同賞は冨樫義博さんや荒木飛呂彦さんらが受賞してきた新人漫画賞「手塚賞」の第100回を記念し、英語、スペイン語、韓国語、中国語(簡体字・繁体字)の5ヶ国語を対象に世界中から作品を募集したもの。
今回『週刊少年ジャンプ』電子版に掲載された4作品も、それぞれ韓国、チリ、フランス、中国から集まった作品で、画風からテーマ、細かな表現にまで個性が宿っており、非常に刺激的でワクワクさせられた。本日発売「週刊少年ジャンプ電子版 15号」に「第100回手塚賞 100回記念海外特別部門」入選・準入選作品が掲載中‼️
— 少年ジャンプ編集部 (@jump_henshubu) March 15, 2021
日本語に翻訳された受賞作品をご覧いただけます❗️
審査員の先生方も絶賛した4作品、是非ご覧ください‼️
少年ジャンプ電子版を要チェック‼️https://t.co/CQ0V4bsb9K pic.twitter.com/tPpQnWDiEy
なお審査員は鳥山明さん、尾田栄一郎さん、加藤和恵さん、井上雄彦さん、堀越耕平さん、手塚プロダクションと豪華な面々がつとめており、作品の募集が行われたイラスト・漫画投稿サイト「ART street」には、作品の講評も掲載されている(外部リンク)。
それぞれの個性でワクワクしっぱなしの4作品
今回『週刊少年ジャンプ』電子版に掲載されたのは、以上の4作品。作家・作品名は発表に準拠
入選:たるはさん『星、夜、星』(韓国)
入選:Saikomicさん『ARMADOS』(チリ)
準入選:Jeronimo Cejudoさん『DEVIL DIVE INFERNO』(フランス)
準入選:目食さん『雨男 Rainy Man』(中国)
空中戦主体のプロレス「ルチャ・リブレ」をテーマにした『Devil Dive INFERNO』や、砂漠に表れた謎の仮面の男を描いた『雨男 Rainy Man』などはテーマからして「日本ではなかなか見ないな!」という感覚が強い。
そのため何が飛び出てくるのかワクワクさせてくれた。
1枚のイラストだけで「この表情を描く人は面白そう!」と思わせてくれた『ARMADOS』は、ちょっとヒネて不真面目に、でも自分のスタイルをもっている世界観が伝わってきた。
鳥山明さんと尾田栄一郎さんがその画力を評価した『星、夜、星』は、「いったい何が起きている世界なのか?」という興味を持たせ続けてくれる展開が必見だ。
以上4作品は、土台となる世界観や価値観にお国柄が出ており、そこに作家の個性が加わることで強烈な引きを生んでいる。
どの作品も読んでいて「どうなる?」「こうなるのか!」と思わせ続けてくれた。
日本でも注目されつつある海外漫画
最近、海外漫画が日本でも注目されつつある。アジア、アメリカだけでなく、ヨーロッパでもWEBTOONが伸びている模様。海賊版サイトでも、日本の漫画ではなくWEBTOON作品がランキング上位多数。表現形式や内容の違いも関係してるかもしれないが、日本の漫画の海外デジタル展開の差が響いてるのではと感じる。
— モミー 【少年ジャンプ+編集】 (@momiyama2019) October 28, 2020
韓国の新たな漫画形式「WEBTOON」も勢いを増しており、日本でも「LINEマンガ」などで見かけることも多い。 フランスの漫画文化「バンド・デシネ」の作家だったトニー・ヴァレントさんは、『ドラゴンボール』や『らんま1/2』を見て育ち、日本的な手法で漫画『ラディアン』を執筆している。
2020年に吹き替え版が公開された『羅小黒戦記』は中国の道教などをベースにしつつ、日本の漫画的な手法を表現に取り入れていた。
発売されたばかりのグラフィックデザイン誌『アイデア』が海外漫画を特集し、翻訳者や個人で輸入販売を手がける書店にインタビューを行ったのも印象的だ。 強いインパクトを持っているからこそ、日本の漫画文化は各国で研究されている。そこから生まれる作品の多様性は、非常に刺激的で、読者として喜ばしいものだ。
日本の漫画シーンを牽引する『週刊少年ジャンプ』が呼び込んだこの新しい風がどのような影響を与えるのか、いち読者として楽しみに見守っていきたい。
世界で息吹く漫画文化
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