前作『ホーホケキョ となりの山田くん』以来、14年ぶりの監督作として2013年11月に公開された『かぐや姫の物語』。
高畑監督の集大成的な作品であり、製作期間8年、制作費50億円以上をかけ、興行収入は24.7億円を記録。
米アカデミー賞長編アニメ映画賞にもノミネートするなど国内外で高評価を得た。
高畑勲監督の遺作となった『かぐや姫の物語』
『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』『平成狸合戦ぽんぽこ』などで知られる高畑勲監督は、4月5日に肺がんのため82歳で亡くなった。日本を代表する巨匠の死は、日本のメディアだけではなく、BBCはじめ海外メディアでも大きく報じられた。'Grave of the Fireflies' director Isao Takahata dies at 82 https://t.co/fHoxF9e51m
— BBC News (World) (@BBCWorld) 2018年4月6日
結果的に高畑監督の最後の監督作品となった『かぐや姫の物語』は、海外レビューサイトでも高い評価を獲得している。
高畑勲が描こうとした本当のかぐや姫の物語とは?
公開当時「姫の犯した罪と罰」というキャッチコピーが印象的だった本作は、東映動画(現・東映アニメーション)時代の企画で高畑監督が考えたプロットが根底にある。その中で高畑監督は、原作の『竹取物語』で語られた、かぐや姫が地上に来た理由である「昔の契り」、地上での生活で償った「罪」が、それぞれどのようなものだったかを表現しようと創案。
かぐや姫を取り巻く謎を解く方法として、月世界を出発するかぐや姫と父王との会話シーンを冒頭のプロローグに考えたという。
案自体はボツとなってしまったが、『かぐや姫の物語』では当時の構想を持ちながらも、最終的にはプロローグなしで表現しようという野心がにじみ出ている。
そんな同作には、朝倉あきさんや高良健吾さん、地井武男さん、上川隆也さん、伊集院光さんらが声優として出演。(『かぐや姫の物語』で)私はこのシーンを冒頭につけることはしませんでした。『竹取物語』には描かれていない「かぐや姫のほんとうの物語」を探り当てさえすれば、プロローグなどなくていい。
物語の基本の筋書きはまったく変えないまま、笑いも涙もある面白い映画に仕立てられる。そしてかぐや姫を、感情移入さえ可能な人物として、人の心に残すことができるはずだ。
私はそんな大それた野心を抱いて、「かぐや姫の物語」に取りかかりました。『かぐや姫の物語』公式サイト内、監督の言葉より
プロデューサーをつとめたのは、現在スタジオポノックの代表である西村義明さんだ。
国内外で評価された高畑勲監督が何を描こうとしたのか。見たことがある人もそうでない人も、この機会に「本当のかぐや姫の物語」を探り当ててみてはどうだろうか。
クリエイターが作品で描こうとするもの
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