みなさん、年越しはどのように過ごしましたか?
「NHK紅白歌合戦」、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」(ガキ使)といったテレビ番組を実家に帰りだらだら見ながら過ごす人、好きなアーティストの出るカウントダウンライブに足を運んだ人、友達や恋人とゆっくり新年を迎えた人──年越しの瞬間には、その人の人間性や、その人がこの1年を過ごしてきた環境が大きく表れる。 だとしたら、渋谷のストリートで年を越す人たちはどういった一年を過ごしてきたのだろうか。
KAI-YOU編集部では、これまでも渋谷の街で年を越す人々とその光景を伝えてきた。
2016年から2017年へ。その瞬間に起きた渋谷の様子の一部始終をレポートしたい。
取材:米村智水、新見直 写真:ヤマシタヒロヒサ渋谷カウントダウンの狂騒 封鎖されたスクランブル交差点の真相
今年も尋常ではない人員が投下されていた警備隊。だが、まず驚いたのが、昨年までは尋常ではないほどに厳しかった交通規制が緩和されていたことだ。
これまでは、車道だけでなく、歩道ですらも何箇所も関門が用意され、よほどの理由がない限りそれを通過することは許されなかった。ふだんの生活で使っている歩道がほとんど歩けなくなり、より混雑を助長する結果となっていたのは、街の人々に話を聞いても同じ感想だった。
一転して、2016年の年越し時には、スクランブル交差点一帯が大晦日初の歩行者天国に。
警備体制、交通規制の緩和について、警察の方に話を聞いてみたものの「昨年までと変えたつもりはない」という。しかし、そう語りながらもなぜかニヤリと含みのある回答だったことも記しておきたい。 要所要所で関門はあるものの、比較的自由に渋谷中を歩くことができた。
さらに「渋谷のカウントダウン」がイベント化され、109付近には謎のモニュメントも出現。4面に展開されている電光掲示板でもカウントダウンが煽られるなど、企業広告の参入が見られた点が新しかった。
これまで渋谷の年越しは、警察と民間人との衝突、喧嘩、逮捕の場面などが多くみられ殺伐としていた。だが、暴力ではなく、単純に祝祭の日として盛り上がりを見せていたのは良いことだといえるだろう。
この日は完全に、地面がまったく見えないほどに人で埋め尽くされていた。まったく身動きがとれず、肩車をしたり飛び跳ねたり、もうメチャクチャだった。 10カウントがはじまる。「10!!! 9!!! 8!!! 7!!!!!」と渋谷中から声が鳴り響く。特にスクランブル交差点付近は、それを囲うかのようにビルが立ち並ぶためか、声が夜空に向かって大きく反響。盛り上がりに加担する要因になっていたように思う。
この光景を写真におさめたいと、多くの人がスマートフォンを掲げる中、渋谷は2017年を迎えた。
また、スピーカーやアンプを持ち込んで即席DJを行う人の姿も。音の鳴るほうに人々が集まり、もはや都会の突如出現したレイヴ会場のような盛り上がりを呈していた。 爆音と喧騒の最中、センター街を掃除するおじさんに話を聞いてみると、渋谷区の職員さんだった。 毎年恒例の乱痴気騒ぎとあまりのゴミの量に、さぞかし嫌な思いをしているのだろうと思いきや「楽しんでいますよ」と朗らかに言う。
ふだん中々見ることのできない若者の熱量が爆発する大晦日/元旦の夜、それは大人たちにとっても物珍しいものとして映るのだろうか。 終わってみれば、例年の渋谷とまったく変わらない喧騒だった。この無秩序さの中にあっても、多くの笑顔がみられた。
人はなぜ渋谷に集まるのか? その理由の一つが、何も気にせず自由に振舞っていても誰かに後ろ指をさされるわけでもなく、自然体に楽しめる多様的な場が成り立っていることだ。
ともあれ、怪我人や飲みすぎなどにより、搬送される人も何人かみた。自由には責任がつきまとう。その人たちにとっては最悪の年越しとなっただろう。
2017年もKAI-YOUでは、渋谷の路上から生まれる人々とその文化を追っていくつもりだ。どうぞ新年もよろしくお願いいたします。
「NHK紅白歌合戦」、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」(ガキ使)といったテレビ番組を実家に帰りだらだら見ながら過ごす人、好きなアーティストの出るカウントダウンライブに足を運んだ人、友達や恋人とゆっくり新年を迎えた人──年越しの瞬間には、その人の人間性や、その人がこの1年を過ごしてきた環境が大きく表れる。 だとしたら、渋谷のストリートで年を越す人たちはどういった一年を過ごしてきたのだろうか。
KAI-YOU編集部では、これまでも渋谷の街で年を越す人々とその光景を伝えてきた。
2016年から2017年へ。その瞬間に起きた渋谷の様子の一部始終をレポートしたい。
取材:米村智水、新見直 写真:ヤマシタヒロヒサ
規制が緩くなって増したパーティー感
例年、渋谷の年越しには大量の警察官・警備隊が出動。2015年から2016年の年越しには1000人以上もの警察官が投入されたことは1年前に報じた通り。一転して、2016年の年越し時には、スクランブル交差点一帯が大晦日初の歩行者天国に。
警備体制、交通規制の緩和について、警察の方に話を聞いてみたものの「昨年までと変えたつもりはない」という。しかし、そう語りながらもなぜかニヤリと含みのある回答だったことも記しておきたい。 要所要所で関門はあるものの、比較的自由に渋谷中を歩くことができた。
さらに「渋谷のカウントダウン」がイベント化され、109付近には謎のモニュメントも出現。4面に展開されている電光掲示板でもカウントダウンが煽られるなど、企業広告の参入が見られた点が新しかった。
これまで渋谷の年越しは、警察と民間人との衝突、喧嘩、逮捕の場面などが多くみられ殺伐としていた。だが、暴力ではなく、単純に祝祭の日として盛り上がりを見せていたのは良いことだといえるだろう。
カウントダウン間際 怒号の飛び交う渋谷の大晦日
上述した通り、これまでは自然発生的に人々が口を揃えてカウントダウンを行っていたのだが、2017年を迎えるこの夜には、スクランブル交差点付近で一望できる電光掲示板群でカウントダウンは盛大に行われた。 もちろん車は完全に通ることができない。歩行者天国状態となった渋谷駅前のスクランブル交差点に人が集まるのは自然の摂理だ。109前、道玄坂の入り口までこの絨毯のように敷き詰まった人々の群れは続く。 特別な日でなくとも、観光できた外国人や売名したいYouTuberや芸人やバンドマン、宗教の勧誘、フリーハグを求める変な人まで、特別な力でも働いているのか、なぜか自然とスクランブル交差点の周辺に集まる。この日は完全に、地面がまったく見えないほどに人で埋め尽くされていた。まったく身動きがとれず、肩車をしたり飛び跳ねたり、もうメチャクチャだった。 10カウントがはじまる。「10!!! 9!!! 8!!! 7!!!!!」と渋谷中から声が鳴り響く。特にスクランブル交差点付近は、それを囲うかのようにビルが立ち並ぶためか、声が夜空に向かって大きく反響。盛り上がりに加担する要因になっていたように思う。
この光景を写真におさめたいと、多くの人がスマートフォンを掲げる中、渋谷は2017年を迎えた。
レイヴ会場と化す渋谷・センター街
無事にカウントダウンを見届けた我々はセンター街へと向かった。毎年ゴミ問題などで話題となってしまう場所だが、案の定、カウントダウンを迎えた人々で激しい往来。また、スピーカーやアンプを持ち込んで即席DJを行う人の姿も。音の鳴るほうに人々が集まり、もはや都会の突如出現したレイヴ会場のような盛り上がりを呈していた。 爆音と喧騒の最中、センター街を掃除するおじさんに話を聞いてみると、渋谷区の職員さんだった。 毎年恒例の乱痴気騒ぎとあまりのゴミの量に、さぞかし嫌な思いをしているのだろうと思いきや「楽しんでいますよ」と朗らかに言う。
ふだん中々見ることのできない若者の熱量が爆発する大晦日/元旦の夜、それは大人たちにとっても物珍しいものとして映るのだろうか。 終わってみれば、例年の渋谷とまったく変わらない喧騒だった。この無秩序さの中にあっても、多くの笑顔がみられた。
人はなぜ渋谷に集まるのか? その理由の一つが、何も気にせず自由に振舞っていても誰かに後ろ指をさされるわけでもなく、自然体に楽しめる多様的な場が成り立っていることだ。
ともあれ、怪我人や飲みすぎなどにより、搬送される人も何人かみた。自由には責任がつきまとう。その人たちにとっては最悪の年越しとなっただろう。
2017年もKAI-YOUでは、渋谷の路上から生まれる人々とその文化を追っていくつもりだ。どうぞ新年もよろしくお願いいたします。
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連載
日本が世界に誇るべき最高のポップシティ、渋谷。 あらゆるカルチャーと人種が集まるこの街で、毎日のように繰り広げられるパーティー、愛のはじまり、夢の終わり、高揚感と喧噪、その捉えがたきポップの断片をかき集める人気連続企画。 2010年代は渋谷から発信されていく、と思う。
1件のコメント
米村 智水
死亡者がでてから規制強化されたという話だったけれど、やっぱり人が集まるところでビジネスは動くので今年はスポンサーとかがしっかりついたのと、警備についても毎年のノウハウが蓄積されてた結果、規制しすぎはかえって逆効果だった、結論を出したのかもしれない。
2017年の大晦日もまた元気に取材できるといいなと思いました。