会期は7月30日(金)から8月20日(金)まで。3人が順番に制作データを共有し、加工・編集を重ねて制作された平面作品と、会期中に変化する立体コラージュによるインスタレーションが展示される。
KOSUKE KAWAMURA × GUCCIMAZE × YOSHIROTTEN
「レイヤーを重ねるごとに消え去る過去、レイヤーを重ねるごとに浮かびあがる混沌/未来」という言葉で表現される今回のグループ展「CHAOS LAYER」。集まったのはアート・デザイン・ストリートといったシーンで注目される3人だ。漫画家・大友克洋さんの名作『AKIRA』の世界を再構築した「AKIRA ART WALL」などで知られるコラージュアーティスト・KOSUKE KAWAMURA(河村康輔)さん。
ファッションや音楽だけではなく、空間デザインなど幅広いデザインを手がけてきたグラフィックアーティスト・YOSHIROTTENさん。2人は2019年に結成された即席アートグループ・UTOPIEとしても活動している。
そんな2人に加わるのが、新たなデザインスタイルとして注目されるAcid Graphicsシーンを象徴するグラフィックデザイナー/アーティスト・GUCCIMAZE(グッチメイズ)さんだ。
背徳感を感じながら生み出された混沌
会場では、3人がデジタルコラージュ3枚をキャンバスに落とし込んだ平面作品を展示。作品は、1人目が制作した元データを2人目が編集・加工し、3人目へ送り編集・加工を重ねるという手法で制作された。通常、作家が制作途中のレイヤーデータを他人に渡したり、触れさせる機会はほとんどない。特殊な制作方法で生まれたものの中には、最終的に2万ものレイヤーを重ねた作品もあるという。
完成後のコメントでGUCCIMAZEさんは、「どこまでデータを触って良いのかも分からない中で自分なりに試行錯誤し編集をしていくのは、ある種の背徳感も感じた」と制作を振り返っている。
ほかにも、3人の制作現場を「CHAOS DESK」と名付け、展示期間中に変異的に立体コラージュされていくインスタレーションも展示される。
「CHAOS LAYER」制作過程を振り返る
「いい意味で誰の作品でもない感じ」──KAWAMURAさんが語ったように、今回の制作過程では、ある者は相手の個性を尊重した編集を、ある者は意図的に裏をかいた加工を行い三者三様が試行錯誤した。それぞれの完成後のコメントでは、「想像していながらも、想像できないことが起きる。 それを楽しみながら、自分も反応してみる 。その途中のことは人には見られないけど 、完成品よりもその作業している状態自体が、一番カオスでした」とYOSHIROTTENさん。
KAWAMURAさんは、制作開始前の心情を「なかなか人が作ったデータを触る機会がないので皆んなの頭の中が観れるのでそれ がすごく楽しみでした」と振り返る。
また、「普段の自分の作品だと見れない形になったと思います。 いい意味で誰の作品でもない感じが好きです 」と今回展示する作品を評した。
GUCCIMAZEさんは「各々のスタイルを尊重しつつ、いい意味での裏切り行為を意図的に試みました」とコメント。
加えて、「自分のエッセンスもしっかり入ってるはずなのに、自分自身だけで制作するのとはま るっきり違う見え方で、まさにカオスというコンセプトに沿った作品になったと思 います」と、開催に向けた自信を口にしている。
従来なら考えられない手法からどのような作品が生まれたのか。7月末まで待つとしよう。
0件のコメント