同じ時間と場所にいなくても、音楽で思いは共有できる
──前回取材させていただいた時はメジャーデビュー直前というタイミングでしたが、それからメジャーレーベルでの活動を経て音楽に対する意識などは変わりましたか?樋口楓 どうだろう?(笑)。メジャーデビューできたことはすごく嬉しくて、「MARBLE」から樋口楓を知りましたって声もあってありがたいですけど、根っこは変わってないですね。リスナーさんのことを隣の席にいるような身近な存在だと思うのは変わらないことです。 樋口楓 でも楽曲をプロデュースしてくださる光増さんに、こういう曲にしたいってイメージを伝えきれない時があって、もっと自分の言葉で言えるように意識していろんな音楽を聴くようにはなりました。
ランティスはアーティスト主体に動いてくれるレーベルだからこそ、プロデュースされるがままではいけない。自分の意志を大事にしたいですね。
──この半年でメジャーデビューされるVTuberさんもたくさんいらっしゃいましたし、シーンはさらに勢いを増して盛り上がっている印象です。樋口さんも当事者として感じることはありますか?
樋口楓 VTuberに限らず、ライブ配信している人たちはみんな盛り上がっているように感じますね。遠い存在だと思っていた芸能人の方々もどんどんYouTubeに進出していて、身近に感じることが増えてきました。私自身もファンの方々にそう思われたら嬉しいですね!
──同じようにインターネットを舞台に活動されていた経験もあるぽんさんから見て、VTuberという存在はどのように捉えられていますか?
ぽん コンテンツとしての面白さももちろんあると思いますが、人間性や発信する言葉、メンタリティの部分で人気になっていく世界なのかなという印象はあります。
樋口さんがよく仰っている「二次元と三次元の壁を壊す」って考え方は好きで、どうやって壊すんだろう? と楽しみにしていたんですが、今回のMVはまさにその意志の表れで、すごいなと思いました。
樋口楓 二次元でも三次元でもないVTuberって存在だからこそ伝えられることってあると思ってるんです。キャラクターの姿をしていても、私たちにはそれぞれのパーソナリティがある。
ただ曲を歌うだけじゃなくて、普段の活動があってのVTuberの音楽なんだってことをもっと知ってもらいたいなって気持ちもありますね。
──コロナ禍という状況のなかで、音楽ライブが中止や延期をせざるをえなくなったりとお二人にも大きな影響があったと思いますが、価値観や考え方に変化はありましたか?
ぽん 完全に元に戻るのは難しいかもしれないけれど、かつてのライブの景色を復活させたいと強く思うようになりました。あの場でしか体験できないことや感じられない思いがあると思っているので。
ただ樋口さんも仰ってたようにYouTubeに芸能人が進出したりして、ネットがますます主戦場になっていっているのは確かだと思います。
ORESAMAは二人ともSNSが苦手なので上手くできるか不安な部分もあるんですが(笑)。最近は「Dressup cover」というセルフカバーをYouTubeに上げたりしていて、私たちも変わっていかないといけないと話し合っているんです。
本来は会場に足を運べなかった人でも見れるようにネット配信ができましたし、普通ならお客さんがいるはずのフロアにカメラを置くことで、普段は見れない角度からのカメラワークなんてこともできました。もちろんたくさんの準備が報われないこともあり、悔しい気持ちもあったけれど、誰もいないフロアに銀テープが降り注ぐのを見て、今しかできないことをしてる感動で鳥肌が立ったんです。
ファンの方々に「中止せずに開催してくれただけでも嬉しい」「退屈な日常のなかの楽しみになった」って言っていただくこともあって、こんなご時世だからこそやった意味はあったのかなと思います。
現場に来てほしいって気持ちはめちゃくちゃ強いですが、音楽はみんなの身近なところにあって、おうちでも散歩の途中でも、同じ場所と時間じゃなくても思いは共有できるんだって感じてもらえたんじゃないかなって。私自身も、改めてそう実感したんです。
ぽん 配信の技術は急速に発達していると思いますし、会場にこれなくても楽しめるというイベントの新しい楽しみ方ができたって感覚は私も感じますね。
樋口楓 「MARBLE」のリリースイベントもオンラインで、応募してくれた方々と40秒くらいずつ会話を繋いでお話しする形式に変わったんですが、自分の部屋だけじゃなくて車の中だったり、職場のトイレからなんて人もいて、逆に私がみんなの日常を知って、より身近に感じられたんです。
大変な状況下でどうしてもネガティブな部分が目に付いてしまうけど、そうやって新鮮に楽しんでもらえる機会も生まれているはずなんです。
今この時を同じように生きるあなたへ
──すぐにでももう一曲つくっていただけたらと思うほどにお二人の相性の良さを感じていますが、お互いにお話してみて印象などは変わりましたか?ぽん 私は全然変わらないです。でもお話してみて、ファンの方をすごく大事に思っていたり、優しくて真摯な方なんだなって思いはもっと強くなりました。
樋口楓 私はぽんさんに対して、やっぱり今まで書かれていた歌詞やパフォーマンスのイメージから、ときめきを大事にするふわふわした方なのかなって想像していました。でも今回対談してみて、自分の思いをしっかり言葉にして伝えてくださるので、意志の強い温かい方なんだって思うようになりましたね。
歌詞をいただいた時も思いましたが、よりぽんさんから見た樋口楓を知れたので、本当にお話できてよかったです。
──メジャーデビューの際には「VTuberを知ってもらう機会を増やそうと思った」と仰っていました。その思いを経て、今回のアルバムで叶えたい新たな理想はありますか?
樋口楓 メジャーデビューの時と同じように、VTuberをもっと知ってもらいたいという気持ちはもちろん強いです。MVもティーンズのバンドによくあるような演出をしていたりするので、普段そういうバンドを聴く方々にも受け入れてもらえるんじゃないかと思っています。
今回参加していただいたクリエイターさんたちのファンの方も含め多くの方に、VTuberといってもみんなとなんら変わりない存在なんだって伝えたいです。
『AIM』は私が今だからこそ感じられることを詰め込んだアルバムになっています。樋口楓の歌を通じて、今この時を同じように生きて、悩んでいたりする人に勇気を与えられたら嬉しいですね。
VTuber界を牽引する「にじさんじ」
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商品情報
樋口楓 メジャー1stアルバム「AIM」
- 発売
- 2020年12月16日(水)発売
- 価格
- [完全生産限定盤] CD+BD / 6,000円+税 / LACA-35845 ※特装仕様
- [初回限定盤] CD+BD / 4,200円+税 / LACA-35846 ※三方背仕様
- [通常盤] CD / 3,000円+税 / LACA-15846
- 内容
- CD収録内容:新曲ほか、デビュー曲「MARBLE」を含む全12曲収録予定
- BD収録内容:Music Videoなど収録予定
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