注目のスウェーデン産TRPG『Kutulu』日本語版を制作中 今見ているのは本当に現実?

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注目のスウェーデン産TRPG『Kutulu』日本語版を制作中 今見ているのは本当に現実?
注目のスウェーデン産TRPG『Kutulu』日本語版を制作中 今見ているのは本当に現実?

「Kutulu」表紙(画像はDrivethruRPGの頒布ページからの引用)

『Kutulu(クトゥルー)』という、スウェーデンでリリースされた「クトゥルフ神話」を題材としたTRPGが、いま注目を浴びている。

日本語版が現在制作中の、この不思議なプレイ感をもつTRPGの日本におけるこれまでの軌跡と、その特徴を本記事ではいち早く紹介していく。

アメリカのホラー作家・H.P.ラヴクラフトさんがつくり出した世界観「クトゥルフ神話」を題材としたTRPGといえば『クトゥルフ神話TRPG』および『新クトゥルフ神話TRPG』が有名だ。

しかし、『トレイル・オブ・クトゥルー』など、「クトゥルフ神話」を扱ったTRPGは、他にも世界に存在している。

そして、スウェーデン発の『Kutulu(クトゥルー)』というシステムが、今年日本語訳されリリースされる。詳しいリリース時期は未発表だが、4月13日ごろからテスターへの試作版の配布が行われることが発表されている(外部リンク)。

『Kutulu』とは?

『Kutulu(クトゥルー)』は、2017年にスウェーデンでリリースされた「クトゥルフ神話」を題材としたTRPGだ。現在リリースされているのはスウェーデン語版のみだが、日本語版がfroggamesからリリースされることが発表されている。

昨年10/31にDiscordサーバー上のTRPGコミュニティ「TRPG辺境ガイド」(外部リンク)にて行われた企画「魅惑の未訳TRPGの誘い~『クトゥルフ神話TRPG』以外の、クトゥルフ神話を題材としたTRPGを紹介する~」ではじめて紹介。
【第32回】第1回 魅惑の未訳TRPGの誘い【TRPG放送】
その後、今年2月初頭に、海外のTRPGに詳しい「もんすとろーむ」さんのツイートで改めて紹介された。 (※本ツイート時点では日本語版発売のアナウンスなし)

上記ツイートは3月11日の時点で約9,000リツイート、約25,000いいねと、日本語版がないシステムながら非常に大きな反響があった。

その後、2月16日に日本語版のリリースが発表。 この記事を書いている時点では、日本語版はまだリリースされていないが、現時点でもスウェーデン語版は世界最大のTRPG販売サイト「DrivethruRPG」の「Kutulu」頒布ページ(外部リンク)からPDFで入手できる。

価格は購入者が決めて良いスタイルで、推奨価格は1ドルとなっている。記事を読んで少しでも気になったら手にとってみてはいかがだろうか。

なお、筆者はルールブックを入手したものの、スウェーデン語は一切読めないので、Google翻訳とDeepL翻訳で翻訳し、意味が通らないところは電子辞書を併用して読み進めた。

以下の記事は訳語が後日発売予定の日本語版とは異なる可能性があるため、そこを留意して読んでほしい。

『Kutulu』の特徴

まず、プレイヤーキャラクターのデータの特徴から見て行こう。『Kutulu』には大きく分けて「アクティブ技能」「パッシブ技能」「専門分野」の3カテゴリの能力値がある。
判定なしで必要な情報をPCにもたらす「パッシブ技能」「専門分野」
パッシブ技能」は経済力や人からの評判、PC(プレイヤーキャラクター)が専門分野として何に関する知識を持っているかを表す。

『クトゥルフ神話TRPG』等を遊んでいる方なら、判定に失敗してシナリオを進めるのに必要な情報が手に入らない、もしくは手に入れるまで時間がかかるといった経験をお持ちの方もいるのではないか。

この点、Kutuluは非常にスマートな解決方法を打ち出している。技能または専門分野を一定の数値以上もっていれば、知識や経験からわかると判断されて、GMから情報を渡されるのだ。

ほぼ全ての情報がこの2つを参照して出るため、サイコロを振らない分非常にスムーズに物語が展開される。もちろん、一定数値未満であればキャラクターは知らないとされ、情報は渡されない。
ここぞというとき、成功できるかどうかわからないときに使用する「アクティブ技能」
すべての行動が判定なしで進むわけではない。穴を飛び越える、急いでその場から逃げるなど、うまくいくかどうかわからない行動をするときは「アクティブ技能」を用いて判定をする。技能値の数だけ6面ダイスを振り、4以上が1つでも出れば成功だ。

なお、シナリオの分岐にかかわるなどの重要な判定でなければ、GMの判断でアクティブ技能をパッシブ技能のように見立て、ダイスを振らずに行動の成否を判断することもある。

たとえば「敏捷性」を表すアクティブスキルが3あった場合、これだけ身のこなしが素早ければ、追っ手から逃れられるだろう、と判断し、ダイスを振らずに逃走が成功するといったシチュエーションがあるだろう。
GMは「信頼できない語り手」
「クトゥルフ神話TRPG」に限らず、通常、物語とゲームの進行をつとめるGM(ゲームマスター)から提示される描写は原則、起こっていることを正確に描写しているものとして処理される。

ただ、Kutuluにおいてはそうとは限らない。GMはあくまで、PCが知覚したものを描写しているだけなのだ。

つまり、マフィアの銃撃戦を目撃したと思っているが実際にはミ=ゴが電撃銃を撃っていた、ということがありうる。

(※)「クトゥルフ神話」の世界に登場する、宇宙に住まう種族。甲殻類のような体を持っており、人類よりはるかに高度な科学力を持つ。『クトゥルフ神話TRPG』では、武器として電撃銃を持たされて登場することが多い。

たとえば、小部屋に入ったと思ったらいつのまにか3時間たっていたなど、時間がいきなり飛んでいるといった描写がGMから伝えられたとする。実際にはあまりの非現実的な現象を目撃した結果脳が処理できず、記憶を失ってしまっているのだが、キャラクターもプレイヤーも、それを知る由はない。

幻覚および現実の描写にはいくつか段階が設定されており、神話的事象に遭遇すればするほど幻覚としての段階が上がっていく。だが、自分が今どれくらい幻覚をみていて、現実を正確に知覚できているのかどうかはキャラクターはおろかプレイヤーにも開示されない。

目の前で起きているのは実際に起こっていることなのか?それとも幻覚なのか?

キャラクターもプレイヤーも知覚できないまま、ストーリーは進んで行く。

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1件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:5300)

クトゥルフはビデオゲームのRPGでやりたいかな
クトゥルフ神話RPGみたいなの他の会社も作れば良いのに