日本最高のプレイヤーと呼び声の高かった渡辺雄也選手が30ヶ月の公式大会出場停止及びMPL(マジック・プロリーグ)から除名処分を受けたのは先日報道した通り。 5月14日にはアメリカのプロプレイヤーであるGerry Thompson選手がMPLからの脱退を発表。
いずれも、これまで『MTG』の国際大会で大きな実績を残してきた人物だった。
この2名によって空いた2つの枠について、運営はゲーム配信者のSavjz(Janne Mikkonen)選手とJess Estephan選手を抜擢。しかし2人の選出に賛否が渦巻いている。
Two recently-vacated @MagicEsports Pro League spots have been filled with @jesstephan and @Savjz. @Wizards VP of esports @ElaineChase explains the significance of their addition: https://t.co/YKqXKsrxN9 pic.twitter.com/F2pM27ltPx
— The Esports Observer (@esportsobserved) 2019年5月13日
MPL(マジック・プロリーグ)とは何か?
MPLは、トッププレイヤー32名が行う世界最高峰のリーグ戦。世界で32人の選手だけが選ばれ、プレイヤーには年間75,000ドルの契約金が支払われる。シーズン中にはMPLプレイヤー同士でMTGのデジタル版「MTG ARENA」対戦の動画配信を毎週行い、「ミシックチャンピオンシップ:MTG ARENA」2日目へのシード出場権利を獲得を競う。 また、MPLプレイヤーは「MTG ARENA」を用いた賞金総額100万ドルの大会「ミシックインビテーショナル」にも招待される。同大会はMPLプレイヤーや『MTG』界の有名人、配信者なども参加している。
発足当初から、MPLへの選手の加入・オファーは、前年度に獲得したプロ・ポイント順に行われている。
しかし今回新たにMPLプレイヤーとして発表された2人はプロ・ポイント獲得を参照しない人選。本来の方式であれば選ばれなかったメンバーだ。その決定にMPLの意義を問うような形で賛否両論の議論へと発展している。
実績よりも人気で選んでいる?
批判は「レベル・プロ」と呼ばれるプロポイントを多く獲得/目標としてきたプレイヤーたちから上がっており、これまで『MTG』の公式大会で実績を残したことのないプレイヤーを抜擢したことへの苦言となっている。一方で、Jess Estephan選手はグランプリシドニー2018優勝、Savjz選手はハースストーンの有名プレイヤーでありミシックインビテーショナルTOP4の実績を持っている。
今回のMPL二人の参入、流石に海外でもかなり賛否両論あるみたいね。個人的には女性枠はあってもいいけど選出方法は考えて欲しかった。やはりリーグ戦を急に始めたのが色々歪になってる気がする。
— 行弘 賢/YUKUHIRO KEN (@death_snow) 2019年5月13日
しかしながらMPLは近年、『MTG』が最も力を入れている「MTG ARENA」を用いることもあり、e-Sportsという興行を盛り上げるという目的もある。ライブ配信に慣れた有名ゲーム実況者を起用する意図も汲んで取れる。最初にMPLが設定される時、訳わかんない配信者とか入ったら嫌だなとか思ってたところでトップ32に決まって心底安心したけど、それも結果的には破られたからな。
— Kenta Harane (@jsp_magic) 2019年5月14日
今回のMPLプレイヤーの補填を「実績よりも人気」を優先したものとして読み取り、批判することも可能だが、e-Sportsという興行と競技の間で揺れる現在の『Magic: The Gathering』を象徴する出来事といえる。
なお、MPLを辞退したGerry Thompson選手は、辞退した理由を記した声明文において「MPLの現体制の不透明さ」を挙げている(外部リンク)。
競技と遊びと興行の成立の難しさ
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