が起きることを防ぐためか、日付の変わる十数分前からは、ついに歩行者用信号は青に変わることもなくなった。 それでも人は増え続け、群衆はより密になる。誰かが担ぎ上げられ雄叫びを上げる、誰かがブブゼラを吹き鳴らす、誰かが電飾を身にまとって車道を自転車で通行する──何かしらアクションが起こるたび歓声が湧き上がった。
あまりの熱狂ぶりに、近くにいた若者たちは「このまま信号青になったらどうなっちゃうんだろう」「死んじゃうんじゃないかな」と口にする。
また、韓国・梨泰院でハロウィンに起きた圧死事故を思い出し、「どうして韓国の事故が起きたのか理解できた」といった声まで聞こえてきた。
最低気温3℃という寒さにも関わらず、スクランブル交差点は、新年を迎えようとする人々の熱気に包まれていた。
撮影:鈴木一平(@1heisuzuki)
【画像】渋谷カウントダウン2023の熱狂
目次
行政主導のイベントは中止「年越しの瞬間を盛り上げるような要素はない」
10月14日、渋谷区は2022年度の渋谷カウントダウンを中止すると発表した。例年、年末年始に多くの人が集い、大狂乱となる渋谷駅周辺。その混沌を「秩序をもって誰もが楽しめるカウントダウン」(外部リンク)に変えようと、2016年より行政主導のもとでのイベントが行われるようになった。
しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行して以降、2020年、2021年と「渋谷カウントダウン」は開催中止に。2022年で3年連続となる。
今回イベントが行われない理由について、渋谷区は当初「諸般の事情により」と説明。後日、区長の長谷部健さんが「ハチ公前広場やスクランブル交差点周辺に人が密集し滞留してしまうリスクを軽減するため」と、改めてその意図を明らかにした(外部リンク)。 その上で、渋谷駅周辺における公共の場での飲酒制限や警備などの安全対策などを実施予定であると発表。「年越しの瞬間を盛り上げるような要素はございません」と、日本語・英語・中国語・韓国語の4言語で呼びかけていた。
にもかかわらず、大晦日の渋谷駅周辺は、あいも変わらず大勢の人で賑わっていた。
渋谷の若者「俺らが本当の“TOKYO KIDS”ですよ」
KAI-YOU.netの取材班が現場に向かったのは23時ごろ。渋谷駅周辺は、警察車両が並び、至るところにバリケードや警備スタッフが配置され、まるでロックダウンされているかのような様相。
「若者の街」の代名詞であり、観光客もよく訪れている渋谷だが、その日はいつも以上に外国人が多い印象だった。 道ゆく人で溢れる中、大型のポータブルスピーカーから、美空ひばりさんの同名曲をサンプリングしたヒップホップ・ソング「TOKYO KIDS (feat. Zeebra & 般若) [Remix]」が流れる。
Zeebraさんによる“俺は東京生まれヒップホップ育ち/イケてるラッパーは大体友達”というパンチラインを背に歩き、「俺らが本当の『TOKYO KIDS』ですよ」と、意気揚々とはしゃぐ若者もいた。
年越し直前、あわや事故「信号が青になったら死んじゃう」
警察官たちによって、黄色い規制テープが引かれたスクランブル交差点前。年越しの瞬間がいよいよ間近に迫る中、KAI-YOU.netの取材班は、熱狂の中心地に到着した。人が集まりすぎたハチ公前広場や歩道は、なかなか身動きが取れない状態。対して横断歩道では、人々が行き交うたび、まだ年越し前にもかかわらずモッシュが巻き起こる。
事故が起きることを防ぐためか、日付の変わる十数分前からは、ついに歩行者用信号は青に変わることもなくなった。 それでも人は増え続け、群衆はより密になる。誰かが担ぎ上げられ雄叫びを上げる、誰かがブブゼラを吹き鳴らす、誰かが電飾を身にまとって車道を自転車で通行する──何かしらアクションが起こるたび歓声が湧き上がった。
あまりの熱狂ぶりに、近くにいた若者たちは「このまま信号青になったらどうなっちゃうんだろう」「死んじゃうんじゃないかな」と口にする。
また、韓国・梨泰院でハロウィンに起きた圧死事故を思い出し、「どうして韓国の事故が起きたのか理解できた」といった声まで聞こえてきた。
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連載
日本が世界に誇るべき最高のポップシティ、渋谷。 あらゆるカルチャーと人種が集まるこの街で、毎日のように繰り広げられるパーティー、愛のはじまり、夢の終わり、高揚感と喧噪、その捉えがたきポップの断片をかき集める人気連続企画。 2010年代は渋谷から発信されていく、と思う。
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