TikTokやYouTubeでも『東卍』のセリフを引用した動画が多く投稿され、インターネット上でも一大ミームと化しています。その勢いは『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』に続く、新たな社会現象を生んでいるとまで言っていいでしょう。
そして、何よりも特筆すべきは『東京卍リベンジャーズ』は、近頃はあまり見かけなくなった「ヤンキー」をモチーフにしながら、「タイムリープ」というSF要素も取り入れている点。さらに登場人物たちのほとんどがイケメンで、女性人気も非常に高い作品です。
様々な意味で既存のヤンキー漫画とは一線を画す、実験的な作品であるともいえます。
今回は、ヤンキー漫画にアツい想いを持つ4人の識者+司会を呼んでKAI-YOU Premium会員限定Discordサーバーにて座談会を開催することになりました。『東卍』の魅力や疑問点を、ネタバレ前回でぶっこんでいきます。ブルン! ブルン!(バイクコール)
※当記事には『東京卍リベンジャーズ』『デザートイーグル』『新宿スワン』『湘南純愛組!』『QP』『ナニワトモアレ』『STEINS;GATE』『呪術廻戦』『幽☆遊☆白書』等のネタバレが含まれます。
目次
- 1. 登場人物紹介
- 2. とりあえず「卍」!
- 3. 「かっこいい」とは何か? 場地圭介の二面性
- 4. 「不良の時代」とヤンキーのリアリティ
- 5. 『東京卍リベンジャーズ』はヤンキー漫画なのか? ヤンキーが成立しない時代の中で
- 6. ヤンキー漫画がヤンキー漫画足り得るための、絶対に必要な要素・条件
- 7. 特殊なSF設定ーー黒幕はタケミッチー…ってコト!?
- 8. 複雑化する少年漫画の中でこそ輝く『東卍』の独自のポジション
- 9. 女性読者が『東卍』にハマった理由と、アイデンティティの転換点
- 10. 『新宿スワン』から『東京卍リベンジャーズ』への象徴的飛躍
- 11. 終わらない物語ーー読者の欲望に応える『東京卍リベンジャーズ』
登場人物紹介
うぎこ
KAI-YOUの広報担当。年齢非公開。オタク女子の間で話題となった『東京卍リベンジャーズ』を独自の視座から考察する。座談会では常に司会をつとめ、KAI-YOUの荒くれ者たちの手綱を握るお姉さん。わいがちゃんよねや
KAI-YOUの社長。1986年生まれ。卍! ブルン! ブルン! 好きなヤンキー漫画は『幽☆遊☆白書』(!?)。時折インテリぶっているが、残念ながら偏差値30程度の田舎の高校に通っていたので悲しいヤンキーエピソードがそこそこあるらしい。にいみなお
「KAI-YOU Premium」編集長/株式会社カイユウCOO。1987年生まれ。関東ヤンキーの聖地・東村山市出身。未だにヤンキーの知り合いが多い自慢をよくしてくる。曰く「全身をガルフィーで固めた先輩には気をつけろ」。コバヤシ
KAI-YOUの編集者/Webディレクター。1998年生まれ。自称・KAI-YOUの最古参オタク。オタクを自負しており、同時にヤンキー漫画への造詣も深く、ヤンキーを知らない世代だが、ヤンキーのこともすべて漫画で学んでいる。おんだ
KAI-YOU.net編集長。1985年生まれ。元ジャニーズ。髪型がいちばん『東京卍リベンジャーズ』の登場人物たちに近いが、彼が一番好きな映画は『クローズZERO』。シャイなのであまり喋らない。4人兄弟の長男で、彼以外みんなヤンキーだったらしい。とりあえず「卍」!
KAI-YOU編集部恒例の座談会、第4回目はじめたいと思います。今回は『東京卍リベンジャーズ』を語り尽くしていきたいと思います。よろしくお願いします。
よろしくお願いします!!!
それでは好きなキャラクターと、自己紹介をしていただければと思います。まずは私、司会のうぎこです。好きなキャラクターは吉沢亮が演じるマイキー(佐野万次郎)です。「日和ってるやついる? いねえよなぁ!!?」
卍ィ! KAI-YOU総長、わいがちゃんよねや! 世露死苦! 好きなキャラクターは、マイキーです。『東卍』に出会ってからというもの、マイキーに憧れて生きています。
コテコテのニワカヤンキー登場ですね……。次の方どうぞ。
卍ィ……!!!
いや、無理しないで(笑)。
陰キャ感というか、タケミッチー(花垣武道)感がすごいですよ。大丈夫ですか?
失礼しました。30年生きてきて「卍」って言葉を口にする機会がなかったもので……。KAI-YOU Premium編集長のにいみです。好きなキャラは、僕もマイキーと、柴八戒くんですね。
八戒くんのエピソードは素晴らしいですよね。それでは続いておんださん。
卍。KAI-YOU.net編集長のおんだです。好きなキャラクターは、松野千冬くんです。
義務感としての卍。 千冬かわいいよね。女子人気はめちゃめちゃあります。
過去編における、タケミチの本妻、正妻みたいな状態のキャラじゃないですか。
わかる。
わかります。
はい、それでは最後にKAI-YOUのタケミッチーこと、コバヤシくん、どうぞ。
卍! あれ? 僕だけ10年後のKAI-YOUから来た設定なんですか?
10年後のKAI-YOU、こんな人が入るのか……。
いや、今もいますからね。好きなキャラクターは、パーちん(林田春樹)です。
パーちんね。「東京卍會」の結成メンバーだけど、わりと早々に捕まっちゃう。
登場人物で、数少ないイケメンじゃないキャラだよね。
そうなんですよ。この辺の話はあとで深堀りしましょう。
それじゃあ皆さん、大体の人がマイキーが好きっていうことで。
好きなキャラと被る部分もありそうだけど、初っ端なんで「一番かっこいいと思うキャラは誰?」っていう、ありがちな話からやっていきましょう。
「かっこいい」とは何か? 場地圭介の二面性
いや、本当に話題が被りすぎてませんか?
そうなんですが、まずはヤンキー漫画において「かっこいい」ってどういうことなのかって話をしようと。重要な話題でもあると思っています。
僕がかっけーなって思ったのは場地圭介くんですね。「俺はお前にやられた傷じゃ死なない」って言って、自分で腹を刺して死ぬんです。中学生にあるまじき胆力。
一虎くん……。
場地はエピソードがめちゃめちゃ良くて、千冬と団地でペヤング分け合う感じ、めちゃめちゃ好きです。
まさにヤンキー漫画って感じだ。
そうっすね。あの描写はリアルなヤンキーと、ファンタジー的なヤンキーの中間ぐらいにいる感じがしてめちゃめちゃ好きです。
場地は両方の要素を持つ、『東卍』の中でも稀有なキャラクターだと思っています。
その場地がいなくなった後、一千冬が「お前を任命する」って言って番隊隊長としてタケミッチーが入るっていうね。
それがめっちゃかっこいいんですよ。
みんなちゃんと『東卍』のキャラに「かっこいい」と思う観点持ってるんだ!?
持ってないんですか!?
お前なんで来たんだよ!
いや、そうじゃなくて! みんな『東京卍リベンジャーズ』の話するの、すごい反対してたじゃないですか。僕がゴリ推ししてこの座談会が開催されたようなもんで。
明らかに今、この漫画がエンタメコンテンツの覇権なのに「今まで取り上げてきた作品とちょっと違う」みたいなこと言ってたから……。ちょっと斜めに構えてるなって思ってたんですよね。でもみんなかっこいいっていう、ポジティブな感情を持って読んでくれてたんだって思って……😢
別に面白く読んでるし、好きなキャラへの思い入れもないわけじゃないんですけどね……ゴニョゴニョ。
当たり前じゃないですか! だって僕、全巻ちゃんと紙で、初版で揃えているんですよ。一刷りですよ。
すげえ!
一刷りはすごいね!そしてコテコテの古参マウントありがとうございます!
実際僕が一番の古参ですからね。ちゃんと1巻発売当時に、マイキーの「不良の時代をつくる」ってセリフで「一体どんな時代を見せてくれるんだろう」ってワクワクしてたんですよ。
その話、もういっちゃいましょうか。今回もそれぞれ議題を持ち寄ってもらっていましてコバヤシくんのテーマが「不良の時代とは何か?」ですね。
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連載
その時々のエンタメ業界に現れた覇権コンテンツについて編集部が議論する連載。コンテンツ自体はもちろん、そのコンテンツが出てきた背景や同時代性、消費のされかたにも目を向け、ネタバレ全開で思ったことをぶつけ合っていきます。
2件のコメント
都築 陵佑
コメントありがとうございます。編集部の都築と申します。
ご指摘いただいたお名前の件、大変失礼いたしました。
記事は先ほど修正させていただきました。
今後ともよろしくお願いいたします。
匿名ハッコウくん(ID:5175)
馬地…?って誰?