造形作家 ムラマツアユミ新作「龍朽庵」 静と動を両立させた作家の技

造形作家 ムラマツアユミ新作「龍朽庵」 静と動を両立させた作家の技
造形作家 ムラマツアユミ新作「龍朽庵」 静と動を両立させた作家の技

「龍朽庵」/画像はすべてムラマツアユミさんからの提供

POPなポイントを3行で

  • 造形作家・ムラマツアユミの新作「龍朽庵」
  • 恐竜のダイナミックさと和庵の静謐さを両立
  • 愛知・名古屋のギャラリーで展示・販売中
造形作家・ムラマツアユミさんが制作した作品「龍朽庵」。

恐竜のダイナミックな印象と和庵の静謐な印象を、絶妙なバランスで成り立たせた見事な造形作品です。

アニメやゲームに出てきそうな神秘的な作品は、いったいどのようにつくられたのか。ムラマツさん本人に着想、こだわり、制作のきっかけについて聞きました。

なお「龍朽庵」は、愛知・名古屋の画廊/雑貨屋・箱の中のお店で、5月9日(日)まで開催されている企画展「驚異の部屋ZWEI」で展示・販売中です。

恐竜をモチーフにしたのは「土地神」のイメージから

──「龍朽庵」の制作に至ったきっかけは何でしょうか?

ムラマツアユミ(以下、ムラマツ) 今回の作品は、自分の心が落ち着く場所を探していたら出会ったという感じでした。

ここ1年ばかり心の余白が保てない日々に辟易していて、自分と自分以外の誰かに「心の落ち着き」を与えたいと思ったのが制作のはじまりです。

自分を含めた日本人の多くが安らぎを感じる「和」の要素を取り入れ、小さな庵みたいなものをイメージしながら形を決めていきました。 ──和のテイストを取り入れたのはそのためなんですね。そこに恐竜のモチーフを組み合わせたのはなぜですか?

ムラマツ 恐竜をモチーフとしたのは「土地神」みたいなイメージがあったためです。

恐竜って地面を掘ればまだその場所に生きた証が残っているかもしれないですから、それが土地を守っているような気がして、形にしたいなと思ったんです。

そうして「恐竜」と「和庵」のイメージが噛み合って、作品の形になっていきました。 ──モチーフになった恐竜はいるのでしょうか。

ムラマツ 特に決まった恐竜をつくったわけではないです。ただ自分の中にある「恐竜」の概念を形にしたという感じです。

作品のイメージに合う形を探しながら、初期の恐竜から白亜紀まで広く寄せ集めながら形にしました。

「粘土を使いたい」というこだわり

──制作にあたりこだわった点はありますか?

ムラマツ 「粘土を使いたい」という気持ちは強かったように感じます。

本物の黒色木材を使って制作すればもっとイメージに合う質感になったかもしれませんが、そうせずに、「粘土で仕上げたい」という素材への執着があったような気がします。

──では苦労した点はありますか?

ムラマツ バランスです。静と動の割合、装飾の配分、中央の空間と恐竜の比率など、全身が心地良く見えるポイントを探るのが困難でした。

カプセルトイ「浪漫幻鳥」もすごいです

ムラマツさんはこれまでにも、存在しないけれど確かな存在感を感じさせる空想生物を手がけています。

第3弾まで発表されているカプセルトイ「空想生物図鑑」シリーズの最新作では、古代中国の伝説生物「比翼の鳥」と「大正モダン」の組み合わせた「浪漫幻鳥」の造形を担当しており、こちらは6月から発売される予定です。

ムラマツさんの技に触れたいという方は、こちらもおすすめです。

創作の可能性〜!

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