こんにちは。
今回からコラムの連載をさせてもらいます。虎硬(とらこ)と申します。普段は某社でイラストレーターやってます。同人活動として「百化」というサークルを主宰していたり、『ネット絵学』というネットイラストシーンについての評論集を自主制作で刊行したこともあります。 この企画ではネットやイラスト、それに関連する仕事について自分なりの解釈で書いていこうと思います。
少し前までキャラクターイラストといえばいわゆる「オタク」が消費するものであり、アンダーグラウンドの色が強かったと思います。それが今や、街を歩けば都心の駅でさえキャラクターイラストがちりばめられています。
例えば、アニメやライトノベルのキャラクターはもちろん楽曲ソフトのパッケージから生まれた「初音ミク」もすでにリリースから7年の時を迎えました。今の小中学生の方々にとっては我々20代以上の世代でいう「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」のような国民的なキャラクターに成長していくのかもしれません。
「初音ミク」が顕著な例ですが、今やキャラクターは、シナリオや詳しい設定がなくとも成立できるようになってきました。 さらにいえば、発信側が新しい絵をどんどん提供する必要がなくなってきました。それまで、アニメや漫画であればコンテンツ制作をする時は新しい絵やお話を考えなければいけませんでした。
その理由は、よく「n次創作」などと言われている通り、ファンが新たにイラストやシナリオを考え、それが広まっていく時代になってきたからです。昔から似たような流れはあったと思いますが、今との違いはその速度です。インターネット、SNSの力により以前とは比べものにならない速度で波及、洗練、または陳腐化していくようになりました。
そんなインターネットでイラストを制作、公開する絵描き達。オレもその内の一人ですが、昔と今で作り手はどのように変化したのでしょうか。
前置きが長くなりましたが、今回は簡単にインターネットにおける絵描きの文化、交流の歴史をたどっていきます。やや堅いテーマになりますが、今のネットイラストに繋がる部分でもあるので、是非読んでもらえると嬉しいです。
オレ自身がネットに触れ始めたのが1999年頃で、当時からいくつかの人気イラストサイトが存在していました。彼らの中には、今では有名になっている方もいます。
当時は個人で運営しているイラストのポータルサイトのようなものがいくつかあり、そこから人気の作家のページを探すことができました。今でいうpixivのようなものです。逆にいえばpixivが出現してからそれらのサイトはあまり機能しなくなってしまいました。
今はブログやwordpress、Tumblrなどが生まれ、詳しい知識がなくても完成度の高いサイトを作ることは容易になってきましたが、当時はある程度は自分でhtmlを勉強する必要がありました。
よく使われていたWebサービスの一つにYahoo!ジオシティーズ(1997年〜)があり、12MB位までなら無料で自分のページを持つことができました。Yahoo!内のカテゴリからリンクが張られていて、トップメニューの階層をたどれば一応自分のサイトにたどり着くことが出来ます。
そして無料のサービスといえばinfoseek isweb(2001年〜)も忘れてはいけません。やたら大きな楽天の広告バナーが2つ(!)入りますが、無料で50MBのページを持つことが出来ます。ジオシティーズとの大きな違いは容量だけではありません。後述する「お絵かき掲示板」を設置出来るという画期的なツールでした。
今となっては、後発のGoogleが絵描きにとっても覇権のごとくシェアを広げていますが、つい10数年前のインターネットといえばYahoo!やinfoseekが中心だったのです。
今回からコラムの連載をさせてもらいます。虎硬(とらこ)と申します。普段は某社でイラストレーターやってます。同人活動として「百化」というサークルを主宰していたり、『ネット絵学』というネットイラストシーンについての評論集を自主制作で刊行したこともあります。 この企画ではネットやイラスト、それに関連する仕事について自分なりの解釈で書いていこうと思います。
はじめに
イラストは今日では、様々なメディアで使われるようになってきました。特に目立つのはキャラクターを用いたものです。少し前までキャラクターイラストといえばいわゆる「オタク」が消費するものであり、アンダーグラウンドの色が強かったと思います。それが今や、街を歩けば都心の駅でさえキャラクターイラストがちりばめられています。
例えば、アニメやライトノベルのキャラクターはもちろん楽曲ソフトのパッケージから生まれた「初音ミク」もすでにリリースから7年の時を迎えました。今の小中学生の方々にとっては我々20代以上の世代でいう「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」のような国民的なキャラクターに成長していくのかもしれません。
「初音ミク」が顕著な例ですが、今やキャラクターは、シナリオや詳しい設定がなくとも成立できるようになってきました。 さらにいえば、発信側が新しい絵をどんどん提供する必要がなくなってきました。それまで、アニメや漫画であればコンテンツ制作をする時は新しい絵やお話を考えなければいけませんでした。
その理由は、よく「n次創作」などと言われている通り、ファンが新たにイラストやシナリオを考え、それが広まっていく時代になってきたからです。昔から似たような流れはあったと思いますが、今との違いはその速度です。インターネット、SNSの力により以前とは比べものにならない速度で波及、洗練、または陳腐化していくようになりました。
そんなインターネットでイラストを制作、公開する絵描き達。オレもその内の一人ですが、昔と今で作り手はどのように変化したのでしょうか。
前置きが長くなりましたが、今回は簡単にインターネットにおける絵描きの文化、交流の歴史をたどっていきます。やや堅いテーマになりますが、今のネットイラストに繋がる部分でもあるので、是非読んでもらえると嬉しいです。
イラストサイトの黎明期
時を遡って1990年代半ば。ネットはまだまだ発展途上の段階でしたが、すでにいくつかの文化は芽吹いていました。Flashアニメがあり、テキストサイトがあり、掲示板が生まれ、その中で個人のイラストサイトも増えてきました。オレ自身がネットに触れ始めたのが1999年頃で、当時からいくつかの人気イラストサイトが存在していました。彼らの中には、今では有名になっている方もいます。
当時は個人で運営しているイラストのポータルサイトのようなものがいくつかあり、そこから人気の作家のページを探すことができました。今でいうpixivのようなものです。逆にいえばpixivが出現してからそれらのサイトはあまり機能しなくなってしまいました。
ジオシティーズ、iswebの登場
ネットで自分のイラストを宣伝するときは、それらのポータルサイトに自分のサイトを登録することが効果的とされていました。登録のためには当然、自分の個人サイトが必要になります。今はブログやwordpress、Tumblrなどが生まれ、詳しい知識がなくても完成度の高いサイトを作ることは容易になってきましたが、当時はある程度は自分でhtmlを勉強する必要がありました。
よく使われていたWebサービスの一つにYahoo!ジオシティーズ(1997年〜)があり、12MB位までなら無料で自分のページを持つことができました。Yahoo!内のカテゴリからリンクが張られていて、トップメニューの階層をたどれば一応自分のサイトにたどり着くことが出来ます。
そして無料のサービスといえばinfoseek isweb(2001年〜)も忘れてはいけません。やたら大きな楽天の広告バナーが2つ(!)入りますが、無料で50MBのページを持つことが出来ます。ジオシティーズとの大きな違いは容量だけではありません。後述する「お絵かき掲示板」を設置出来るという画期的なツールでした。
今となっては、後発のGoogleが絵描きにとっても覇権のごとくシェアを広げていますが、つい10数年前のインターネットといえばYahoo!やinfoseekが中心だったのです。
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虎硬
イラストレーター
1986年生まれ、東京都在住。フリーランスとして書籍、web、CDなどでイラスト、デザインやアートワークなどを手がける。同人サークル「project百化」主宰として、優れたアーティストたちを率いて世に送り出す。2010年、菊地信義賞受賞(講談社)。2012年、インターネットイラスト論を展開する『ネット絵学』を刊行。現在は会社にてイラストレーターとして勤務。
@anofelus
http://netegaku.tumblr.com/
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