年越しの瞬間をスマホで撮影する群衆
結局、最後まで信号は青に変わることはなく、スクランブル交差点に集った外国人や若者たちは、ハチ公前広場や歩道の上で新年を迎えることとなった。年越しの瞬間、歓喜に包まれる渋谷スクランブル交差点。印象的だったのは、カウントダウンの盛り上がりを、みんなスマートフォンを掲げて撮影していたことだ。 筆者は今回、初めて渋谷カウントダウンを訪れたが、正直このイベントは、大騒ぎしたい若者たちが集う場所というイメージが強かった。
しかし、そんな主体的な「当事者」ばかりではなく、その熱狂の渦を受動的に体験したい「傍観者」が、大量に詰め掛けているというのが、実態としては正しいのかもしれない。 そして信号機は青に変わり、通行が再開される。横断歩道を渡りながら、人々は各々に「Happy New Year」と祝いの言葉を交わす。
その中には、円陣を組みサイリウムを振り回す集団もいた。転倒防止のために、警察官たちは「ゆっくり進んでください」と呼びかけていたものの、筆者の後ろにいた外国人の青年はあわや転びかけていた。
道路に散乱する空き缶「ちょっとマナーのない人が結構」
コロナ禍で行政主導のイベントが行われなくなった「渋谷カウントダウン」。しかし、それがあろうとなかろうと、結局年末年始の渋谷に人は集う。毎年大晦日に渋谷を訪れているという男性によれば、今回のカウントダウンは「去年よりも落ち着いている」という。一方で「ちょっとマナーのない人が結構、道路に……」と不満をこぼした。
渋谷でお祭り騒ぎが起きるたびに「ポイ捨て」は問題となっているが、例に漏れず今回も大量のゴミが路上に散乱。その中には、制限されているはずの酒の空き缶も転がっていた。 2022年は、声出しの解禁など、オフラインイベントにおける感染症対策に基づく規制が、少しずつ緩和されていった1年だった。
あの日失われてしまった祝祭の空間は、確実に戻りつつある。一方で、たくさんの人が集まるという行為には、大なり小なりそれ相応にリスクがあることもまた事実だ。
今だからこそ「渋谷カウントダウン」の在り方を、改めて考え直さなければならない時が来ている。
【画像】渋谷カウントダウン2023の熱狂
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連載
日本が世界に誇るべき最高のポップシティ、渋谷。 あらゆるカルチャーと人種が集まるこの街で、毎日のように繰り広げられるパーティー、愛のはじまり、夢の終わり、高揚感と喧噪、その捉えがたきポップの断片をかき集める人気連続企画。 2010年代は渋谷から発信されていく、と思う。
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