創刊から25年を迎えた『Quick Japan』が、常に核としてきた「本当におもしろい」と確信したことだけを活字にするメディアとして、2020年1月15日(水)に本格始動する。
創刊25年を迎えた雑誌『Quick Japan』
隔月誌『Quick Japan』は1994年刊行以来、テレビや新聞が報道しない、編集部の独自のスタンスに基づいた記事づくりを貫いている。創刊当時は、1960年代のアメリカ西海岸で起こった、ロックを聴くことと同じように読むことのできるニュー・ジャーナリズムの精神を、1990年代の日本で展開する試みだった。
扱うカルチャーは幅広く、これまでにさまざまなアーティストやタレントにフォーカス。本誌への登場をきっかけにメジャーとなった人物も多い。 12月25日に発売された最新号ではラッパー・PUNPEEさんの特集を掲載。本人プレゼンツの企画も多数収録されており、こだわりが詰まった50ページにわたる特集となっている。
試行錯誤が続く紙の雑誌
「QJWeb クイック・ジャパン ウェブ」は、本誌の発行元である太田出版との業務提携により、出版広告を主体とした広告事業を展開するとうこう・あいが運営する。雑誌をはじめとする紙の本が売れないといわれて久しいが、出版社による試行錯誤も続く中、近年は多くの雑誌が休刊・廃刊、もしくはWebへの移行を決断している。
最近でもファッション誌の『KERA』や『Zipper』、デザイン雑誌『MdN』などが休刊。一方で、1号限りもしくはWeb版での復活なども相次いでいる。「QJWeb」では本誌を発行しながら毎日ニュースを配信するメディアとして展開される。
編集長「今の時代を生きる言葉が、モノをみる眼が必要」
本誌4代目編集長であり「QJWeb」編集長・森山裕之さんも、ティザーサイトのステイトメントで「紙の雑誌も次から次へとなくなっていきました。それに代わるかのように創刊されたウェブメディアも、急速に変化する時代、収益構造に右往左往しながらあがきつづけています」と言及。消費者の嗜好が多様化した現状を「リアルもネット上もそれぞれが私たちにとって、もうなくてはならない場所になっています」と振り返り、「それでもブレないために、ブレないように変わり続けるために、今の時代を生きる言葉が、モノをみる眼が必要です」と、活字メディアの必要性を説明した。
Web版の展開については「個人の声、個人の視点にこだわり、カルチャー(生活)からニュース(世界)を読むことを実践していきます」とコメント。
独自のピックアップによって存在感を放ってきた『Quick Japan』だが、Web版では「個人」という視点が1つのキーワードになりそうだ。その視点を通じて発信されるカルチャーとニュースに注目していきたい。
森山裕之編集長ステイトメント全文
2020年1月15日、『QJWeb クイック・ジャパン ウェブ』を創刊します
雑誌『クイック・ジャパン』は1993年8月、編集者の赤田祐一が私費を投じ、創刊準備号が出版されました(発行:飛鳥新社)。その後、1994年(平成6年)10月、太田出版から創刊号が発行され、2019年(令和元年)現在まで編集長を交代しながら25年間刊行をつづけています。
『クイック・ジャパン』はテレビや新聞が報道しない、自分が「本当におもしろい」と確信したことだけを活字にする雑誌として創刊されました。1960年代のアメリカ西海岸で起こった、ロックを聴くことと同じように読むことのできるニュー・ジャーナリズムの精神を、1990年代の日本で展開する試みでした。
それから25年後の今日、日本も世界も、外に見える風景も人の中にある風景も大きく変わりました。テレビも新聞もコマーシャルな雑誌も、その頃の元気はありません。雑誌があふれていたコンビニエンスストアは24時間営業をやめるところも出てきました。雑誌の棚が大幅に縮小され、イートインのスペースに変わりました。紙の雑誌も次から次へとなくなっていきました。それに代わるかのように創刊されたウェブメディアも、急速に変化する時代、収益構造に右往左往しながらあがきつづけています。
私たちは、混み合う通勤電車の中スマートフォンでニュースを読み、ワイヤレスのイヤホンで定額サービスの音楽を聴き、仕事中もタイムラインを眺め、夜は配信で映画を観て、眠る前に本、タブレットで文章を読みます。週末は音楽ライブに行き、劇場に出かけ、早起きをして山に登り、フットサルをして、昼からお酒を飲んでSNSにつまみの写真をアップします。10人がいれば10人の場所があります。リアルもネット上もそれぞれが私たちにとって、もうなくてはならない場所になっています。それでもブレないために、ブレないように変わり続けるために、今の時代を生きる言葉が、モノをみる眼が必要です。
2020年1月15日、『QJWeb クイック・ジャパン ウェブ』を創刊します。雑誌『クイック・ジャパン』の刊行と並行し、創刊以来核としてきた私たちが「本当におもしろい」と確信したことだけを活字にするウェブニュースメディアとして毎日の配信をスタートします。
個人の声、個人の視点にこだわり、カルチャー(生活)からニュース(世界)を読むことを実践していきます。今日の世界を知り、生活し、楽しみ、記録し、考えつづけます。あなたにとってもそれが、大事な場所のひとつになりますように。
『QJWeb クイック・ジャパン ウェブ』編集長 森山裕之
メディアの役割について考える
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