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編集部的に気になる2013年5月発売の新刊本をご紹介 西尾維新『暦物語』など
本企画・KAI-YOU MONTHLY BOOK GUIDEでは、月1回のペースでKAI-YOU.net編集部が選ぶ、その月でおすすめの(ポップな)新刊本をノンジャンルでご紹介します。

2013年5月は下記の5つの新刊本が気になりました。書籍購入の参考になりましたら幸いです。

西尾維新『暦物語』(講談社)


アニメも好調な西尾維新さんの《物語》シリーズの最新作。様々な怪異現象に巻き込まれた女の子を助けつつ、次第に立ち上がっていくある運命に対峙するという一癖ある青春ストーリー。

すでに『恋物語』でセカンドシーズンを終え、ファイナルシーズンとして『憑物語』が刊行され、『終物語』『続・終物語』と最終巻までのタイトルも発表されていたが、本作はここにきて急遽差し込まれたサプライズ的な新刊となっている。内容は主人公・阿良々木暦がこれまでの物語の1年を振り返るというもの。講談社BOXのWebサイトでは作者へのインタビューも行われ、そこでは西尾維新さんが「一話一ヵ月からなる12作の短編?」と発言しているが、過去の例を参考にするに、あまり信じすぎるのはよくないと考えられる(往々にして告知内容はでたらめである)。2013年夏にはセカンドシーズンのアニメ化も決定しており、今後も要注目のシリーズなのは間違いない。

単行本(ソフトカバー)
出版社: 講談社 (2013/05)
言語 日本語
ISBN-10: 4062838370
ISBN-13: 978-4062838375
発売日: 2013/05

森見登美彦『聖なる怠け者の冒険』(新潮社)


過度なスケジュールから作家活動を一時中断していた森見登美彦さんの待望の新作。この作品も朝日新聞にて連載されていたが、筆は止まったままだった。書籍紹介に「『何もしない、動かない』ことをモットーとする社会人2年目の小和田君。」とあるように、休業していた森見登美彦さん自身が大きく反映されている作品であることが予想される。

2003年に『太陽の塔』でデビューし、『四畳半神話大系』『夜は短し歩けよ乙女』と出す作品はすべてヒットさせてきた森見登美彦さん。3年ぶりの長編小説でいかなる進化を遂げているのか、是非とも注目したい一作。また、新聞連載の挿画をまとめ、森見登美彦さんのコメントもついた画集『聖なる怠け者の冒険挿絵集』(フジモトマサルさん著)も同時刊行される。

単行本: 344ページ
出版社: 朝日新聞出版 (2013/5/21)
ISBN-10: 4022507861
ISBN-13: 978-4022507860
発売日: 2013/5/21

ILLUSTRATION 2013(ソーテック)


「今」を象徴する人気イラストレーター150人をアーカイブした図録。多くの作家を集めたイラスト集は毎年いくつか刊行されているが、その一本筋の通った作家陣の選定と、クリエイティブのこだわりからすでに話題となっている。

日本のイラスト文化はpixiv以降、急速に発展を続け、作家や作品も膨大な量となっている。そういった状況をさらに良くするためには、優れた編集力でもって他の分野への紹介などを積極的に行っていく必要があるように感じる。アートディレクターにグラフィックデザインで著名なTATSDESIGNの有馬トモユキさんが迎えられ、インタビューが掲載されているのも、イラストをあくまでイラストとして捉えるのではなく、視覚表現としてしっかりと確立したジャンルなのである、という説得力にも繋がっているように思える。

単行本: 320ページ
出版社: ソーテック社 (2013/5/22)
言語 日本語
ISBN-10: 4881668889
ISBN-13: 978-4881668887
発売日: 2013/5/22

江渡浩一郎/ニコニコ学会β実行委員会『進化するアカデミア 「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来』(イーストプレス)


「学会」というと何とも生真面目な、インテリな、閉塞的な印象を受けてしまいがちだが、そういった既成概念を打ち壊すべくして誕生したのが「ニコニコ学会β」だ。かつて「知」というのはそういった学会をはじめとした大学機関にこそ集約されているものだったが、インターネットで誰もが自由に活動や研究を発表できるようになった今、ユーザー(一般人と置き換えてもいいと思う)主導の新しい「知」の在り方が顕現しはじめている。本書ではそういった状況から発足した「ニコニコ学会β」のこれまでの活動をまとめつつ、いまどのような状況で新しいコンテンツやメディアが日々生まれていっているのか、分かりやすく解説している。

イラストレーター・seroriさんが描く初音ミクをあしらった装丁も、ポップで素晴らしい出来。

単行本(ソフトカバー): 200ページ
出版社: イースト・プレス (2013/5/11)
言語 日本語
ISBN-10: 4781609953
ISBN-13: 978-4781609959
発売日: 2013/5/11

古川日出男『南無ロックンロール二十一部経』(河出書房新社)


古川日出男さんといえば、2005年に刊行された『ロックンロール七部作』が有名だが、なんと本書は『二十一部経』という何かとんでもないことになっている。内容は某カルト教団の事件と3.11.とその断絶について書かれた作品というだけあって、その紙幅も576ページという量が費やされている。

古川日出男さんは3.11.以後、自身の故郷が福島だということもあり、多くの小説家の中でも特に意識的に震災に関する活動を行ってきた。そんななか、2013年で作家生活15周年も迎えることになり発表された今作。物語作家という肩書きがこんなに相応しい作家は少ないが、彼が現実に起きた事件を描くときの筆致は過去の作品からみても目を見張るものがある。数多くの世界文学を吸収しつつも、あくまで日本という舞台にこだわりつづける彼が構築する新たな巨大な物語には、期待せざるを得ない。

単行本: 576ページ
出版社: 河出書房新社 (2013/5/14)
ISBN-10: 4309021875
ISBN-13: 978-4309021874
発売日: 2013/5/14

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