『身辺整理』収録曲 「かがくのちからってすげー」
友達はいません
──そんなさつきさんは、ラジオのパーソナリティになったり、週刊ヤングジャンプ増刊『アオハル』でマンガの原作を担当したり、音楽活動以外にも様々な肩書きをお持ちだと思うのですが、目指すクリエイター像などはあるのでしょうか?さつき 最終的にはクレープ屋さんになりたいと思っていますね。女子高生と触れ合う機会が欲しいと思って。「おじさん昔、音楽つくってたんだよー、知ってるー?」みたいな話をするんです。
──それはまたすごい振れ幅の転身になりますね……。音楽をつくりたくない、というのはうかがいましたが、他のお仕事についても同じ気持ちなのですか?
さつき 色々やらせていただいていますが、現状こんな風になっているのは、やりたいからじゃなくって、ひとえに友達がいないからだと思うんですよね!!!!!!!!!! ここ、掲載される時は「!」を10個くらい使ってください。
──友達がいないから、とはつまりどういうことでしょうか……?
さつき やりたい企画とかがあったら、まずその筋の友達と協力するのが賢い方法だと思うんですけど、友達がいない場合には、自分で足動かしてやるしかないじゃないですか。そうすると、結果的に自分が舵取っている形になるんですけど、めちゃくちゃ疲れるんですよね。
自他共に認めるニート体質なので、本当はただ誰かに乗っかっていきたい気持ちが強いんです。加えてひきこもり気質も強いので、もう全然ダメですね(笑)。
──でも、ライブやイベントの際はどうしてるんですか?
さつき ライブやイベントは「さつき が てんこもり」として行くので、インターネットの延長だと思っています。だから行けます。相変わらず緊張はしますが……。ひきこもりの定義と矛盾するかもしれませんが、「中の人」が関係ないという意味では、海外旅行とかも好きです。
ひきこもりのネイティブ
──ひきこもりでも海外に行きたい、というのはどういうことですか?さつき 僕らにとっての地元、ネイティブって、インターネットなんです。そこは、基本的に誰が何をしていようが知ったこっちゃない世界。
例えば、素っ裸の写真をアップロードしたら、ネットだろうがリアルだろうが逮捕されるかもしれませんが、その辺が限界で、そこまでだったら普段街中でちょっと恥ずかしい様な事をしていてもわからないですよね。曲をつくろうが、小説を書こうが、何をやっても良くて、基本的にお互いが匿名に近い状態でしか干渉しない空間ですね。
海外も同じで、まわりに自分のことを知っている奴なんてまずいないんですよ。小学校の同級生だったけど、その後疎遠になって挨拶しようか迷うような、微妙なレベルの顔見知りとすれ違ってモヤモヤする事もないし。その土地の人も、お互いに何をやっていようが関係がない。
──インターネットにひきこもるのも、海外にいるのも変わらないと。
さつき だから海外に行くのって、ひきこもりのネイティブと何も変わらないんですよ。ただ注意したいのは、観光ではないということです。有名な観光スポットなんて、すでにストリートビューで来てますから(笑)。
そうじゃなくって、ガイドマップに載らないような古ぼけた居酒屋とか、誰の目も届かないような場所をひたすら歩いて、その場所に馴染んでいくっていうのが、インターネットにいる自分と何も変わらないような気がするんですよ。だから海外は好きです。
もちろん、国内でも遠出します。北海道のすすきのに行った時に、完全に修羅場になっているキャバ嬢とおっさんを見かけたんです。「あー殴った」、「あー警察来ちゃったよ」「twitterに上げようかな」「ニコ生で実況中継しようかな」なんて思いながら、またそこにいる人たちにあだ名をつけている瞬間、完全にオフラインなのに凄いインターネットを感じます。
──なるほど。さつきさんがいかにインターネットで生きてきた方なのか、その一部を垣間見れた気がします。最後に、これからの夢について聞かせていただけますか?
さつき 「うすあわせ」ってあるじゃないですか。高島屋とかのギフトコーナーにあるやつ。うすあわせを自腹で、何のためらいもなく、好きなだけ買えるぐらいの売れっ子になるのが夢です。
あ、音楽以外の方法で売れて、ですね(笑)。
文:たかはしさとみ
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さつき
作曲家 / DJ
「たのしいおんがく」をコンセプトに、都内やネット上を拠点に活動している作曲家、DJ。深夜アニメからアイドルプロデュース、ボーカロイドから地方コマーシャルまでジャンルの垣根を超えて制作を行っている。アイドル・私立恵比寿中学、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』、ゴーゴーカレー店舗コマーシャル等への楽曲提供の他、ニコニコ動画公式番組「ニコラジ」に、やまだひさしと共にレギュラー出演中。
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