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今回は、浅野いにおさん、沙村広明さん、押見修造さん、中村明日美子さん、古屋兎丸さんといった名作家たちの短編を中心にご紹介。
どれも一筋縄ではいかない尖った作品ばかりなので、この機会にぜひ読んでみてください!
後記で作者・吉富昭仁さんも書いているのですが、へんでアホな漫画です。連作になっている表題作のオチが強烈で笑うに笑えませんでした。
ある種の続編である『杉並区立魔法女学園平和維持部』も一緒にどうぞ。
作者・押見修造さんは吃音であることを公にしており、自身の体験も元にしたであろう志乃の葛藤や周囲の無理解の描写が生々しい。
現在と過去の出来事が重層的かつ複雑に、折り重なるように綴られていきます。過去を回想する主人公が乗った夜行列車は、どこへ向かっているのか。時間をあけて、繰り返し読みたくなる漫画です。
1年前に告白して振られた少年と彼を振った少女が、ある出来事をきっかけに身体を重ねてしまい、感情がこんがらがってしまう様子が物悲しい。
2人の心に寄り添うように描かれる海が、眼を見張る美しさで皮肉っぽい。
疑心暗鬼に陥り徐々に狂っていく登場人物の心理描写、陰鬱な雰囲気を醸し出す演出は作者・古屋兎丸さんならでは。前日譚となる『ぼくらの☆ひかりクラブ』上下巻と併せてどうぞ。
淡々とした描写と心をざわざわさせる表情・セリフが織り交ぜられています。どの短編も楽しい気分にはなれず、厭世的で投げやりで、かと思えば微かに救いを感じさせるところがあったり。心に余裕がある時に読みましょう。
表題作の短編『2週間のアバンチュール』は問題作と言っていいでしょう。幼い少女の性の目覚めと一生残るであろう傷、子どもゆえの残酷さなど、強烈な印象を残します。
『無限の住人』『波よ聞いてくれ』などで知られる沙村広明さんの作品です。
きらびやかな噂の裏で、多くの少女たちを飲み込んできたブラッドハーレー家とは何なのか。その顛末がミステリー調で描かれています。あとがきでいろいろぶっちゃけてて面白い。
史実をベースに大胆な設定を加えたストーリーは、ド派手な演出はなくとも作者・沙村広明さんの筆力で読ませます。たった1巻であることを忘れさせる重厚な漫画です。こちらのあとがきは割りと真面目。
今回は、浅野いにおさん、沙村広明さん、押見修造さん、中村明日美子さん、古屋兎丸さんといった名作家たちの短編を中心にご紹介。
どれも一筋縄ではいかない尖った作品ばかりなので、この機会にぜひ読んでみてください!
目次
吉富昭仁『へんなねえさん』『杉並区立魔法女学園平和維持部』
時間を超越する鏡を行き来したり、自分の発明に好き放題やられたり、ある日とつぜん記憶にない姉が現れたり……これらのSF要素にポップなエロをかけ合わせた短編集『へんなねえさん』。後記で作者・吉富昭仁さんも書いているのですが、へんでアホな漫画です。連作になっている表題作のオチが強烈で笑うに笑えませんでした。
ある種の続編である『杉並区立魔法女学園平和維持部』も一緒にどうぞ。
押見修造『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』
誰かと話す時に自分の名前が上手く言えない女子高生・志乃が、クラスメイトの加代と出会い一歩を踏み出す『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』。作者・押見修造さんは吃音であることを公にしており、自身の体験も元にしたであろう志乃の葛藤や周囲の無理解の描写が生々しい。
青山景『ストロボライト』
夜行列車に乗る小説家の主人公が、大学生時代に付き合っていた彼女との出会いと別れまでを振り返る、モノローグのように描かれた『ストロボライト』。現在と過去の出来事が重層的かつ複雑に、折り重なるように綴られていきます。過去を回想する主人公が乗った夜行列車は、どこへ向かっているのか。時間をあけて、繰り返し読みたくなる漫画です。
浅野いにお『うみべの女の子』
『おやすみプンプン』や『零落』で知られる浅野いにおさんが、海辺の町に暮らす中学生のすれ違う心情を描いた『うみべの女の子』。1年前に告白して振られた少年と彼を振った少女が、ある出来事をきっかけに身体を重ねてしまい、感情がこんがらがってしまう様子が物悲しい。
2人の心に寄り添うように描かれる海が、眼を見張る美しさで皮肉っぽい。
古屋兎丸『ライチ☆光クラブ』
秘密基地「光クラブ」に集まった少年たちが、ある目的のために生み出した人造人間・ライチ。その暴走と「光クラブ」の内部崩壊を描く『ライチ☆光クラブ』。疑心暗鬼に陥り徐々に狂っていく登場人物の心理描写、陰鬱な雰囲気を醸し出す演出は作者・古屋兎丸さんならでは。前日譚となる『ぼくらの☆ひかりクラブ』上下巻と併せてどうぞ。
華倫変『高速回線は光うさぎの夢を見るか?』
28歳でこの世を去った鬼才・華倫変(かりんぺん)さんの短編集『高速回線は光うさぎの夢を見るか?』。表題作を含めた全9篇を収録。淡々とした描写と心をざわざわさせる表情・セリフが織り交ぜられています。どの短編も楽しい気分にはなれず、厭世的で投げやりで、かと思えば微かに救いを感じさせるところがあったり。心に余裕がある時に読みましょう。
中村明日美子『2週間のアバンチュール』
官能的な作品を描かせたらピカイチで、ボーイズラブやピュアなラブストーリー、さらにはサスペンスまで描き分ける異才・中村明日美子さんによる短編集です。表題作の短編『2週間のアバンチュール』は問題作と言っていいでしょう。幼い少女の性の目覚めと一生残るであろう傷、子どもゆえの残酷さなど、強烈な印象を残します。
沙村広明『ブラッドハーレーの馬車』
資産家・ブラッドハーレー家の養女になることを夢見ていた孤児院の少女が、憧れのはずだったそこで悪夢を見るという幕開けが強烈な『ブラッドハーレーの馬車』。『無限の住人』『波よ聞いてくれ』などで知られる沙村広明さんの作品です。
きらびやかな噂の裏で、多くの少女たちを飲み込んできたブラッドハーレー家とは何なのか。その顛末がミステリー調で描かれています。あとがきでいろいろぶっちゃけてて面白い。
沙村広明『春風のスネグラチカ』
同じく沙村広明さんの作品から。1933年のソビエト連邦を舞台に、車椅子の少女・ビエールカと物言わぬ従者・シシェノークの数奇な物語が展開される『春風のスネグラチカ』。史実をベースに大胆な設定を加えたストーリーは、ド派手な演出はなくとも作者・沙村広明さんの筆力で読ませます。たった1巻であることを忘れさせる重厚な漫画です。こちらのあとがきは割りと真面目。
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