湯浅政明監督の新作長編アニメーション映画『ひな菊の人生(英題:Daisy's Life)』が、2026年に公開される。アメリカのWebメディア「Variety」が独占記事で伝えた(外部リンク)。
報道によると、原作は作家・よしもとばななさんの小説『ひな菊の人生』。映画『化け猫あんずちゃん』への参加で知られるフランスの映像制作会社・Miyu Productionsとの合作だ。
湯浅政明監督は2月18日にアニメスタジオ・ame pippinの設立を発表。『Daisy's Life』は世界中のアニメファンが待ち望んだ、同スタジオ第1弾作品となる。
※4月15日追記:正式発表を受けてその内容を追記
よしもとばなな、奈良美智による小説『ひな菊の人生』
『Daisy's Life』の原作である『ひな菊の人生』は、よしもとばななさんによる小説。イラストは奈良美智さんが担当。大切な人が次々と去っていってしまう少女・ひな菊の人生を描いた。
アニメでは脚本を田中幸子さんが担当。ame pippinにも参画するアスミック・エースが製作を主導する。
『ひな菊の人生』文庫版/画像はAmazonから
湯浅政明監督は『Daisy's Life』について、「よしもとばななさんの作品の中でも、全体的に映像的なイメージを喚起させる小説で、生々しく怖い部分もあるのですが、最後の一節はとてもハッピーで、昔夢見たような感じです。半径100メートルの繁華街の焼きそば屋で働く主人公の人生を、宇宙的なスケールで描きたいです」とVarietyの取材に明かしている。
また、ame pippinと共同制作するMiyu Productionsのプロデューサー・Emmanuel-Alain RaynalさんとPierre Baussaronさんは、「現代における最も偉大なアニメーション作家の一人である湯浅政明監督のプロジェクトで、パートナーシップを結べることを嬉しく、光栄に思います」と語った。
加えて、Varietyの記事では「奈良美智は、幼少期のキャラクターデザインに独特の画風を提供し、映画の夢のようなトーンに感情的なリアリズムのタッチを加える」と書かれており、奈良美智さんの映画への関与も気になるところだ。
4月15日追記:奈良美智がキャラクター原案として参加
『ひな菊の人生』では、キャラクター原案(幼少期)として奈良美智さんが参加。映画における幼少期のキャラクターは、世界の主要美術館に所蔵され、アジアでも絶大な人気を誇る奈良美智さんの原作挿画をもとに制作される。
また本作は、世界最大規模のアニメーション映画祭として知られる「アヌシー国際アニメーション映画祭2025」の「Work in Progress」部門への選出が決定。
現地時間6月13日には、湯浅政明監督らが登壇し、現地のファンや世界の関係者に向け、現在制作進行中である本作のプレゼンテーションを行う。
『ひな菊の人生』原作挿画
新スタジオ・ame pippinを設立した湯浅政明
湯浅政明監督は、1965年3月16日生まれ、福岡県出身のアニメーション監督。
TVアニメ『ちびまる子ちゃん』や『クレヨンしんちゃん』などにメインスタッフとして携わった後、初の映画監督作品『マインド・ゲーム』を発表した。
2013年に韓国出身のアニメーターのチェ・ウニョンさんとサイエンスSARUを設立。『ピンポン THE ANIMATION』『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』『きみと、波にのれたら』『映像研には手を出すな!』『犬王』などを手がけてきた。
2020年にアニメスタジオ・サイエンスSARUの代表取締役を退任。映画『犬王』が公開された2022年5月から休養期間に入った。
米国ゴールデングローブ賞にノミネートされた『犬王』をはじめ、絵を動かすことへのこだわりを感じさせる作風は唯一無二。独自のスタイルは国内外のクリエイターから支持されており、次回作への期待が高まる中で2025年2月にame pippinを設立した。

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作品情報
『ひな菊の人生』(英題:Daisy's Life)
- 公開表記
- 2026年全国公開
- 原作
- 「ひな菊の人生」吉本ばなな(幻冬舎文庫刊)
- 監督
- 湯浅政明
- キャラクター原案(幼少期)
- 奈良美智
- 脚本
- 田中幸子
- アニメーション制作
- ame pippin、Miyu Productions
- 製作
- Daisy's Life Film Partners (日仏共同製作)
■STORY
幼い頃に、ただ1人の家族だった母を事故で亡くしたひな菊。
長く寂しい梅雨の夜、小さなひな菊はひとり、たて笛を吹く。その音を聞きつけてはやって来て、彼女を唯一支えたのは親友のダリアだ。
ダリアが母の故郷ブラジルへと旅立ち十数年。大人になったひな菊は、叔父と叔母が営むお店で焼きそばをつくりながら居候生活をしている。
梅雨のある日、母を亡くした夜と同じ土砂降りの中、ブラジルから1通の手紙が届く。
そこには、遠く離れ、二度と会うことのなかった二人の孤独な魂の不思議なつながりが記されていて――。
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