連載 | #7 Johnny's-POP

櫻井翔が生んだ「KAT-TUNだからこそのラップ」 五輪曲で示す“静かな情熱”

櫻井翔が生んだ「KAT-TUNだからこそのラップ」 五輪曲で示す“静かな情熱”
櫻井翔が生んだ「KAT-TUNだからこそのラップ」 五輪曲で示す“静かな情熱”

KAT-TUN/画像はJohnny's netより

POPなポイントを3行で

  • KAT-TUN「CRYSTAL MOMENT」ラップパートをレビュー
  • 嵐・櫻井翔がタイトル命名&ラップの作詞・構成を担当
  • 「3人だからこその構成・和音」
KAT-TUNの新曲「CRYSTAL MOMENT」が、各種音楽配信サービスで2月4日より配信リリースされました。

この楽曲は、日本テレビ系の「2022冬季スポーツテーマソング」に起用された配信限定のデジタルシングル。

作詞はFunk Uchinoさん、作曲はErik Lidbomさんと7th Avenue(7th Avenueは編曲も担当)。

そして、そのタイトル名・ラップパートの詞と構成を、これまでの日本テレビ系オリンピックのテーマソングを担当し、2008年夏季の北京オリンピックから五輪キャスターをつとめる櫻井翔さんが担当しました。

櫻井翔「KAT-TUNの3人だからこその構成・和音」

櫻井さんによれば、「選手が積み重ねてきた日々の結晶が、雪や氷の世界で輝きを放つ瞬間をイメージ」してタイトルをつけたという「CRYSTAL MOMENT」(外部リンク)。

2020年末に嵐が活動休止して以来、久々となる櫻井さんのラップ/ヒップホップ方面での活動ということもあり、KAT-TUNへの提供という点をはじめ、情報解禁時から注目を集めていました。

1月17日に放送された『news zero』や他の日本テレビ系ニュース番組では、亀梨和也さん、上田竜也さん、中丸雄一さんがレコーディングする際に、櫻井さんがディレクションする様子が放送。

月曜キャスターをつとめる『news zero』で、櫻井さんは「1人じゃ歌えないというか、3人だからこそ歌えるような構成にしているので、3人の和音というか、メロディーを楽しみにしていただけたらな」と語っていました。 櫻井さんに憧れ、“HIPなPOP”をコンセプトに音楽/執筆活動をする筆者。言うまでもなく、この曲を聴ける日を、今か今かと楽しみにしてました。

そして、冬季オリンピックの開催と合わせて遂にリリースされた「CRYSTAL MOMENT」。一聴してまず驚いたのは、嵐や櫻井さんソロの楽曲とは異なるラップパートの斬新さでした。

スタイリッシュなラップで静かに燃える情熱

「CRYSTAL MOMENT」でラップパートが配置されているのは、イントロと2番サビ終わり。ラップ詞を提供したという文脈性や楽曲構成という観点から言えば、見せ場・アクセントになりうる箇所です。

しかし、今回のラップパートは、そうでありつつも、カタルシスのような緊張と解放の関係で見ると「緊張」の役割を担っていると筆者は思いました。

前半部分では呟くような声から力強い声へ、1人から2人、2人から3人、低音から高音へと声が重なっていき盛り上がりをつくりつつも、あくまでAメロ以降への助走に徹しているという印象。

後半部分でも、「O・O・A・E」(“音 風”/“帆を張れ”/“どこまで”/“頂上まで”/“想像さえ”)でタイトに韻を踏み畳み掛けながらも、そのままクールに走り去っていきます。

まるで、静かに情熱を燃やすかのように

「彼らならきっと、猛々しさや色気を感じるものになるはずです」という櫻井さんのコメント通り、KAT-TUNのスタイリッシュなイメージを踏襲しつつ、一世一代の戦いに臨むアスリートたちを鼓舞するラップに仕上がっています。

リリック&フロウには櫻井翔のスタイルも健在

それでもなお、フロウ(歌い回し)やリリックに感じられるのが、ラッパーとしての櫻井さんのスタイル。

レコーディング時に櫻井さんは、亀梨さんに、“振り返れば遥か続く”の部分で「あんまり“く”言ってないかも」「“つづ”ぐらいのニュアンス」とディレクションしていました。

これは、自身がパーソナリティーをつとめていたラジオ『SHO BEAT』でも言及していた、櫻井さんお馴染みのテクニック。

母音を無声化し子音だけにすることで、韻が踏める単語の幅を広げつつ、音の響きを軽くしよりパーカッシブにするというものです。

また、リリックも言葉選びがスマートなのに、その印象はリリカル

嵐の音楽において、ラッパーとして自身/グループの「メッセージ」を発信するという役割を担ってきた櫻井さん。『news zero』においても、キャスターとしてこの社会に何が起きているかを視聴者へ伝え続けてきました。

言いたいことを伝えるため、音と言葉を紡ぎ、どう響かせるか──「表現」への櫻井さんのこだわりが「CRYSTAL MOMENT」からも感じられます。

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日本男性アイドルの代表的存在であるジャニーズ。 テレビ、舞台、雑誌、ラジオ、そしてインターネットと、メディアを越境して活躍する彼らもまたポップな存在だ。 彼らをポップたらしめているものは何か? その魅力を紐解く。

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