2018年、バーチャルYouTuber(VTuber)好きが集う音楽イベントとしてスタートした「VIRTUAFREAK」。当時、活動していたVTuberはおよそ5000人。
今となってはその数1万6000人以上ともいわれ、様々な場面で活躍しているが、「VIRTUAFREAK」はそんなVTuberの歴史とともに歩んできたリアルイベントだ。
「『バーチャル』というカテゴライズする意味が薄れている」と公式サイトの告知で語られていたとおり、「VIRTUAFREAK」は今回で役割を終え、3年で計7回の歴史に幕を下ろす。会場である新木場のイベントホール・USEN STUDIO COASTも、定期借地契約満了により1月30日で閉館した。
「インターネットだけの繋がりではなく、オフラインでのコミュニティを確立させないとこのカルチャーは廃れてしまう」という使命感からスタートしたリアルイベント。
ラストダンスにも多くの関係者、参加者が集まり、会場は初冬の寒さにも負けない熱気に包まれた。
取材・文:Yugaming 編集:恩田雄多 撮影:Ayo Kajino / 103i / Mari Onouchi
【写真40枚】「VIRTUAFREAK」ラストダンスの熱狂
目次
かかるのはどれもが特別な思い入れのある「Vの曲」
この日、「VIRTUAFREAK」はARENA・BOX・WATER・ISLANDの計4フロアを跨いで展開。「VIRTUAFREAK」だけでなく、「VirtuaREAL」と「SUPERCHAT」の両イベントが参戦し、出演者も最大規模の布陣が敷かれていた。
23時。会場がオープンし観客がなだれ込むと、「ISLAND」フロアに待ち構えるのはオープニングDJ・BATSUさんの姿。2019年7月、同じく新木場ageHaで開催された「ASOBINITE!!!」の「VIRTUAFREAK -summer night-」ステージ以来の登場で、フロアを暖めていく。
BATSUさん
3年間続いてきた「VIRTUAFREAK」。そこで流れるのはいわゆる「Vの曲」ばかり。関係者やファンにとっては、そのどれもが特別な思い入れのあるものであり得るのだということに改めて気づかされる。
ARENAフロアの一番手はエハラミオリ
エハラミオリさん
フロアには光線が飛び交い、音に合わせて観客が手を挙げる。ステージの脇でPCに向かうVJやスタッフたちも体を揺らす。観客だけでなく、誰もが音を楽しみに来ている。
えのぐ×Marpril「ゼログラビティユニオン」を流すと「何がコロナだよなぁ! めちゃくちゃ生きづらいけど生きていこうなみんな!」と鬱憤を晴らすようにフロアに叫ぶ。続いてKMNZの2人が呼び込まれ、ライブパフォーマンス。他のWATER・BOXの2フロアでもyuzenさん、D.watt×The Herb Shopがオープニングを告げていた。
yuzenさん
D.watt×The Herb Shop
次々と曲を歌い上げたあと小休止。「良い曲は何回やっても良い」のお墨付きをもらったと言いながら、次に登場するsomuniaさんも歌う「twinkle night」をKMNZのLIZさんと共に披露。さらにエハラミオリさんも再び登場し「Jacked(Hacked)Fruity Luv」を熱唱。会場の熱気は早くも最高潮に達していた。
ワニとコウモリ
KMNZ
somuniaさん
屋外のWATERでは初冬の寒さにも負けない喧騒が展開される。BOXでも知らぬ人同士が肩を並べ、同じ音楽に手を挙げる。
ケンモチヒデフミさん、kz(livetune)さん、tempura(TEMPLIME)さん、BOOGEY VOXXが、MaiRさんが。それぞれの出演者たちがそれぞれの音楽でフロアを沸かせていた。
ケンモチヒデフミさん
kzさん
様々なコミュニティが重なり合うオフラインの場
エリアとエリアの間を回遊する人の動きも盛んだ。そこかしこで人々が出会い、テキーラのショットが運ばれ、話に花を咲かせていた。ネット上の名前だけしか知らなかった人同士の初顔合わせ、業界人が「また今度一緒に何かできれば……」と話すお決まりのトーク、KAI-YOU Premium編集長・新見氏が新卒社員相手に管を巻く──リアルイベントでは当たり前のこうした風景に、懐かしいほど久々で新鮮な印象を受ける。
tempuraさん
「その時はステージ前にしか人混みはなかったが、熱気は他のフロアにも負けていなかった。2年経って界隈が大きくなって、リリースされてる曲やそれを楽しむリスナーもたくさん増えた。それで今回ageHa全体を使うようになって、すごい感慨深いものがある。エハラさんやワニとコウモリもその頃をリスペクトした曲を全部やってくれたなって」
「地方から参戦している友人も多くいる。こういう機会がないとなかなか会えないからバチャフリは特別」と語って彼はもう一度フロアの人混みに消えていく。
BOOGEY VOXX feat. clocknote.
MaiRさん
「オフラインでのコミュニティを確立させないとこのカルチャーは廃れてしまう」。そんな危機感からはじまったイベントは、確かに様々なコミュニティが重なり合う場所となっていた。
0件のコメント