映画配給大手の東宝が10月16日、北米を中心にアニメーションの製作と配給を手がけるGKIDS社と株式譲渡契約を締結したと報告。同社の子会社化を発表した。
同社は宮﨑駿さん、新海誠さん、細田守さん、湯浅政明さん、庵野秀明さんら多くの監督の作品の米国配給を担当。アカデミー賞を受賞した『君たちはどう生きるか』もGKIDS社の配給だ。
東宝は前日に新海誠監督作品で知られるアニメ制作会社のコミックス・ウェーブ・フィルムの一部株式を取得。5月には海外からの支持も多いサイエンスSARUを子会社化している。
国内外のアニメや映画配給における東宝の存在感がさらに強まりそうだ。
ジブリ作品などアカデミー賞にアニメを送り込む配給会社GKIDS
GKIDS社は、ニューヨークとロサンゼルスに拠点を持つ、北米を代表する配給会社。
国際的なアニメーションの劇場公開やマーケティング、プロモーション、ブランディング、販売などの事業を展開している。
もともとインディペンデント作品や海外の良質なアニメーションを北米をはじめ海外に届けてきた。過去に配給した13作品が、アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネート。ハリウッドメジャー以外の配給会社で、同部門に唯一ノミネート作品を送り込む企業だ。
日本アニメの海外配給における有力企業としても知られ、東宝とはスタジオジブリ作品の北米配給会社として長年の協力関係にある。
加えて、新海誠監督『天気の子』、細田守監督『竜とそばかすの姫』、湯浅政明監督『犬王』、庵野秀明監督『新世紀エヴァンゲリオン』、今敏監督『パーフェクトブルー』、今石洋之監督『プロメア』などの北米展開も担当してきた。
海外ビジネス強化の東宝、サイエンスSARUも子会社化
東宝は、2022年4月から「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」を掲げ、成長戦略のキーワードのひとつとして、市場拡大の余地が大きい海外でのビジネス拡大を目指している。
5月には、湯浅政明監督作品や山田尚子監督作品で知られ、海外アニメファンからの注目度が高いアニメスタジオ・サイエンスSARUを子会社化。明確に海外を意識した展開を見せている。
GKIDS社の子会社化にあたって東宝の代表取締役社長・松岡宏泰さんは、「GKIDSは、その勤勉さ、誠実さ、ビジョンを通じて、米国市場で独自の地位を築いており、東宝の強みと戦略的使命と見事に合致しています」とコメント。
一方で、GKIDS社のエリック・ベックマンCEOとデイヴ・ジェステッド社長は連名で、事業はこれまでと変わらないとしつつ「これからは、補完的且つ伝説的な親会社の支援を受けることとなります」と説明。
さらに「ゴジラや黒澤明、『僕のヒーローアカデミア』『呪術廻戦』のような大ヒットアニメフラン チャイズの故郷であり、尊敬と名声を誇る東宝と手を組むことになり本当に感激しています」と喜びを語っている。
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