『銀魂 THE FINAL』監督×監修がぶっちゃける「我々は原作を忠実に映像化したまで」

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『銀魂』の代名詞といえばオマージュ

──『銀魂 THE FINAL』にもオマージュが仕掛けられていますが、「実現の大変さ」は『銀魂』の代名詞でもあります。この部分、おふたりはどのように感じられていますか?

藤田 いま、昔のエピソードを観ると「これはもうできない」と思います。

宮脇 いや、本当にそうですよね(笑)。

藤田 この15年、どんどんルールが厳しくなっていますし。そう考えると『銀魂 THE FINAL』のオマージュもギリギリですよね。(今回のオマージュを)「ようやった!」と一番感じているのは、担当したプロデューサーたち自身なんじゃないでしょうか。

いやでもね……我々は原作を忠実に映像化したまでです(笑)。

宮脇 そうそうそう!!!

藤田 原作に描いてある以上しょうがないんだから、文句は原作に言ってくださいという感じですよね! 我々はそれを盛ることしか考えていなかった(笑)。

入場者プレゼントとして、空知英秋さんが描き下ろした『鬼滅の刃』<炭治郎&柱イラストカード>も話題に。

──難易度が高いのは、他作品に言及する、といったパターンでしょうか。

宮脇 いろいろなタイプがありますよね。

藤田 本当に難易度が高いものは、もう公には言えないレベルです(笑)。

宮脇 言えなくなるし、身内が全然身内じゃなくなる(笑)。もはや味方じゃない……。

──ただその中で、工夫を凝らしているのが『銀魂』の素晴らしさだと思います。某大型小売店のテーマ曲とか……(※編注:TVシリーズ第207話より)。

宮脇藤田 (笑)。

宮脇 作曲家のAudio Highsさんが、本当にいい曲をつくってきてくれるんですよね……。

藤田 本当に達者ですよね。絶妙に似て非なるポイントをついてくる。

宮脇 「っぽさ」満点なんですよね、毎回。

「ここまで初期スタッフが残ってるアニメはない」

──オマージュに加え、アニメオリジナル回も『銀魂』の面白さであり、大変な部分だったのではないかと思います。こちらはいかがでしょうか?

宮脇 アニメオリジナル要素については、藤田さんの時代が一番苦労したかと……(チラっ)

藤田 つらかった……。ただただ大変でした……。

宮脇 記憶がもうそれしかない(笑)。

藤田 アニメオリジナル回って、原作に縦軸がある以上、なくても成立する話ですからね(苦笑)。しかも原作の展開に戻ってこないといけないし、番外編でしかない。

でもこっちは難しかろうが一生懸命つくらないといけないし、意味を持たせるのが本当に大変でした。まぁ、遊びましたけどね。もうそうなったら、遊ぶしかないから(笑)。

オマージュもオリジナル演出も、15年かけてみんなでノウハウをためていったところはあるよね。こんなに初期スタッフが残っている作品ってないと思います。

宮脇 そうですね。どのセクションにも最初から関わっているスタッフがいますから。

特に今回の『銀魂 THE FINAL』は、回想シーンも混じるじゃないですか。そうなったときに、前から関わっている人たちの“蓄積”には非常に助けられました。

新しいスタッフだと全部説明が必要になるのですが、『銀魂』チームは「あの時のあれで!」「わかりました!」という感じで通じるんです。
映画『銀魂 THE FINAL』「ありがとう」特別動画
──だから『銀魂』は、ファンとアニメの内容に齟齬がないんですね。

藤田 そうですね。僕らも同じ時間をかけて一緒に歩いてきましたから。アニメだと、制作会社ごと変わっちゃうこともよくありますし、ずっとこのメンバーでできているのは大きいと思います。

──ファンの熱量の高さも『銀魂』の特徴ですが、おふたりはどう感じていらっしゃいますか?

藤田 たしかに、同じ監督として携わった作品でも、誰かと話していてよく引き合いに出されるのは『おそ松さん』より『銀魂』ですね。長くやってきた強さを改めて感じます。

自分が思っている以上に、タイトルが刷り込まれているというか。深くはなくても通ったことがある人も非常に多いですし、長くやっていて良かったと思います。 宮脇 15年もやっていると、子どものころに『銀魂』を観ていた人たちが業界入りしてくるんですよ。

「小学生のときから観てました!」と言われて年齢差にショックを受けるんですが(苦笑)、やっぱり、子どものころから観ていた作品に仕事として関わることができるのは、本当に嬉しいみたいですね。それもこれも、これだけ長く続いたからこそつくり出せたことだと思います。

そういった世にいくつかある「長く続き、愛される」タイトルの1つに『銀魂』がなれたのは、本当にありがたいことだと感じています。
映画『銀魂 THE FINAL』アフレコ現場
©空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

最後まで掟を破り続ける『銀魂』

ハマると楽しいPOPの深層

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作品情報

映画『銀魂 THE FINAL』

公開
2021年1月8日(金)より公開中
原作
空知英秋(集英社ジャンプコミックス刊)
監督/脚本
宮脇千鶴
監修
藤田陽一 
声の出演
杉田智和、阪口大助、釘宮理恵 ほか
アニメーション制作
BN Pictures 
配給
ワーナー・ブラザース映画

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2件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:4284)

2人も「終わる終わる詐欺」に振り回されてたんですねw

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:4283)

監督のお二人様ずっと有り難う御座いました。アニメに感謝するなんて久し振りです、すっごく楽しかった。ドンキホ○ーテとかwwww藤原さんまじ有難うな

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