昨今、YouTubeで「〇〇の反応集」「××に関する反応集」といったタイトルが付けられた、音声合成ソフトで読み上げられた動画を見かけないだろうか。
アニメ・漫画・ゲームといったポップカルチャーの話題に対するインターネット上のユーザーの感想や意見をまとめた、いわば動画版の「まとめサイト」だ。
例えば、現在大ヒット上映中の劇場版『名探偵コナン100万ドルの五稜星』を例にあげよう。
本作では、人気キャラクター・怪盗キッドの原作漫画でも描かれていない“ある秘密”が明かされるのだが、映画公開と同日に、その秘密に関する反応集がとあるYouTubeチャンネルで公開。
映画のネタバレも含まれた本動画は、そこから2週間足らずで16万回再生を記録している。
令和のまとめサイト?「〇〇の反応集」動画
筆者がYouTubeの視聴回数や検索サジェストを調査したところによると、『僕のヒーローアカデミア』『ONE PIECE』『ドラゴンボール』『呪術廻戦』『機動戦士ガンダム』『葬送のフリーレン』といった漫画・アニメ作品や、『ブルーアーカイブ』『ウマ娘 プリティーダービー』などのソシャゲ作品の反応集に需要が集まっているようだ。
「〇〇の反応集」は、概ね以下のようなフォーマットでつくられている。
・XなどのSNSの投稿や「5ちゃんねる」「あにまん掲示板」といった大型掲示板サイトの書き込みから、特定のトピックスに関する感想や意見をまとめる。
・テキスト読み上げソフトウェアでそれを読み上げ、テロップとして表示する。
・読み上げた発言に関連する著作物(例えば漫画のコマやアニメ本編のスクリーンショットなど)を編集でインサートする。
2022年前後、「東方Project」のキャラクター・博麗霊夢と霧雨魔理沙が、ゆっくりボイスと呼ばれる棒読み声で、特定のトピックスを解説する「ゆっくり解説」というジャンルの動画が、YouTubeでブームになったことがあった。
演者として顔や声を晒さなくとも、その話題に関する知識と動画の編集技術、構成力さえあれば誰でもつくれると、副業などのビジネス的な側面から注目を集めた(外部リンク)。
「〇〇の反応集」は、その発展系──自分自身の知見ではなく、他人の知見をもとにした──と言える。
その証左ではないが、大手クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」では、「ゆっくり解説」のように「〇〇の反応集」動画の制作依頼が1000件以上散見されている。
面白い反面、ソース元すら明示していないケースも
アフィリエイト(成果報酬型広告)などで収益をあげるため、旧2ちゃんねるなどに書き込まれた情報などを収集・編集していた「まとめサイト」。
一般的な人々の反応を楽しめる反面で、引用の要件(外部リンク)を満たしているか危うい著作物の利用や、恣意的な編集を含めた情報の信頼性といった点から批判されてきた。
令和に甦ったまとめサイトである「〇〇の反応集」も例に漏れずそうした問題点を抱えているのだが、媒体が動画プラットフォームだからか、そもそもソース元すら明示されていないケースも少なくない。
これでは、本当にインターネット上のユーザーがその感想や意見を発信しているのか、それとも反応すら動画制作者の創作なのかすらも、視聴者は見分けがつかない。
「まとめサイト」然り、「〇〇の反応集」然り、ある話題について他人がどう思っているか/どう考えているかを知りたいというのは、人間の普遍的な欲求ということなのだろうか。
ただし、その欲求を叶えるべく「まとめサイト」や「〇〇の反応集」を見た場合、それが真実だとは限らないので注意が必要だろう。
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:10412)
Youtube見てるけど、本当この”◯◯の反応”系が本当にうざくてうざくて・・・
作るやつも見るやつがいるから作るんだけど、正直こういうソース元がしっかり提示されてないものを嬉々として見ている視聴者がいる限り、本当ネットリテラシーというものが低すぎる人たちが多いんだなぁと感じてしまう。だから世の中ちっとも良くならないどころか、昔に比べて正直悪くなっている。
ネットは世の中の人を賢くしたり、より良くするもののではなくて、より一層使いこなす人と使いこなせない人の差を広げるものだと感じる。