「でも、ただの〇〇じゃねぇぞ」「超ド級の○○、ド○○だ!」
現在、Xを中心にじわじわと広がりつつある定型文をご存じですか?
〇〇に言葉を入れて、その凄みを声高に唱えることができるこの言い回しは、実は週刊少年ジャンプで連載していた漫画『ドリトライ』から生まれたものです。
勢いのある文字面が癖になる、超ド級のネットミーム「ドミーム」をご紹介します。
「昭和」×「ボクシング」漫画『ドリトライ』
『ドリトライ』は、雲母坂盾さんによる漫画。週刊少年ジャンプで2023年23号から42号まで連載されました。
少年ジャンプ公式サイトでは、第1巻のあらすじが以下のように紹介されています。
戦争によって身寄りをなくし戦災孤児となったは、大神青空は病気の妹を救うためとにかく金が必要だった。ある時、裏社会で開催される格闘技大会で賞金を稼ぐ虎威組の組長からスカウトを受け、拳と拳がぶつかり合う拳闘の世界に殴り込む!!
主人公・大神青空は、ボクシングの元チャンピオンである父から教えられた「心の強さ」を武器に、戦前、戦後の過酷な環境を生き抜くため、ボクシングに取り組んでいきます。
残念ながら2023年9月で連載終了した本作ですが、一部の漫画ファンには作中の強烈なキャラクターと独特なセリフがヒットしました。
ドリトライ構文に「正統後継者」、ネットユーザーの心をくすぐるもの
第一に、「ドリトライ構文」の代表的な言い回し「超ド級の○○、ド○○だ!」ですが、全19話の本作で第17話のラストシーンに登場したセリフです。
本作のラスボスとして立ちふさがるのが、主人公の父。
戦争を通じて無気力となり、自身の「心の強さ」を否定してしまった父親とボクシングで戦います。
そんな戦いに挑む大神青空が口にしたセリフが「でも、ただのリトライじゃねぇぞ。何度も心の強さで立ち上がり前に進む。ド級のリトライ、ドリトライだ!」です。
本作のカギを握る「心の強さ」を巡る熱い展開と、最終回を目前に漫画タイトルの核心に迫ったセリフ回しが、その使い勝手の良さと相まって、漫画ファンに愛用されるようになりました。
この反響を受けてか、コミックス2巻にはそんな「ドリトライ構文」をふんだんにあしらった帯が用いられるなどの展開を見せました。
強烈に「ヤバい」キャラクター・虹村凶作
さらに、ファンを虜にしたのが、虹村凶作というキャラクター。
戦争中の日本軍において、主人公の父親の部下だったという虹村凶作は、自身を「正統後継者」と称し、主人公に立ちふさがります。
虹村凶作の登場時には両腕を交差したポーズをとり、語尾に音符をつけるという、そこはかとない「ヤバさ」を醸し出します。
『ドリトライ』が記録以上に記憶に残すような作品として、存在感を放つ一因となりました。
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