にじさんじ叶劇場、“午前0時の向こう側”で開幕 映画の如き1stコンサートレポート

ダンスと治安の悪い歌い方で魅了

ノンストップで披露されたのは、爽やかな歌声が印象的なRADWIMPSの「大丈夫」。曲の終盤にはハモりとともにニット姿の叶さんの真っ白なシルエットが登場し、初期衣装の叶さんとともに掛け合いを展開。

<何が僕らに降りかかろうともきっと僕らは大丈夫だよと/僕は今日から君の「大丈夫」だから>という歌声は、叶さんから叶さんに贈られたものだったのかもしれない。

やがて初期衣装の叶さんもシルエットに変わっていき、そこへ新私服衣装の叶さんが登場。「眠れない夜から逃げ出すためのパスワードを、教えようか」というセリフとともに、ステージ上の画面には「Welcome to Kill/Death Dance Hall.」の文字が。 そのままシルエットの2人とともに「K/D Dance Hall」を披露する。キャッチーな振り付けに観客はクラップで応え、ミッドナイトの雰囲気そのままに「Jam Jam」へ。リズミカルなステップとセクシーな身のこなし、さらにダンスパートでは指先のニュアンスまで洗練された動きで、会場の度肝を抜いた。

余韻もつかの間。ジェット花火が吹き上がる中、歌うのは和ぬかさんの「絶頂讃歌」。ラテンテイストのあるロックチューンは終盤に向けた盛り上げ役にぴったりで、照明もそれまでのダークなものから明るくカラフルな色合いへ。 再びスタンドマイクを携えると、自身が作詞を担当した「惜別」を披露。緩急のあるセトリに心惹かれつつ、ほとんどMCを挟まずパフォーマンスし続ける叶さんのエネルギーにも脱帽する。

<煩い くだらない反吐が出る>など感情的な歌詞では、巻き舌と低音が強めの治安の悪い歌い方で魅せた。

新曲初披露、アンコールまで出し惜しみなし

ここで、最後の幕間演出へ。対話するのは、再び私服衣装の叶さんとflores衣装の叶さん。そして2人が観客に手を伸ばした途端、スクリーンが割れるような演出が入り、最後には私服衣装の叶さんが1人で語り始める。

「君を連れて行こう。午前0時の向こう側へ」と誘うと、水槽さんが提供したコンサートのテーマ曲「針音」が始まる。重なっていく転調は叶さんの軌跡と成長を思わせ、1stソロコンサートを感動とともに見事に締めくくった……かと思えば、もう1曲。 アウトロの秒針音が加速するように、そのまま「声を聴かせて」のイントロにつながる。ここまで様々な演出を伴ってきたが、最後はマイクもシルエットも振り付けもなく、身一つで歌う。歌唱の合間、その目に刻み付けるように会場を見渡す様子や、何度も手を伸ばしてまっすぐに歌声を届ける姿が印象的だった。

会場のアナログ時計が0時を超えると、それは無事にコンサートが終了した合図。まずは叶さんがつくり出したストーリーとステージに喝采の拍手が送られ、やがてそれはアンコールを要求するものへと変わっていった。 ある意味このアンコールパートも、午前0時の向こう側と言えるかもしれない。再びステージに戻った叶さんは一言「ありがとね」と告げると、ヘビーなサウンドが自身の新たな魅力を引き出す「No.9」を披露。

実はこの日初披露の新曲で、後ろのムービーには一瞬ロトの目が登場する一幕も。間髪入れず新曲2曲目、ぼっちぼろまるさんが提供したミドルテンポのロックナンバー「優しい人にならなければ」も初披露した。
 
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