透明な素材でできたショルダーバッグ。中から透けて見えるのは、装丁が印象的な書籍たち。
遊びに行く際にこのバックを肩にかければ、本の見た目の美しさに目が行くのはもちろん、待ち合わせた知り合いともその本の話題に花が咲きそうです。
この「装丁を魅せるブックショルダー」を制作したのは、自身も詩や短歌、エッセイなどを書く藍/Hinata Satoさん。マーケットプレイス・BOOTHでは、タイポグラフィが印象的な作品を販売しています。
KAI-YOUが取材したところ、藍さんは、現在は武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科に在学しつつ、ことばの姿勢から生まれるグラフィックについて模索中なのだと語ってくれました。
アートディレクションの課題から生まれた新しいショップバッグ
──「装丁を魅せるブックショルダー」は何をきっかけに制作されたのでしょうか?
藍 大学で受講していたアートディレクションという授業で出されていた課題が「あたらしいショップバッグをつくる」というものでした。そこで自分の興味のあるものから発想を得ようとした際に思い浮かんだのが、本にまつわるショップバッグです。
はじめは、たくさんの本を購入した際に手提げ袋だと指先が痛くなってしまうことから、肩掛けにしてみるなど機能の面から模索していました。
しかし、ビジュアルについて考えている時、本を美しく魅せるためのかたちとして"装丁"を見せていくのはどうだろうか、という発想に至りました。
──制作の際に苦労した点、こだわった点などはございますか?
藍 かたちをデザインする上で、装丁を引き立たせるためにどこまで要素を足し、引いていくかの塩梅がとても難しかったです。
装丁を作品のひとつとして額装するような形で、フレームを装丁に合わせて自在に変形できるようにしたり、ストラップを付け替え可能にしています。
それらによって、たちまちあなたとあなたの手にしたその本のためのショルダーバッグになる、といったこだわりを込めました。
作り手と受け手の信頼があってこそ余白が生まれる
──ハンドメイドとのことですが、制作にはどれほど時間がかかりましたか?
藍 4月の初旬に出された課題だったので、7月のオープンキャンパスでの展示/講評に向けて3ヶ月間、何度も模索しながら制作しました。
──Boothで販売されているZINEやポスターもデザインが印象的な作品です。ご自身が装丁やデザインを組む際に意識していることはありますか?
藍 改めて手に取って読みたくなるような、手元に置いておきたくなるようなかたちのうつくしさをいつも模索しています。
現在大学ではデザイン、主にタイポグラフィやエディトリアルデザインについて学んでおり、ことばの形やリズムに興味があります。
詩歌に触れることと並行して大学でデザインについて学んでいるうちに、どちらにおいても作り手と受け手の信頼があってこそ余白が生まれるのだと考えるようになりました。
余白は信頼から生まれ、その余白からポエジーが生まれる。そう感じるようになってから、デザインをする上で最も大切にしたい部分は間や余白です。
──今回のブックショルダーに入れて持ち運びたいと思う書籍は何かありますか? その書籍の装丁で気に入っているところも教えてください。
藍 今回のイメージ写真でも使わせていただいている『十代に共感する奴はみんな嘘つき』など、最果タヒさんの作品の装丁をよく手掛けている佐々木俊さんや、梨さんの書籍『自由慄』の装丁を手掛けている北岡誠吾さんのデザインです。
とても洗練されており、鞄の中にしまっておくのが惜しく感じるほどです。リズムに強弱やコントラストのある、余白の使い方が大胆な装丁に惹かれます。
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