“一発描き専用”イラストアプリ「pao_board」 開発者に聞く、やり直せないことの面白さ

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小林優介
“一発描き専用”イラストアプリ「pao_board」 開発者に聞く、やり直せないことの面白さ
“一発描き専用”イラストアプリ「pao_board」 開発者に聞く、やり直せないことの面白さ

開発者・こすふぃーさんが「pao_board」を使って描いたイラスト/画像はこすふぃーさんのXから

一度はじめたら、後戻りできない……。

使用した人が口々にそんな感想をつぶやいているイラストWebアプリ「pao_board」をご存知でしょうか?

なんだか怪しい書き出しになってしまいましたが、このアプリはお絵描きを楽しむための、電子メモパッドのようなツール。

その最大の特徴は、描く以外の操作が全消去しか存在しないということ。納得がいくまで何度も線を引き直すことはできないというある種のゲーム性もあって、イラストレーターや絵を描く人の間でにわかに注目を集めています。

今回は「pao_board」を開発したこすふぃーさんに、制作の経緯や「全消去オンリー」という特殊な仕様を実装した理由を聞いてみました!

「やり直せない」からこそ、価値と愛着が生まれる

──「pao_board」というアプリ自体や「全消去しかない」という特徴的な仕様は、どんな経緯で生まれたのでしょうか?

こすふぃー わたくしは昨年「rakugaki_pao」という、線画と色塗りに特化したシンプルなお絵かきアプリをつくりましたの。

このアプリは、機能を絞ることで使いやすいUIが実現できるのではないかしらという意図で、シンプルな仕様にしていまして、実際にこの1年、こういった“何もかもはできない、制約下でのお絵かき”自体になかなか得難い価値があることを実感してましたの。

こすふぃーさんが「rakugaki_pao」を使って描いたイラスト/画像はこすふぃーさんのXから

こすふぃー 高機能なペイントアプリだと、たくさんのレイヤーを駆使して変形や修正を加え、何度もアンドゥを繰り返せるので、時間をかけることで、理想の一枚に近づけていくことができますの。そうやって描きあげられた美麗な作品を見るのもわたくしとっても好きですわ。

でもその反面、上手く描けないと感じてしまうと、いつまでもアンドゥや修正を繰り返してしまって、目指す場所がわからなくなってしまうことがありますのよね。

「rakugaki_pao」は、そういった”やり直し系機能”が弱いことで、ちょっとうまくいかなかったかしらと思う時にも、描き手に前へ前へ描き進めることを求めるつくりになっていますの。

そうやって不安を感じながらでもとにかく描いて色を塗ってしまうと……最後には、なんだか意外と悪くないですわね!って思える絵が、ちゃんと作品としてできあがりますの。これはとてもいい体験でしたわ。

そんな中、イラストレーターとして活動するarohaJさまのポストをお見かけして……そうそう電子メモパッドのお絵かきも同じですわね! って気が付きましたの。

そして、より強い制約があれば、また新しい体験が得られるのではないかしらと思って「pao_board」をつくってみましたわ。

「線を描き、色を塗る」ことの楽しさを感じて欲しい

──「rakugaki_pao」の開発で得た経験が「pao_board」に活かされているんですね。「rakugaki_pao」の頃からシンプルな機能にこだわっていたのには、理由があるのでしょうか?

こすふぃー 今の時代、美しい画像を得る手段はたくさんありますのよね。

ペイントソフトで美しくレタッチしたり、ドローソフトで綺麗な曲線を引いたり、3Dモデルで完璧なパースを描いたり、はたまたお外やVR空間にお出かけして写真を撮ったり。

わたくし自身、VRoidを使った自撮り写真をよく投稿していますし、お外やゲームの世界できれいな景色を見かけたり、かわいいお洋服に出会ったりしたら写真を撮ってますわ。

こすふぃー それでもなお、わたくしは人が手で絵を描くことには代えがたい価値があると信じています。それはなにかというと……とにかくお絵かきって、それだけで楽しいものだということですの!

世界から見出した境界線を、手を動かした軌跡として線にして、キャンパスに表現していく。このプリミティブな面白さは不変ですわ。

そういった線を描き、色を塗る楽しさを味わうには、豊富な機能よりもストレスなく描き始められることが大切ですの。だからこそ、操作に必要な手数の少なさとモードの少なさはこだわっていますわ!

開発者の最もシンプルな願い「気軽にお絵かきしてほしいですわね!」

──実際にアプリを使ってみた人たちの声で、特にうれしかったものはありますか?

こすふぃー 敷居が低いという感想は嬉しかったですわ! まさにそういうことを伝えたかったですの。

あとあと、スマートフォンと指でお絵かきされている方がたくさんいらっしゃったのは驚きでしたわ。あんまり想定していなかった使い方なのですけれど、いちばん気軽なお絵かきスタイルですわよね!

込めた思いを受け取ってもらえることは、道具をつくることの喜びの一つなのですけれど、自分の予想を超えた使い方を見出してもらえるのもさらなる喜びですの!

──今後、どんな人にアプリを使ってみて欲しいですか?

こすふぃー どなたでも気軽にお絵かきしてほしいですわね!

気負わず振り返らず、ただただ線を引き形を描くことを楽しんでいただけたら嬉しいですの。

また、「pao_board」のような一発描きにはゲーム的な面白さもありますのよね。自分の中で少しずつ上達する楽しさも味わっていただければと思います!

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