雑誌は同日発売の『新潮』10月号から毎月1章ずつ掲載。
Yahoo! JAPANでは、各章を8パート程度に分けて無料掲載。週2回(火・木)の頻度で更新していく。
業界でも珍しい純文学のスマホ長期連載
Yahoo! JAPAN上での連載では、「新しい読書体験」の提供をコンセプトに、誌面では実現できないスマートフォンならではのデザイン性、操作性を追求。Web上での読書体験、UI/UXのデザインはクリエイティブ・イノベーション・ファームであるTakramが協力。 縦書きの文字組、親指だけで操作できる縦スクロールのページ移動、自律的システムにより生まれるジェネレーティブアートによる動く挿絵など、新たな「読み味」「操作性」の実現を目指した。
初回公開時に掲載されるジェネレーティブアートは、読者がタップした画面上の位置と、その時刻をきっかけに作品を生成。読者の数だけ、異なる挿絵が生まれる仕組みだ。
三島由賞作家・上田岳弘さんとは
上田岳弘さんは、1979年兵庫県生まれ。2013年に第45回新潮新人賞受賞作『太陽』でデビューすると、2015年には『私の恋人』で第28回三島由紀夫賞を受賞した。2016年、『GRANTA』誌のBest of Young Japanese Novelistsに選出されている。
その他の著書として、『太陽・惑星』『私の恋人』『異郷の友人』『塔と重力』と、超越的作風で話題作を次々と発表する気鋭の小説家だ。
「キュー、という長編が書きたい」
20代の頃、作家としてデビューする前から、周りの人にそう漏らしていた。おそらくは歴史に触れ、とりわけ戦争について書くことになる。そうした直感はあっても、僕の内にこだまするのは、意味を捉えかねる言葉、その音だけだった。
「新潮」からデビューして4年、親身になって話を聞いてくれる相手が増えていった。徐々に目標に近づいている実感があり、Yahoo! JAPANとTakramとの出会いで、霞がぱっと晴れたような心持ちがした。そこに浮かび上がってきたのは、シンギュラリティを目前に、人類の進化の意味を根底から問う小説。
ふと思い出されるのは、古井由吉さんの言葉だ。新宿のバーに居合わせた時、古井さんは「海外では新興企業が芸術を支援している」と仰っていた。その帰り道、小説の構想や、その時点で考えていた執筆の計画を、頭の中で並べ直した。
まさか、実現するとは思っていなかったけれど。 上田岳弘さんコメント
テクノロジーがアートや伝統と出会って
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作品情報
キュー
- 著者
- 上田岳弘
【概要】
高校時代に出会った前世の記憶を持つ少女。彼女と同じ名の女性が目の前に現れた時から、平凡な心療内科医は、人類の進化を巡る闘争に巻き込まれた。長年寝たきりの祖父がその鍵を握るというのだが――。シンギュラリティへのカウントダウンが始まった人類のその先を予言する、想像力の冒険が始まる。
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