えなこ×ZAQ×Tom-H@ck座談会 この夏、あえてパーティーチューンをつくった理由

コロナ禍だって夏は誰でも楽しんでいい

「SP-LuSH ROAD」の制作はどのように進行されたんですか?

今はコロナ禍でどうしてもライブやイベントは制限されてしまうじゃないですか。でも夏って、誰もが開放的な気持ちになる季節だと思っていて。その気持ち自体は、外に出られなくても関係ない。だからど真ん中の夏ソングをつくろうという話になったんです。

音楽が萎縮する必要はないですもんね。

僕が音楽を始めたきっかけって、音楽に恩返しをしたかったからなんです。自分がすごく苦しかった中学生時代、音楽に救われた経験があって。

いろいろと殺伐とした世の中になってますけど、外に出られなくても夏を楽しみたいって気持ちはあると思う。コロナ禍以前の夏の楽しみ方を、この曲を聴いてみんなに思い出してもらえたら、という思いがありました。

それで「夏ソング」に決まったわけですね。

夏ソングと言ってもいろいろあるんだけど、制作ディレクターから「アコースティックギターみたいなのを入れたらどうですか?」と言われて。そういう要素を入れたハイブリッドな曲を考えているときに、「ORANGE RANGEだ!」と思って。

ORANGE RANGEさんの夏ソングはど真ん中感がありますね。

僕は「音楽の7年周期論」を唱えていて、7年で音楽のトレンドが入れ替わると考えてるんですよ。だから「SP-LuSH ROAD」は5年くらい前の夏ソングをイメージしているから、2年くらい早いんですけど(笑)。

逆に先駆け感があるくらいがいいと思って、こういう曲になりました。

たしかに、どこか懐かしさというか、往年の夏ソングテイストを感じます。その曲をもとに、ZAQさんが作詞にとりかかられた?

そうですね。「このご時世にワイワイした曲をつくるって、攻めてるな!」と思ったんですよ。

そうだよね(笑)。

けど、たしかに変な遠慮をする必要はないなとも思って。音楽でくらい夏気分を満喫しようぜってスタンスに大賛成。

陽キャだから陰キャだからとかもなく、夏の楽しみ方は人それぞれにいろいろあるので、2番の歌詞に「おうちおそと 十人十色 なまけるのはもったいない」って入れています。

私も「このご時世に!?」とは思いましたけど、歌詞にも入れていただいたとおり、人それぞれの夏の楽しみ方があるし、実際私が夏を楽しむとしたら家にひきこもって楽しむだろうと思うので(笑)。

楽曲に合わせたMVも、実はスタジオ内ですべて撮っていて、プールをイメージしつつもお風呂でひとりで水着で楽しんでる。そういう感じも、私らしさが出ているなって思います。

実は曲名の『SP-LuSH ROAD』は、本来「splash」になるところですけど、「lush」には「新鮮な、青々とした」とかの意味があるので、「SP」とくっつけて「とびきり新鮮な」みたいな意味合いを込めているんです。

そうなんですか!? 今初めて知りました!

えなこの“素”はすべてZAQの妄想。だけど、実は……?

「SP-LuSH ROAD」の作詞に関して、ZAQさんが「えなこさんの“素”の部分を引き出した」とコメントされているのを拝見したのですが、具体的にはどんな部分を引き出されたんですか?

実はですね、「私の思う『えなこちゃんの“素”』」なんですよ。

作詞の段階でそんなに直接のやりとりがあったわけじゃないもんね。

そうなんです。私がもともとえなこちゃんの大ファンで、インスタとかも逐一チェックしてずっといいねを押し続けてきたんですけど(笑)。

ミニアルバム制作のときに「えなこさんがアーティストデビューするんですけど、書いてもらえませんか?」と依頼をいただいて、ふたつ返事で「めたもるふぉーかす」って曲をつくりまして、レコーディングにも立ち会わせていただいたんですけど、なんかもう……え、なんの質問でしたっけ?

「SP-LuSH ROAD」の作詞で引き出した、えなこさんの“素”の部分の話です(笑)。

ああ! 素の部分ね!!

あるよね。答えてるうちに何聞かれてたのかわかんなくなっちゃうこと(笑)。

大好きすぎて、迷子になりましたね(笑)

大好きさは伝わってきました!

めっちゃかわいくて、何着てもどんなメイクしても似合うし。でも私が惹かれてるのはそこだけじゃないんですよね。

じゃあ一体なんだろう? と思って。考えた結果、SNSからにじみ出る“頭の良さ”なんだなって気づいたんです。奥に何かとんでもない、重いものを抱えているんじゃないか。何かイチモツを持っているんじゃないかと

イチモツ(笑)。

私はそういう目で見ているところがあって。私としては、えなこちゃんのそういうところを見てもらいたいなと思ってるんです。人前に出ている「えなこ」を完璧に演じている部分と、そうじゃない部分を分けて書けたらと思ったんです。

具体的には、歌詞の中で括弧書きになっている心情描写の部分がそうですね。

(((((本当は苦手かも、ぱーりーよくわかんないし…大丈夫バレてない…!今日は大成功っ!))))) 「SP-LuSH ROAD」より

実際、ZAQさんの妄想上の“素”は当たってましたか?

見抜かれてる……って思いました。私、お仕事の打ち上げとかいっさい行かないんですよ。本当はそういうところ苦手で。

苦手そう! でも、だからこそ演じたときの爆発力がすごいんだと思います。私がアーティスト活動するときも、けっこう自分の理想をぶちまけるところがあるので。

本当は自分に自信がないし、全然ダメダメだって自覚もあるんだけど、表に立つときの自分はめっちゃカッコ良くしたい。えなこちゃんもそういう感じじゃないかな、って思うんです。表では元気いっぱいだけど、本当はちょっと人見知りなところがあるみたいな。

私をイメージされる方って、明るいとか、かわいいとかが多くて、内面まで書き出してくれることは今までなかなかなかったので、ZAQさんの書いてくださる歌詞は嬉しい反面、ちょっと恥ずかしい気もしますね。暴かれるような感じがして(笑)。

それだけえなこさんの内面に寄り添ってるということですね。

1
2
3
4
5

SHARE

この記事をシェアする

Post
Share
Bookmark
LINE

0件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。

コメントを削除します。
よろしいですか?

コメントを受け付けました

コメントは現在承認待ちです。

コメントは、編集部の承認を経て掲載されます。

※掲載可否の基準につきましては利用規約の確認をお願いします。

POP UP !

もっと見る

もっと見る

よく読まれている記事

KAI-YOU Premium

もっと見る

もっと見る

音楽・映像の週間ランキング

最新のPOPをお届け!

もっと見る

もっと見る

このページは、株式会社カイユウに所属するKAI-YOU編集部が、独自に定めたコンテンツポリシーに基づき制作・配信しています。 KAI-YOU.netでは、文芸、アニメや漫画、YouTuberやVTuber、音楽や映像、イラストやアート、ゲーム、ヒップホップ、テクノロジーなどに関する最新ニュースを毎日更新しています。様々なジャンルを横断するポップカルチャーに関するインタビューやコラム、レポートといったコンテンツをお届けします。

ページトップへ