上田竜也×櫻井翔「光射す方へ」レビュー  共作のラップで示す“男たちの生き様”

過去のラップ詞のセルフオマージュが意味するもの

バース(=ヒップホップにおける、Aメロ・Bメロ)で印象的なのは2番の入り。

ただ待つよりまずは動く
ここではなく遥か向こう
嗚呼またもや世は移ろふ
風光明媚な偶像 you know?上田竜也「光射す方へ」2番バースの歌詞

“ただ待つよりまずは動く”というフレーズは、櫻井翔さんが嵐の楽曲や自身のソロで、たびたび綴ってきたリリックに精神性が通じている。

プライベートで制作した未発売・配信楽曲「ペンの指す方向 chapter Ⅲ」のフック“一に行動 まずは行動 目指す頂上”が分かりやすいだろうか。

また、“ここではなく遥か向こう”というフレーズは、嵐のブレイク前夜である2006年に発表したラップナンバー「COOL&SOUL」のセルフサンプリングである。

この「COOL&SOUL」で櫻井翔さんは、時代にまさしく嵐を巻き起こすと、野心を剥き出し、高らかに宣言した。

つまり、このセルフオマージュ的な2節が盛り込まれているブロックは、彼(ら)が若かりし頃に見せていた攻めの姿勢は、いまだ変わっていな(※)ことを強調している。

結びのライムである“偶像 you know?”も、アイドルが自ら紡いたラップだからこそ、響くものがある。

櫻井翔/画像はFAMILY CLUB公式サイトより

上田⻯也さんの強い希望で実現したという、櫻井翔さんとのコラボ曲。2人が示したのは、現在進行形で前のめりであり続ける、男たちの生き様だった。

(※)もちろん、「光射す方へ」はあくまでも上田竜也さんのソロ曲であり、櫻井翔さんとのユニット曲ではない。しかし、繰り返しにはなるが、本楽曲には2人の今の想いが交互にRAPにのせられているのだ。


1
2
この記事どう思う?

この記事どう思う?

関連キーフレーズ

0件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。