連載 | #101 渋谷万歳

「信号が青になったら死んじゃう」あわや事故 渋谷カウントダウンの熱狂

年越しの瞬間をスマホで撮影する群衆

「3, 2, 1, Happy New Year!」

結局、最後まで信号は青に変わることはなく、スクランブル交差点に集った外国人や若者たちは、ハチ公前広場や歩道の上で新年を迎えることとなった。

年越しの瞬間、歓喜に包まれる渋谷スクランブル交差点。印象的だったのは、カウントダウンの盛り上がりを、みんなスマートフォンを掲げて撮影していたことだ。

スマートフォンを掲げる群衆

筆者は今回、初めて渋谷カウントダウンを訪れたが、正直このイベントは、大騒ぎしたい若者たちが集う場所というイメージが強かった。

しかし、そんな主体的な「当事者」ばかりではなく、その熱狂の渦を受動的に体験したい「傍観者」が、大量に詰め掛けているというのが、実態としては正しいのかもしれない。

年が明け、横断歩道の通行が再開された

サイリウムを振り回す集団も

そして信号機は青に変わり、通行が再開される。横断歩道を渡りながら、人々は各々に「Happy New Year」と祝いの言葉を交わす。

その中には、円陣を組みサイリウムを振り回す集団もいた。転倒防止のために、警察官たちは「ゆっくり進んでください」と呼びかけていたものの、筆者の後ろにいた外国人の青年はあわや転びかけていた。

道路に散乱する空き缶「ちょっとマナーのない人が結構」

コロナ禍で行政主導のイベントが行われなくなった「渋谷カウントダウン」。しかし、それがあろうとなかろうと、結局年末年始の渋谷に人は集う。

毎年大晦日に渋谷を訪れているという男性によれば、今回のカウントダウンは「去年よりも落ち着いている」という。一方で「ちょっとマナーのない人が結構、道路に……」と不満をこぼした。

渋谷でお祭り騒ぎが起きるたびに「ポイ捨て」は問題となっているが、例に漏れず今回も大量のゴミが路上に散乱。その中には、制限されているはずの酒の空き缶も転がっていた。

センター街でクラブ系の音楽をかけていた男性。毎年渋谷カウントダウンに参加しているという

路上に放置されていたゴミの中には、制限されているはずの酒の空き缶も

2022年は、声出しの解禁など、オフラインイベントにおける感染症対策に基づく規制が、少しずつ緩和されていった1年だった。

あの日失われてしまった祝祭の空間は、確実に戻りつつある。一方で、たくさんの人が集まるという行為には、大なり小なりそれ相応にリスクがあることもまた事実だ。

今だからこそ「渋谷カウントダウン」の在り方を、改めて考え直さなければならない時が来ている。

【画像】渋谷カウントダウン2023の熱狂


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渋谷万歳

日本が世界に誇るべき最高のポップシティ、渋谷。 あらゆるカルチャーと人種が集まるこの街で、毎日のように繰り広げられるパーティー、愛のはじまり、夢の終わり、高揚感と喧噪、その捉えがたきポップの断片をかき集める人気連続企画。 2010年代は渋谷から発信されていく、と思う。

渋谷カウントダウンの変遷をたどる

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