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6月〜7月に刊行された必読書10冊まとめてみた── 『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』『ポケモンが生きる意味を教えてくれた』など
本企画・KAI-YOU MONTHLY BOOK GUIDEでは、月1回のペースでKAI-YOU.net編集部が選ぶ、その月でおすすめの(ポップな)新刊本をノンジャンルでご紹介しています。
ルーズな編集スタッフが6月分をいつのまにかやりそびれてしまったため、7月と一緒に公開します! どうかお許しください。

原子爆弾とジョーカーなき世界

原子爆弾とジョーカーなき世界
評論家・宇野常寛さんの最新単著。『ゼロ年代の想像力』でポップカルチャー/サブカルチャー作品に内在される社会性をその言論によって解き明かし、鳴り物入りでデビューした著者だが、近年ではテレビ番組などにも積極的に出演し、作品論だけでなく、政治や経済といった分野へも言及が多い。しかしながら、やはり宇野さんの本領といえば歯に衣着せぬカルチャー批評だろう。本作では自身が入れこんでいるAKB48から『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』、『ダークナイト ライジング』といった新しい作品群や現象から、現代日本の想像力を浮き彫りにする。

著者:宇野常寛
版元:メディアファクトリー
発売:2013/06/21
価格:¥ 1,260(税込)
頁数:157ページ

有川浩の高知案内

有川浩の高知案内
『空飛ぶ広報室』『県庁おもてなし課』『図書館戦争』のトリプル映像化で大人気の作家・有川浩さん。そんな有川さんのふるさとであり、映画『県庁おもてなし課』の舞台でもある高知を、自ら案内する1冊。観光案内のほか、映画『県庁おもてなし課』主演の錦戸亮さんとの対談や、ご当地キャラクターの「カツオ人間」についてのインタビューにも注目!

著者:有川浩
版元:メディアファクトリー
発売:2013/06/21
価格:¥ 1,100(税込)
頁数:四六判/並製/128ページ

銀河鉄道の彼方に

銀河鉄道の彼方に
1981年のデビュー当時「ポップ文学の旗手」として評され、現在も精力的に活動されている作家・高橋源一郎さん。その最新作となる本著は、宮沢賢治さんの『銀河鉄道の夜』をモチーフとして、05年〜11年まで雑誌「すばる」で連載されていたものに加筆の上刊行された。不可解な言葉を残して宇宙船から失踪した宇宙飛行士の父を探すジョバンニの物語は、「死んだらどうなるの」「宇宙に果てはあるの」といった、なぜか子どもが考えてしまう世界についての問いがちりばめられている。震災を経て、新しいステージにさしかかろうとしているこの世界を、子どもの想像力で照らしだす意欲作。

著者:高橋源一郎
版元:集英社
発売:2013/06/05
価格:¥ 2,310(税込)
頁数:四六判/568ページ

VIP -Vocaloid Important Producer -ボーカロイドMV制作テクニック

VIP -Vocaloid Important Producer -ボーカロイドMV制作テクニック
ボカロPによるボカロPのための解説書「VIP」。八王子Pに続く第2弾は、「Tell Your World」でもお馴染みのわかむらP! 八王子P書き下ろし楽曲を用いて、MikuMikuDance、After EffectsでのMV制作工程をレクチャー。これであなたも人気Pになれるかも!?

著者:わかむらP
版元:ビー・エヌ・エヌ新社
発売:2013/06/18
価格:¥ 2,940(税込)
頁数:B5判変型/168ページ/サンプルデータダウンロード付

ウルトラマンが泣いている――円谷プロの失敗

ウルトラマンが泣いている――円谷プロの失敗
「ウルトラマン」を制作する円谷プロの初代社長の孫、二代目社長の息子にあたる、六代目社長をつとめた円谷英明さんによる著書。本書は、子どもたちに夢を与えるヒーローものの制作秘話でも、日本の特撮技術を支えた職人の話でもない。本書は、日本が誇る「ウルトラマン」を生み出した栄光の陰で密かに繰り広げられていた、円谷一族の覇権争いを中心に描いた暴露本である。夢も希望もない話と言ってしまえばそれまでだが、特撮技術が失われようとしている昨今、間違いなくその一翼を担っていた〝円谷プロの失敗〟を知る価値は多いにあるのではないだろうか。

著者:円谷英明
版元:講談社
発売:2013/06/05
価格:¥ 777(税込)

中川翔子 ポケモンが生きる意味を教えてくれた

中川翔子 ポケモンが生きる意味を教えてくれた
中川翔子さんこと〝しょこたん〟が、いかに自分の人生にポケモンが多大な影響を与えてきたのか、思い入れを込めて初めて語り尽くした本書。表題のひと言が、本書企画のきっかけとなったそうだ。周囲になじめなかった在りし日の自分が、『ポケットモンスター』がゲームとして発売されてから17年、どのようにポケモンと共に歩んできたのか、これまでの人生を振り返る。そこに溢れるひたすら真摯で実直なポケモン愛は、読む者の心を射ち抜くと評判となっている。いつでもいつも本気で生きてるのはポケモンたちだけではない。

著者:中川翔子
版元:小学館
発売:2013/07/10
価格:¥ 1,365(税込)
頁数:ムック/176ページ

チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1

チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β
思想家/作家の東浩紀さんが率いる株式会社ゲンロンが刊行する「思想地図」シリーズのVol.4。今回は「チェルノブイリ」編と「福島」編の二回に分けて刊行される予定となっており、本書ではその名の通り、ウクライナ・チェルノブイリ原子力発電所で起こった被災の跡地を実際に東さんたちが訪れ、レポートを行なっている。3.11以降、多くの知識人が福島の在り方を言葉にしてきたが、福島第一原発事故の25年前から被災地だったチェルノブイリは今どうなっているのか。それを参照することには大きな価値がある。「思想地図β」シリーズとしても、判型も過去の書籍から大きく変更されている他、写真が多用されている点もこれまでと一線を画す。

著者:東 浩紀(著,編集)他
版元:ゲンロン
発売:2013/07/04
価格:¥ 1,470(税込)
頁数:160ページ

消されたマンガ

消されたマンガ
様々な理由から、発禁や自主規制、単行本未収録となったマンガ作品やエピソードを60作品以上紹介。原発をモチーフにした超ブラック作品『ラジヲマン』、地下鉄サリン事件を偶然予言した『MMR』、ロボトミー手術を描いた『ブラック・ジャック』、あまりにサイケデリックな夢を描いた『ちびまる子ちゃん』などが紹介されている。また、実際に作品が封印される憂き目にあったマンガ家のインタビューも証言として収録。戦後から現代までの〝封印されたマンガ〟を追いかけることで、その当時の時代性を切り取り、マンガ表現の歴史を辿る内容となっている。

著者:赤田 祐一/ばるぼら
版元:鉄人社
発売:2013/07/22
価格:¥ 1,365(税込)
頁数:226ページ

走り続ける男たち モバマス廃人

走り続ける男たち モバマス廃人
ソーシャルゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』、通称モバマス。アーケードゲームとして登場したアイマスは、その後コンシューマーゲーム、アニメ化、関連CDも多数発売され、熱狂的なプロデューサー(アイマスのプレイヤーは作中の設定にのっとって「プロデューサー」と呼称される)がつき、2000年代以降における最も重要で巨大な市場の一つとなっている。中でも、プロデューサーの献身が如実に表れているのが、モバマスへの廃課金者だと言っても過言ではない。本書は、そんな重課金者を越えた廃課金者にスポットを当てたインタビュー集。ネット上では既に彼らの存在は補足され、ある種の敬意を持って語られていたが、このような形で刊行物となるのは初めての試みだ。飛び出す名言の数々、ほとばしる愛の証明……彼らを突き動かすアイマスという稀代のモンスターコンテンツの一端を垣間見るという意味でも、必読書の一つに数えられてもおかしくない。

著者:表記なし
版元:三才ブックス
発売:2013/06/28
価格:¥ 980(税込)
頁数:189ページ

街のものがたり――新世代ラッパーたちの証言

街のものがたり――新世代ラッパーたちの証言
OMSB(SIMI LAB)、THE OTOGIBANASHI'S、PUNPEE、AKLO、MARIA(SIMI LAB)、田我流、ERA、宇多丸(Rhymester)、Mummy-D(Rhymester)といった、注目の若手から、第一線で活躍し続けるベテランなど、次世代の日本のヒップホップシーンを代表する9名のラッパーたちのインタビュー集。ヒップホップ、ラッパーと聞くと、どこか悪そうな人たちが好む音楽といったネガティブなイメージを抱くかもしれない。しかし本書では、そんなイメージとはかけ離れた、それぞれの音楽や日常、未来などに対して誠実に、そして真摯に向き合うリアルな姿やそのただならぬ覚悟を、インタビューと共にリリックを引用しながらひも解く内容になっている。ヒップホップに対してネガティブなイメージを抱いている人にこそ、読んでもらいたい新世代のヒップホップの入門書とも呼べる一冊だ。

著者:巻紗葉
版元:Pヴァイン ele‐king books
発売:2013/06/28
価格:¥ 1,900(税込)
頁数:四六判/256ページ
気になる本はありましたか? 引き続きポップな書籍を今後もグイグイ紹介していきたいと思います。次回は8月のブックガイドです。夏で本といえば青春ですよね。編集部一同、青春できるように尽力してまいります。

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