リーグ戦の紆余曲折を中心になるETUパート
『GIANT KILLING』には大きくわけて、監督・達海が中心になって動く“ETUパート”と、個性豊かな選手たちが集う“代表戦パート”の2つがあります。前者は主に達海によるETUの改革と、リーグ戦の戦いがメインに描写されます。
一致団結してプロリーグ1部に残留し続けてきたことによる結束感が強みである一方、ある種の負け癖が付いていたETU。
そんなETUをリーグ戦で格上とも戦えるチームにするための大胆な改革と、選手たち(そして読者)の心に深く刺さる達海のスピーチが随所に登場する“ETUパート”は、本作の醍醐味とも言える逆転劇の痛快さが光ります。
さらに、チームの改革に伴う周辺環境の変化も外せないポイント。
チームを裏から支える広報、ゼネラルマネージャーといったスタッフ、チームを応援する老若男女のサポーター、試合を取材する記者・カメラマン……サッカーに関わるあらゆる職種のキャラクターが登場する群像劇が描かれます。 特に、ある理由から達海をよく思っていないサポーターと、達海を純粋に応援したいサポーターとの不和を扱った一連のエピソードは、本作への感情移入を強くする第三のパートとも言える内容になっています。
アジアカップも題材になる代表戦パート
そしてもうひとつの“代表戦パート”。こちらにはETUの選手はもちろん、ETUとリーグ戦で対戦してきたチームの実力者が集結します。日本代表の旗のもと、リーグ戦では敵同士だったキャラクターが同じチームで切磋琢磨する展開が、バトル漫画で敵だったキャラクターが味方になる王道の展開を彷彿とさせます。熱い!
誰も彼も尖っている、本当に個性豊かなキャラクターが多い本作だけに、代表戦パートは非常に賑やかで見ていて楽しいです。
この代表戦パートでは、記事の冒頭で触れたアジアカップのエピソードもあって、単行本にして46巻〜56巻に及ぶ長編となりました。 その結末は、現在クライマックスを迎えつつある本作をより一層盛り上げるための山場、重要なエピソードになっており、アジアカップ開催中の今こそ見返したい。
アジアの盟主の座をかけた日本代表の絶対に負けられない戦いを追いかけつつ、『GIANT KILLING』の熱い物語を追いかけるのはいかがでしょうか?
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連載
テーマは「漫画を通して社会を知る」。 国内外の情勢、突発的なバズ、アニメ化・ドラマ化、周年記念……。 年間で数百タイトルの漫画を読む筆者が、時事とリンクする作品を新作・旧作問わず取り上げ、"いま読むべき漫画"や"いま改めて読むと面白い漫画"を紹介します。
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