デビューできるメンバーの座を目指し、現役アイドル、元アイドル、そしてアイドルの卵である練習生がぶつかり合い成長していく姿を観たファンの投票により結果が決まる。
従来のオーディション番組とは違ったサバイバル形式は、ここ数年のトレンドとなっています。中国でも公式ライセンス版よりも先にコピー番組が制作・放送されるなど、アジア各国で人気を博しているのが韓国発のアイドルサバイバル・プログラムです。
チェンマイの姉妹グループ・CGM48が発表され話題となったAKB48系列のBNK48や、日本人メンバーのいるSiam☆Dream(サイアムドリーム)など、日本式のアイドルが人気のタイでも韓国式のアイドルサバイバル・プログラムは人気を集めています。
このサバイバル方式を取り入れたタイのアイドルグループ・Black Forest(ブラックフォレスト)が誕生、6月にはサバイバルを終え正規メンバーが発表されることになっています。
そのメンバーの1人であるファニーさんは、実は韓国の芸能事務所で3年間、厳しい練習生として活動。
また、日本の人気ゲーム「THE IDOLM@STER」にアイドルサバイバル・プログラムを掛け合わせた、実在のアイドルが競演する韓国ドラマ『アイドルマスターKR.』への出演も果たしています。
もともとは日本のアイドルのファンだったタイの少女がなぜ韓国で夢を追い、いま自国のタイでアイドルへの再チャレンジに挑んでいるのか……。
彼女へのインタビューでは、日本・韓国・タイのアイドル文化の違いや、韓国での練習生時代のお話、いま話題のアイドルサバイバル・プログラムについて、自身の想いを語ってくれました。
ハロプロに憧れた少女時代
ファニーさんは現在24歳の大学4年生。高校生時代はハロプロだけではなく日本のローカルアイドルなどにも興味を持ち、幅広くアイドルを好きになっていったそうです。ファニー もともと子供のころから歌うことや踊ることが大好きで、家族もそんな私を応援してくれて、小さな頃からそういった習い事をしていました。日本のアイドル、特にハロー!プロジェクト(ハロプロ)に憧れて影響されていましたね。
アイドルとしてのこれからの夢を語り無邪気に笑うファニーさんですが、いまアイドルを続けている裏ではつらく厳しい冬の時代もありました。ファニー 歌やダンスだけでなく、アイドルからファッションやライフスタイルまで影響を受けるようになって。いつの日か「私もこうなりたい」と思うようになりました。
自分以外の誰かに、ファッションだけではなくて人生としても……何か幸せになってもらえるような影響を与えられる人になりたいって思ったんです。
私自身もアイドルからもらった物が多いので、自分にもできればいいなと。アイドルとして何かを与える側になって、自分のファンの人を幸せにしてあげたいんです!
K-POPの中で存在感が増しているタイ系メンバーの存在
コーチェラ・フェスティバル2019にも出演し、日本でも若い女性を中心に人気のBLACK PINK。
Instagramのフォロワー数が1300万人以上と韓国女性芸能人の中でトップの人気を誇るメンバーのLISAさんは、韓国人ではなくタイ人です。
以前よりタイをルーツとしたメンバーがK-POPアイドルグループにはいます。
2008年にデビューしたボーイズグループ・2PMにはタイ系アメリカ人のニックンさんが、2012年にデビューしたガールズグループのTiny-Gには、「アイドルマスターKR.」にも出演し劇中の「Real girls project(R.G.P)」のメンバーでもあり、現在ソロ活動をしているミントさんが所属しています。
その後も続々と数を増やし、2PMの後輩である2014年デビューのボーイズグループ・GOT7にはベンベンさんが所属。
2015年デビューのガールズグループ・CLCにはソンさん、BoAや東方神起の後輩で2016年デビューのボーイズグループ・NCTにはテンさん。
そしてCLCの後輩であり、2018年にデビューからわずか20日で音楽番組チャート1位を獲得し日本デビューを控える(G)I-DLEにはミンニさん。
ほかにも、乃木坂46の1期生メンバーだったMAHIROさんが所属し話題となったZ-GirlsにはBellさんと、K-POPグループにおけるタイ人やタイ系メンバーは、韓国アイドルのグローバル化や市場の拡大に伴いだんだんと増えています。
いま日本では第3次韓流ブームと言われていますが、タイでは日本よりも根強くK-POPのブームが続いています。ファニー 韓国での3年間の練習生としての活動を終えてタイに帰国した際、仕事のオファーをたくさんいただきました。本場韓国でレッスンをしてきたということで、“元K-POP練習生”のタイでの需要は高いみたいです。
約10年前から、K-POPアイドルはタイの若者向け商品のコマーシャルやコンテンツに出演し、韓国政府による海外への文化輸出を推進する後押しの流れもあり、東南アジアでのプロモーションも積極的に行われてきました。
コピーダンス等ファンによる非公式イベントも日本より盛んです。日本でもK-POPに憧れダンスレッスンやオーディションを受ける人が増えたように、タイでも韓国芸能界に憧れる若者も多いとのこと。
狭き門であるオーディションに合格し、憧れの存在であった韓国芸能界の切符を手に入れたファニーさん。ファニー 昔の私はハロプロだけではなく、日本のローカルアイドルも好きでした。でも大学に進学すると周りはK-POPを好きな友達ばかり。そこから影響を受けたんです。
友達から韓国のアイドルの映像を観せてもらったら、衝撃的で。もともと私は音楽もダンスも大好きで習っていましたから、韓国のアイドルは歌もダンスもすごいな!って。
パフォーマンスのレベルがとても高くて上手なので、すぐ魅了されてしまいました。そこからオーディションを受けて、韓国でのアイドルとしての一歩を踏み出しました。
大学に入学したばかりでしたが、こうして韓国での夢を追いかけることとなったのです。
過酷な練習生生活のスタート
アイドルサバイバル番組ではない、一般的なオーディションでの合格やスカウトの場合、韓国では日本のアイドルのようにすぐにデビューができるわけではありません。事務所所属の練習生として、主な活動が朝から晩までレッスンという過酷な生活がスタートします。
短期間でのデビューは稀でたいていは3年以上、なかには10年近くの歳月をデビューまでに費やしたアイドルもいます。
何年かけてもデビューのチャンスを掴めず、志半ばで諦めざるをえない練習生も少なくありません。
当時目標にしていたアイドルは、偶然にもサバイバル・プログラム出身者でした。ファニーさん 早朝から深夜までレッスンして、スタイル維持のために食事制限も必要です。
旅行で何度か行ったことがある日本のコンビニが好きなので、メンバー同士で「日本のコンビニってこんなモノも売っていて美味しいんだよ」「いいな~行ってみたい!」と話した思い出もあります(笑)。
韓国もタイも日本のコンビニみたいに商品が豊富じゃないんですよ。お腹が空いても食べられないから、そのことを思い出していました(笑)。
ファニーさんが練習生当時から大ブームのサバイバル・プログラムは、出演するには狭き門でした。彼女も「プロデュース101」と同じ放送局のM-netで制作された「アイドル学校」のオーディションに挑戦しましたが惜しくも出演ならず。ファニー 韓国で練習生をしていたときは、「プロデュース48」と同じアイドルサバイバル・プログラム「プロデュース101」出身のチョンハさんに憧れていました。
本当にダンスも歌もすごく上手なんです。それから私自身、音楽を学んでいたので、ギターで作曲もされている「プロデュース101」セカンドシーズン出身のチョンセウンさんも憧れです。
「アイドル学校」には、人気アイドルグループ・TWICEを結成するに至ったサバイバル・プログラム「SIXTEEN」にも出演したタイ人の練習生・ナッティさんが出演し話題となりました。
ファニーさんはそんな厳しいレッスン生活や、『アイドルマスターKR.』ではラッパーのハソさんとストリートパフォーマンスのメッカであるホンデでラップバトルするライバルチームとして出演するなど、先輩アイドルのMV・メディア出演を重ねてデビューというチャンスを掴みます。ファニーさん 韓国とタイでは文化的な違いもあって、精神的にも大変でした。韓国に住んでいたらよく完璧を求められるんです。事務所から「完璧にしなさい」「もっと頑張らないとステージには出られないよ」といつも言われていました。
ファニー ついにデビューが決まったんです。すでにデビュー曲は2曲出来上がっていて、ダンスの振り付けやレコーディングも完璧に終わっていました。一緒にデビューするはずだったグループのメンバーもそのときは決まっていたんですが……。
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カレー当番
アジアと日本をつなぐポップカルチャーが大好きです。
タイの女子アイドルが好きすぎて金なしコネなし学なしでバンコク移住し全国紙に単独インタビューが掲載されてしまったり、韓国の女子アイドルが好きすぎて現地バラエティ番組のスタジオに呼ばれたりと、かわいい女の子を見つめ続けています。
タイランドスペシャリスト検定合格。
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