ネット上に違法にアップロードされた漫画などのコンテンツを、著作権を侵害していると知りながらダウンロードすることを全面的に違法とする政府の方針に、専門家や研究者、弁護士ら87人が緊急で共同声明を発表した。
社会問題となった「漫画村」などの海賊版の被害実態に端を発した法改正の動きだが、ダウンロード違法化の対象範囲拡大については以前から反対意見が続出していた。
2月13日に文化庁の文化審議会著作権分科会報告書(分科会報告書)でその方針がいよいよ固まって以降、著作者であるクリエイターやネットユーザーから懸念する声が上がっている。
文化庁がまとめた分科会報告書では、著作権法30条に規定する「私的使用目的の複製」に関し、「ダウンロード違法化」の対象範囲を見直し、規制対象を著作物全般に拡大することを提言。
報告書を踏まえて著作権法の改正案を作成し、法案を2019年に通常国会へ提出する見通しとなっている。
それに異を唱える共同声明では、「ダウンロード違法化の対象範囲について、立法措置を図るに際しては、さらに慎重な議論を重ねることが必要」と言及。
規制対象を被害実態の明らかになっている海賊版対策に必要な範囲に限定したうえで、「刑事罰についてはその萎縮効果の大きさに鑑みて更なる限定を行うことが不可欠であると考える」と表明している。
今回の政府による法改正では、その対象範囲を漫画や雑誌、小説、写真、論文など、ネット上のあらゆるコンテンツに拡大する方針。なお公式サイトで配信されたイラストなどは対象外となる。
とはいえ、何が違法で何が適法なのかわかりにくい部分も多い。漫画家の赤松健さんが弁護士とともに「AbemaTV」に出演して解説した番組も大きな反響を得た(外部リンク)。
現状は、Kindleなどの公式に配信された電子書籍のスクリーンショットが違法とはならない。
一方で、ダウンロード違法化の拙速な対処は、創作や研究といった活動を萎縮させる要素を孕んでいると指摘されている。
ここに賛同者として84人の研究者や専門家、弁護士、さらに団体であるクリエイティブ・コモンズ・ジャパンが加わった。
声明では、拙速な法改正は、「私的領域における情報収集の自由を確保する機能を有し個人の知的・文化的活動、さらには日本の産業を支える法的基盤となっている」現状を萎縮させると指摘。
一方、緊急声明の補足資料では、「一口に『違法』といっても、著作権侵害の態様は、書籍を全部コピーするようなものから、数行を転載するものまで、多種多様」と、著作権者に与える不利益の度合いには極めて広い幅がある点を訴えている。
さらに同補足資料において、「法改正は、被害が深刻な海賊版への対策を目的とするものであることを確認する必要がある」と説明。
日常的な情報収集やクリエイターの創作活動などを振り返りながら、「海賊版のケースを除いて、著作権者に深刻な経済的打撃を与えている事実は把握されていない」と、現状を反映したうえでの改正を説いている。
特に漫画家といった著作権者からも、海賊版対策を超える広範な規制を望んでいない声が相次いでおり、政府は「誰のための法改正か」を十分に考える必要があると主張している。
社会問題となった「漫画村」などの海賊版の被害実態に端を発した法改正の動きだが、ダウンロード違法化の対象範囲拡大については以前から反対意見が続出していた。
2月13日に文化庁の文化審議会著作権分科会報告書(分科会報告書)でその方針がいよいよ固まって以降、著作者であるクリエイターやネットユーザーから懸念する声が上がっている。
文化庁がまとめた分科会報告書では、著作権法30条に規定する「私的使用目的の複製」に関し、「ダウンロード違法化」の対象範囲を見直し、規制対象を著作物全般に拡大することを提言。
報告書を踏まえて著作権法の改正案を作成し、法案を2019年に通常国会へ提出する見通しとなっている。
それに異を唱える共同声明では、「ダウンロード違法化の対象範囲について、立法措置を図るに際しては、さらに慎重な議論を重ねることが必要」と言及。
規制対象を被害実態の明らかになっている海賊版対策に必要な範囲に限定したうえで、「刑事罰についてはその萎縮効果の大きさに鑑みて更なる限定を行うことが不可欠であると考える」と表明している。
「誰のための法改正か」懸念を生むダウンロード違法化
違法アップロードについては、これまで他人が著作権を持つコンテンツの無断アップロードや、違法にアップロードされたことを知りながら映像や音楽をダウンロードする行為は違法だった。今回の政府による法改正では、その対象範囲を漫画や雑誌、小説、写真、論文など、ネット上のあらゆるコンテンツに拡大する方針。なお公式サイトで配信されたイラストなどは対象外となる。
とはいえ、何が違法で何が適法なのかわかりにくい部分も多い。漫画家の赤松健さんが弁護士とともに「AbemaTV」に出演して解説した番組も大きな反響を得た(外部リンク)。
現状は、Kindleなどの公式に配信された電子書籍のスクリーンショットが違法とはならない。
一方で、ダウンロード違法化の拙速な対処は、創作や研究といった活動を萎縮させる要素を孕んでいると指摘されている。
被害が深刻な海賊版への対策を求める
緊急声明の呼びかけ人となったのは、明治大学知的財産法政策研究所長/明治大学専門職大学院法務研究科教授・高倉成男さん、東京大学名誉教授/明治大学研究・知財戦略機構顧問の中山信弘さん、明治大学法学部准教授・金子敏哉さんの3人。ダウンロードの違法化拡大の見直しを求める緊急声明が出ました!こちら、ご賛同いただける場合には拡散お願いいたします。
— 水野 祐 Tasuku Mizuno 🙊 (@TasukuMizuno) 2019年2月19日
共同声明「ダウンロード違法化の対象範囲の見直し」に関する緊急声明」- 明治大学知的財産法政策研究所https://t.co/yv38RxluTM
ここに賛同者として84人の研究者や専門家、弁護士、さらに団体であるクリエイティブ・コモンズ・ジャパンが加わった。
声明では、拙速な法改正は、「私的領域における情報収集の自由を確保する機能を有し個人の知的・文化的活動、さらには日本の産業を支える法的基盤となっている」現状を萎縮させると指摘。
一方、緊急声明の補足資料では、「一口に『違法』といっても、著作権侵害の態様は、書籍を全部コピーするようなものから、数行を転載するものまで、多種多様」と、著作権者に与える不利益の度合いには極めて広い幅がある点を訴えている。
さらに同補足資料において、「法改正は、被害が深刻な海賊版への対策を目的とするものであることを確認する必要がある」と説明。
日常的な情報収集やクリエイターの創作活動などを振り返りながら、「海賊版のケースを除いて、著作権者に深刻な経済的打撃を与えている事実は把握されていない」と、現状を反映したうえでの改正を説いている。
特に漫画家といった著作権者からも、海賊版対策を超える広範な規制を望んでいない声が相次いでおり、政府は「誰のための法改正か」を十分に考える必要があると主張している。
海賊版対策を巡る議論
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