「ポケットモンスター」とBUMP OF CHICKENのコラボレーションMV「GOTCHA!」は、みなさんもう観ましたか?
【Official】Pokémon Special Music Video 「GOTCHA!」 | BUMP OF CHICKEN - Acacia
『京騒戯画』と『血界戦線』によってその天才性を商業アニメーションの世界でまざまざと見せつけながら、近年はほとんど表舞台での仕事をされていない松本理恵さんが監督。
今作「GOTCHA!」でも『京騒戯画』の第1話を彷彿させる、めくるめくイメージの洪水と鮮やかな筆致によって「アニメーションでこの世界のすべてを描き切る、そしてアニメーションにはそれが可能である」という気概・気迫をすべてのカットで叩きつけてきています。これが松本理恵なんだよなあ⁉。
本稿では、1996年『ポケットモンスター 赤・緑』発売から、ずっとポケモンに魅了され続けている私が本MVの見どころを解説させていただきます。
初代『ポケットモンスター 赤・緑』は自宅から冒険が開始されるのですが、その家のテレビに映っているのがこの『スタンド・バイ・ミー』なのです。
ゲーム内では「テレビでえいがをやってる! おとこのこが4人 せんろのうえをあるいてる…ぼくももういかなきゃ!」とテキストで表現されます。なお、『サン・ムーン』(2016年発売)でも同様の演出が採用されています。
また、「ポケモン」の生みの親・田尻智さんは、糸井重里さんの事務所で編集者・ライターとして「ポケモン」開発前に働いており、糸井重里さんの『MOTHER』も『スタンド・バイ・ミー』に多大な影響を受けています。これは興味深い事案です。覚えておきましょう。
これはすべてタイプ別のジムリーダーとなっており、歴代のジムリーダーたちの特徴を捉えたポップなアニメーションが展開されています。
あまりに高速に展開されるため、一聴するだけでは認識できないのですが、コマを止めて観ると新たな発見が次々と出てくる箇所です。
それは誰かの意志や願いであったり、世代交代であったり、様々な重要な場面で何かを「継承」することの大切さや重さ、責任と希望が描かれます。
歴代のチャンピオンたちが相棒のポケモンを次々に繰り出す様子が描かれる様もそれを連想させますが、なによりも「ハイタッチ」です。
ゲームボーイから続く「ドット絵」ポケモンとして最後のシリーズになったのが『BW』及び『BW2』です。以降、『X・Y』から3DCGで描写されることになります。
シリーズを重ねるにつれてストーリーのシリアスさが増していったポケモンですが、『BW』『BW2』という作品は特にダークで、ある種の閉塞感すらも感じる物語です。そんな『BW2』の最後、前作『BW』でチャンピオンだったアデクの意志を継ぎ、まだ幼い少女・アイリスがチャンピオンとして立ちはだかります。
辛くて苦しい長い戦いの先──ドット絵時代最後のポケモンリーグチャンピオンであるアイリスは、新時代の幕開けかのように楽しそうに戦います。
彼女の存在こそが次世代への「継承」を象徴しています。そんな彼女と、彼女に未来を託したアデクのハイタッチ。一瞬で、さらに姿こそ描かれていませんが、だからこそ印象的な立ち位置としてMVで取り上げられています。
端的に言って、まずここで泣きました。
長い歴史を持つポケモンシリーズの中でも唯一無二の不敵さは、いまだに数あるライバルの中でも人気が高いです。
MVでもグリーンのセリフが見事に浮かんでくるような、力のある描写となっています。
シロガネやまは『金・銀』クリア後に挑戦できるダンジョンなのですが、その最深部で前作の主人公・レッドが待ち構えているというアツい展開。
非常に強力なパーティーを組んでおり、初見では圧倒されたプレイヤーも多いことと思います。
新世代の主人公が、前作の主人公を打ち破る──このアツさと「継承」というテーマを、MVでも素晴らしいアニメーションで表現してくれました。
なお、『金・銀』主人公・ヒビキが繰り出しているバンギラス、デンリュウは『金・銀』で特に人気の高い2体。さらに、レッドの手持ちと、前のシーンのグリーンの手持ちを比較すると、同じ世界線であることも推測可能となっています。
こういう細部へのこだわりがハンパねえ~(松本理恵は天才か……)。
しかし笑うことは苦手らしく、ゲーム内では一人で笑顔の練習をしているシーンも。
そんなマリィですが、相棒のモルペコに無理やり口角をアッパーされ、微妙ですが笑うことに成功しているとも取れる素敵なカットです。
さらに特定のポケモンは、キョダイ化させることによって、本来の形状から変化します。この状態を「キョダイマックス」と呼びます。
MVでは、主人公が『ソード・シールド』で新登場したほのおポケモン・エースバーンを繰り出し、チャンピオンのダンデがリザードンで応戦します。双方キョダイマックス、それぞれ最強と名高い新旧ほのおポケモン同士の真っ向勝負。
さらに主人公のユニフォームには「227」の番号が。これは初代『赤・緑』が発売された1996年2月27日を表しているのだと思います。
最新作の主人公も「(ポケモンという歴史とすべての想いを)背負って」んだよなあ……。
他にもめちゃくちゃ解説したいシーンがたくさんあるんですが、そのうち追記できたら良いなと思っております。
あとなによりポケモンも凄いけど、松本理恵監督の演出が素晴らしすぎるんですよね。全人類が新作を常に待望しています。
とりあえずこのMVを300回ほど観ていただいて、最近ポケモンから離れていた人はまたプレイしてほしいし、ポケモンやったことないよ~って人も是非やってみてほしいです。
今作「GOTCHA!」でも『京騒戯画』の第1話を彷彿させる、めくるめくイメージの洪水と鮮やかな筆致によって「アニメーションでこの世界のすべてを描き切る、そしてアニメーションにはそれが可能である」という気概・気迫をすべてのカットで叩きつけてきています。これが松本理恵なんだよなあ⁉。
本稿では、1996年『ポケットモンスター 赤・緑』発売から、ずっとポケモンに魅了され続けている私が本MVの見どころを解説させていただきます。
スティーブン・キング『スタンド・バイ・ミー』の意味
MVの冒頭、4人の少年が線路の上を歩いてどこかへ向かう──これは映画に詳しい方なら一瞬でわかると思いますが、スティーブン・キングさんが原作の映画『スタンド・バイ・ミー』をモチーフにしています。初代『ポケットモンスター 赤・緑』は自宅から冒険が開始されるのですが、その家のテレビに映っているのがこの『スタンド・バイ・ミー』なのです。
ゲーム内では「テレビでえいがをやってる! おとこのこが4人 せんろのうえをあるいてる…ぼくももういかなきゃ!」とテキストで表現されます。なお、『サン・ムーン』(2016年発売)でも同様の演出が採用されています。
また、「ポケモン」の生みの親・田尻智さんは、糸井重里さんの事務所で編集者・ライターとして「ポケモン」開発前に働いており、糸井重里さんの『MOTHER』も『スタンド・バイ・ミー』に多大な影響を受けています。これは興味深い事案です。覚えておきましょう。
タイプ別のジムリーダーたち
MVの主人公2人の冒険がはじまり、その後ろに様々なジムリーダーたちが登場します。これはすべてタイプ別のジムリーダーとなっており、歴代のジムリーダーたちの特徴を捉えたポップなアニメーションが展開されています。
あまりに高速に展開されるため、一聴するだけでは認識できないのですが、コマを止めて観ると新たな発見が次々と出てくる箇所です。
怒涛のボスラッシュからの「ハイタッチ」
まず、ポケモンをプレイしたことがない方に伝えたいのは、ポケモンというゲームの物語におけるテーマは、子ども時代のノスタルジーとかポケモンとトレーナーの友情とかではなく「継承」です。それは誰かの意志や願いであったり、世代交代であったり、様々な重要な場面で何かを「継承」することの大切さや重さ、責任と希望が描かれます。
歴代のチャンピオンたちが相棒のポケモンを次々に繰り出す様子が描かれる様もそれを連想させますが、なによりも「ハイタッチ」です。
ゲームボーイから続く「ドット絵」ポケモンとして最後のシリーズになったのが『BW』及び『BW2』です。以降、『X・Y』から3DCGで描写されることになります。
シリーズを重ねるにつれてストーリーのシリアスさが増していったポケモンですが、『BW』『BW2』という作品は特にダークで、ある種の閉塞感すらも感じる物語です。そんな『BW2』の最後、前作『BW』でチャンピオンだったアデクの意志を継ぎ、まだ幼い少女・アイリスがチャンピオンとして立ちはだかります。
辛くて苦しい長い戦いの先──ドット絵時代最後のポケモンリーグチャンピオンであるアイリスは、新時代の幕開けかのように楽しそうに戦います。
彼女の存在こそが次世代への「継承」を象徴しています。そんな彼女と、彼女に未来を託したアデクのハイタッチ。一瞬で、さらに姿こそ描かれていませんが、だからこそ印象的な立ち位置としてMVで取り上げられています。
端的に言って、まずここで泣きました。
「このおれさまが せかいで いちばん! つよいって ことなんだよ!」
ポケモンシリーズ屈指の名言。『赤・緑』のライバルであるグリーンは、主人公より一足先にチャンピオンになり、主人公を待ち構えます。長い歴史を持つポケモンシリーズの中でも唯一無二の不敵さは、いまだに数あるライバルの中でも人気が高いです。
MVでもグリーンのセリフが見事に浮かんでくるような、力のある描写となっています。
シロガネやまの決戦──ヒビキとレッド
上述したチャンピオン・アイリス戦はポケモンにおける「継承」を語る上で間違いなく外せないシーンですが、何よりもポケモン史でもっとも重要な「継承」を巡る戦いは、『金・銀』における、シロガネやまでのレッドとの決戦です。シロガネやまは『金・銀』クリア後に挑戦できるダンジョンなのですが、その最深部で前作の主人公・レッドが待ち構えているというアツい展開。
非常に強力なパーティーを組んでおり、初見では圧倒されたプレイヤーも多いことと思います。
新世代の主人公が、前作の主人公を打ち破る──このアツさと「継承」というテーマを、MVでも素晴らしいアニメーションで表現してくれました。
なお、『金・銀』主人公・ヒビキが繰り出しているバンギラス、デンリュウは『金・銀』で特に人気の高い2体。さらに、レッドの手持ちと、前のシーンのグリーンの手持ちを比較すると、同じ世界線であることも推測可能となっています。
こういう細部へのこだわりがハンパねえ~(松本理恵は天才か……)。
マリィとモルペコ、笑顔の練習
最新作『ソード・シールド』のライバルであるマリィ。発売前から話題となっていたグッドデザインのキャラクターですが、実際にプレイするとかなり見た目と性格に乖離があることがわかります。しかし笑うことは苦手らしく、ゲーム内では一人で笑顔の練習をしているシーンも。
そんなマリィですが、相棒のモルペコに無理やり口角をアッパーされ、微妙ですが笑うことに成功しているとも取れる素敵なカットです。
キョダイマックスバトル! そして背番号「227」
『ソード・シールド』で最も斬新なシステムが、ポケモンをキョダイ化させて戦う「ダイマックス」。さらに特定のポケモンは、キョダイ化させることによって、本来の形状から変化します。この状態を「キョダイマックス」と呼びます。
MVでは、主人公が『ソード・シールド』で新登場したほのおポケモン・エースバーンを繰り出し、チャンピオンのダンデがリザードンで応戦します。双方キョダイマックス、それぞれ最強と名高い新旧ほのおポケモン同士の真っ向勝負。
さらに主人公のユニフォームには「227」の番号が。これは初代『赤・緑』が発売された1996年2月27日を表しているのだと思います。
最新作の主人公も「(ポケモンという歴史とすべての想いを)背負って」んだよなあ……。
他にもめちゃくちゃ解説したいシーンがたくさんあるんですが、そのうち追記できたら良いなと思っております。
あとなによりポケモンも凄いけど、松本理恵監督の演出が素晴らしすぎるんですよね。全人類が新作を常に待望しています。
とりあえずこのMVを300回ほど観ていただいて、最近ポケモンから離れていた人はまたプレイしてほしいし、ポケモンやったことないよ~って人も是非やってみてほしいです。
「ポケットモンスター」という文化
この記事どう思う?
4件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:10150)
だよなぁ?!とか言葉遣いが香ばしくて好き
匿名ハッコウくん(ID:9261)
ポケモン好きは本当に感動するMV
匿名ハッコウくん(ID:4456)
最後の最後にバトルサブウェイとバトルシャトレーヌも出てましたよねー。