同人即売会「コミックマーケット104(C104)」が、8月11日から12日にかけて東京ビッグサイトで開催された。
夏の日差しが照り付ける中、イベントには、両日あわせて26万人が訪れた。
同人作品の祭典として知られるコミックマーケットだが、イベントの盛り上がりを支える要素の1つに企業ブースがある。
ゲーム、アニメ、漫画、VTuberなど、ポップカルチャーに関する企業がグッズの販売や独自の企画などを展開。企業ブースのエリアは、同人エリアと同じく、多くの来場者が行き交う。
今回そんな企業エリアに、トレーディングカードの鑑定やグレーディングを行うPSAの日本支社が初めて出展した。KAI-YOU.net編集部では、PSA日本支社代表のトニー・アラム氏に、どのような狙いを持って出展したのかインタビューを行った。
世界でも信頼されるPSAの鑑定
PSA(Professional Sports Authenticator)は、トレーディングカードの真贋鑑定やグレーディングを行うアメリカの企業。1991年の創業、2018年に日本支社を設立している。
これまでに鑑定を行ってきた点数は7000万点以上にも上る。
郵送して鑑定に出したカードは真贋鑑定が行われたのち、保存状態によって10段階にグレーディング。特殊なケースに入れられて返却される。
長年鑑定を行ってきたことによるブランド性や、公式で鑑定されたカードのデータベースを公開していることで、ユーザーからの信頼を得ている。
2021年には、『Magic: The Gathering』の有名高額カード「Black Lotus」が、eBayのオークションに出品。
この1枚が、PSAの鑑定によって保存状態が最高グレードの「PSA10-GemMint」だと判定されたものだったため、一時は価格が1億円にまで吊り上がり話題になった。
近年のTCG需要の増大によって、カードのコレクション的価値が重視された結果、PSAへの鑑定の出品も増加している。
現在は落ち着きを取り戻したが、数年来「ポケモンカードゲーム(ポケカ)」の価格が高騰して転売の餌食になっていた時期、PSA鑑定はとりわけ重宝されていた。
TCGブームの源流となるポップカルチャー
コミケは、公式グッズにしろ同人作品にしろ、一次流通を担うイベントだ。
一方のPSAは、コレクションの保護や価値の判定といった一時流通のその後を担うサービスだ。彼らはなぜコミケへと出展したのか、ブースの担当者へとインタビューを行った。
──今回、コミックマーケットへの出展を決めた理由は何だったのでしょうか?
トニー・アラム氏 弊社は昨年2023年の7月から、日本での鑑定サービスを本格展開しています。昨年は準備などもあって色々忙しかったんですが、今年はこういったイベントでも、実際にお客様と対面する機会を増やしたいと思っています。
PSAの鑑定は、基本的にカードを送ってもらって行われているので、出品された方とスタッフが直接言葉を交わすことがないんです。
そうなると鑑定に対してハードルを感じられる方もいらっしゃると思うので、スタッフと対面して直接質問などをしていただける機会を整備していきたいと思っています。
その中でも、メジャーなイベントとしては今回のコミックマーケットが初の機会になります。
──カードゲームのイベントではなく、コミックマーケットを選ばれたのはなぜなのでしょうか?
トニー・アラム氏 アメリカの方ではこれまで、鑑定に持ち込まれるカードの多くがゲーム性のないコレクション用のスポーツカードだったんです。
それが近年では、アメリカでも「ポケモン」や『ONE PIECE』といったアニメやゲーム、漫画などを原作とするカードゲームの人気が高まっていまして。
鑑定への出品数も野球カードを上回っているくらいなんです。日本でも同じく、持ち込まれるカードの8割はトレーディングカードゲームです。
トニー・アラム氏 私たちとしても、TCG文化の源流となっているポップカルチャーには注目していますし、コミックマーケットはポップカルチャーとの親和性が高いイベントです。
色々な方がいらっしゃるイベントでもあるので、幅広い層の目に触れる場でもあります。その中でハードルを下げていくことで、鑑定に興味を持ってくださる方が増えればと思っています。
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連載
2024年8月11日(日)・12日(月)の2日間にわたって、東京ビッグサイトの東・西・南展示棟(サークル・企業ブース)で開催される「コミックマーケット104」(C104)を特集。
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