芥川賞作家 町屋良平の文章から詩を自動生成 不思議な詩情が宿る?

芥川賞作家 町屋良平の文章から詩を自動生成 不思議な詩情が宿る?
芥川賞作家 町屋良平の文章から詩を自動生成 不思議な詩情が宿る?

『坂下あたると、しじょうの宇宙』/画像はAmazonより

POPなポイントを3行で

  • 町屋良平『坂下あたると、しじょうの宇宙』刊行
  • 特設ページで「詩」の自動生成システムが公開
  • そこから詩情を読み取ることはできるのか?
小説家・町屋良平さんの小説『坂下あたると、しじょうの宇宙』が2月5日に刊行されたことを記念して、集英社文芸単行本公式サイト「RENZABURO」の特設ページで「詩」の自動生成システム「コンピューター詩人坂下あたる」を公開(外部リンク)。

『坂下あたると、しじょうの宇宙』の作中に出てくる文章を使用して、コンピューターがランダムに言葉を並べることで新しい詩をつくるというもの。

特設ページの「詩をもっとみる」を押すことで、Googleスプレッドシートに新たな詩が生成される仕組みになっている。

コンピューターがつくった無作為な詩であるにも関わらず、受け手がそこに意味を考えてしまう不思議な体験ができる。

芥川賞作家が挑んだ『坂下あたると、しじょうの宇宙』

2016年、『青が破れる』で第53回文藝賞を受賞してデビューした小説家の町屋良平さん。

2019年、ボクサーを主人公にした『1R1分34秒』で第160回芥川賞を受賞。『しき』『ぼくはきっとやさしい』『愛が嫌い』といった珠玉の作品を送り出している。

その最新著作『坂下あたると、しじょうの宇宙』は、詩を書いているが評価されない主人公・とその親友で文才があるあたるが小説投稿サイトに突如出現した、あたるの分身のような作品を書くAIと繰り広げる物語。

AIは人間の創作を超えられるのか、オリジナルな文学とは何なのか」を問いかける。

「AIが小説を書く」というのは、もはやそこまで珍しいものではなくなった昨今だが、「コンピューター詩人坂下あたる」は、AIとまではいかないもののそれに近い感覚で、自動生成された作品を楽しむことができる。 町屋さんは「ここにあるのは詩のような言葉たちですが、詩ではないそして素材として自分(町屋)の言葉がある以上、純粋に「コンピューター」でもなければ、「詩」でもないものです。もしそこに「詩情」が読みとれるとしたら、いったいなんなのか?ぜひ奇妙なる言葉の感覚を、体験してみてください」とコメントしている。

瞳がキラキラしてさ

もう秋
回路を
ボヤボヤ考えていた

あたまのなかで
孤独に
甘えている 「コンピューター詩人坂下あたる」より

なんだなんだ

時刻は十二時に近づき
止まらない衝動を
乱すこともなく

心のどこかで
その感情に
見下ろされている 「コンピューター詩人坂下あたる」より

自動生成プログラムと言えば

余談ながら、自動生成プログラムと言えば、歌人・佐々木あららさんによる短歌の自動生成プログラム「星野しずるの犬猿短歌」がある(外部リンク)。

「星野しずる」のキャラクターデザインはイラストレーター・redjuiceさんがてがけている

いくつもの言葉の組み合わせが時に美しい歌となる。その不思議な感覚を、あわせて楽しんでみてほしい。

言葉は面白い

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