連載 | #24 漫画百景 いま読むべき漫画たち

『ゆるキャン△』は静かに高揚させる 登場人物たちと共有する旅の醍醐味

『ゆるキャン△』は静かに高揚させる 登場人物たちと共有する旅の醍醐味
『ゆるキャン△』は静かに高揚させる 登場人物たちと共有する旅の醍醐味

『ゆるキャン△』5巻の書影/画像はAmazonから

キャンプや旅行に最適なシーズンになった今こそ読んでほしい!

年間で数百タイトルの漫画を読む筆者が、時事に沿った漫画を新作・旧作問わず取り上げる本連載「漫画百景」。

第二十四景目は『ゆるキャン△』です。

4月4日からTVアニメの第3期が放送開始となり、春を迎えて新学期へ──いつもの主人公メンバーたちに新入生も加わって、さらに賑やかになるようです。

そんなアニメの原作を、今読むべき漫画として紹介します!

あfろ原作の人気キャンプ漫画『ゆるキャン△』

『ゆるキャン△』は、あfろさんによる漫画作品です。芳文社の漫画誌『まんがタイムきららフォワード』で2015年に連載開始。

2019年から同社の漫画アプリ・COMIC FUZに移籍し連載されています。番外編のショート漫画『へやキャン△』もCOMIC FUZに掲載中です(現在は休載)。

TVアニメ『ゆるキャン△ SEASON3』オープニング映像

アニメは2018年にTVシリーズ第1期、2021年に第2期、2022年に劇場アニメ、そして2024年4月から第3期が放送。実写のTVドラマも2期まで制作・放送されています。

キャンプ関連はもちろん、作中の主な舞台となる山梨県ほか、地方自治体とのコラボも多い人気作品です。

なお、TVアニメの放送を記念して、COMIC FUZでは現在6巻まで完全無料公開中。未読の方は今がチャンスです。

『ゆるキャン△』のあらすじと主な登場人物

『ゆるキャン△』の主人公は、1人でキャンプするソロキャンプが趣味の志摩リン(しまりん)と、キャンプ初心者の各務原なでしこ(かがみはらなでしこ)。山梨県の同じ高校に通う2人です。

わけあって本栖湖から家に帰れず困り果てていたなでしこを、リンが助ける1話から物語がはじまります。

『ゆるキャン△』3巻の書影。左からリン、なでしこ/画像はAmazonから

なでしこはリンに触発されてキャンプに興味を持ち、高校のまったり系アウトドア同好会・野外活動サークル(通称・野クル)に入部。

部員の大垣千明(おおがきちあき)、犬山あおい(いぬやまあおい)、そしてリンの友人・斉藤恵那(さいとうえな)と、グループキャンプを楽しむようになっていきます。

『ゆるキャン△』12巻の書影。左から恵那、千明、あおい/画像はAmazonから

ソロとグループ、徒歩やバイクなどキャンプの楽しさを包括的に描く

本作はリンのソロキャンプ視点と、なでしこたち野クル組のグループキャンプ視点を交互に繰り返し、両方のキャンプの楽しみ方を見せていくのが主な流れです。

合間でキャンプに最低限必要なもの、焚き火の起こし方、キャンプに欠かせない寝袋やアウトドアチェアなどの解説コーナーが挟まるため、キャンプの簡単な知識を得られる側面も。

また、リンはバイク。野クル組は徒歩、自転車、車、電車やバスなどの公共交通機関を使いキャンプ場を目指すのが基本で、交通手段によって異なるキャンプ、ひいては旅の楽しみ方も別個で描写されます。

バイクなら、ツーリングキャンプはもちろん気ままな一人旅にも適しており、かつ道中の景色も楽しみの一つであることがよくわかるようになっています。

『ゆるキャン△』11巻の書影。真ん中の登場人物は、TVアニメでは3期から本格的にキャンプに挑戦する土岐綾乃/画像はAmazonから

自分と向き合う時間が多いソロと、友人たちとの時間が多いグループのそれぞれの良さ、交通手段別の道中の楽しみなど、同じキャンプの枠組みのなかでも枝分かれするこだわり・スタイルを、各キャラクターの個性に沿って包括的に描き出しているのが、『ゆるキャン△』の大きな特徴です。

1
2
この記事どう思う?

この記事どう思う?

ポップな漫画をもっと知る!

セカイ系と日常系という物語は、なぜ生まれる必要があったのか──オタク的“終末の歩き方”.jpg

セカイ系と日常系という物語は、なぜ生まれる必要があったのか──オタク的“終末の歩き方”

人は、なぜか世界が終わる物語が好きだ。 古くは最古の宗教と称されるゾロアスター教やアブラハムの宗教(ユダヤ教・キリスト教・イスラーム)で共有される、全ての人類が善悪のふるいにかけられ天国行きか地獄行きかが決定される「最後の審判」。地上の堕落した人類を滅ぼすために神が大洪水を起こす「ノアの方舟」。…

premium.kai-you.net

関連キーフレーズ

連載

漫画百景 いま読むべき漫画たち

テーマは「漫画を通して社会を知る」。 国内外の情勢、突発的なバズ、アニメ化・ドラマ化、周年記念……。 年間で数百タイトルの漫画を読む筆者が、時事とリンクする作品を新作・旧作問わず取り上げ、"いま読むべき漫画"や"いま改めて読むと面白い漫画"を紹介します。

0件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。