「ありがとう」は先に言っておきます
ファンの間ではよく知られた、ももちの名言があります。「みなさんと会話がしたいので『ありがとう』は先に言っておきます」
数秒間しか時間のない握手会では「楽しかったよ」「ありがとうございます!」が、どうしても定型文になりがち。私の個人的な話をすると推しメンとはあまりコミュニケーションを取れないタイプなので、これくらいの時間で丁度いいのですが……普通、少しでも長く会話したいのがファンの本音でしょう。
そこで、ももちが編み出したのが「ありがとう」を先に言っておくことで、定型文を崩すという方法でした。あまりにも画期的なそのサービス精神にファンは皆、喜びました。
当時流行っていた「前略プロフィール」で知り合った同じももち推し女の子と共に参加し、お互いに初めての推しメンとの握手にド緊張。列に並び、「もうすぐだね…。」と話していた時、ちょうど途中休憩がはさまりました。
列の隙間から見えるももちに「やばい、めっちゃ可愛い!!」と思わず2人して声が漏れてしまった瞬間、ももちがこちらへ向き直り「女の子ーーー!」と手を振ってくれたのです。
当然、私たちは喜びのあまり大はしゃぎ。休憩中に休憩をしない人なんて、アイドルはもちろんのこと全労働者のなかでも初めて見ました。
当時はまだ「神対応」なんて言葉はありませんでしたが、その優しさはまさに女神。
感動も束の間、握手の順番が回ってくると、こちらが話すよりも先にニコニコと話しかけてくれ、初のももちとの握手は一生忘れられない思い出となりました。
アイドル戦国時代以降、「握手の女王」に起こった変化
そんな対応の良さから「握手の女王」と言っても過言ではなかったももちですが、「アイドル戦国時代」を機に、あっさりさっぱりな対応になっていきました。実はこのファン対応の変化こそが、ももちのすごさなのです。ももちが握手会でいわゆる「神対応」をしていた頃は、まだアイドルグループ自体の数も少なく、ハロプロも握手会を頻繁には行っていませんでした。
しかし「アイドル戦国時代」に入ると、多種多様なアイドルがうまれ、距離の近さ・接触を売りにしたアイドルが続々と登場したのです。
アイドルとの距離自体を売りにすることは、きっと、ももちの理想とする「アイドル像」ではなかったのだと思います。ももちは、積極的な接触は他のアイドルたちに任せ、別の形でファンに絆を示す方向へとシフトしていったような気がします。
どんなももちも「可愛い」に収束させるバランス感覚
ももちには「嗣永プロ」という異名があります。この異名は名付けられた当時は神対応な握手も含めてのものでした。そんな自身の強みを捨ててまで今のあっさりさっぱり対応にシフトしたももち。「ももちってさ、こういうとこあるよな〜(仕方ないなぁ♡)」と愛される角度を新たに増やすことで、あくまでファンを手離さないボーダーを守りつつ、この頃からバラエティー番組の世界でも活躍し始めていったのです。
ファンにももちのことを好きでいさせる自信があるからこそのシフトチェンジは、「ちょっとやそっとのことじゃ、ももちのこと好きなの辞めないよ!」というファンとの絆の証明となっていったのです。
ももちファンの方の握手会レポートを拝見してみると、大多数が、少々Sっ気のあることを言われても「ま〜たももちに、こんなこと言われちゃった! もう〜♡♡♡」と、どこか満足気なのです。
結局、どんなももちも「あー可愛かった!」に収束させる絶妙なバランス感覚。これは長いアイドル人生で培われたものだと思いますが、ただ毒を吐くだけではなく、やはり可愛いアイドルであり続けるももちのこだわりが導いた結果でもあると思うのです。
手を握らなくとも見える“世界一可愛い絆”
私にも、ももちと握手した思い出がたくさんあります。どんな対応をされたときも楽しくて可愛い記憶ばかりです。握手は例のごとく「楽しかったです」マシーンなんだけど今日はバージョンアップして「すごく楽しかったです」マシーンになりました。ももちがヒョ〜!みたいな顔してくれて可愛かったです。
— ?ぱいぱいでか美? (@paipaidekami) 2016年5月18日
昔の「ももちごと剥がされてしまうんじゃないか?」というくらいの力強い握手もすごかったけれど、今のニッコリとこちらの話を聞いてくれる眼差しも何度経験しようと嬉しいものです。
時には、なぜか男前に手をポンっと叩いてくれることも。その時私は思ったのです、「ももち、こんな表情もするんだ、可愛いな」と。何なら、今の対応になってからの方が、「可愛い」の余韻は長くなりました。
そして、ここまで便宜上「神対応」という言葉を使ってきましたが、今のももちの対応の何が嬉しいって、神を越え1周して戻ってきて、人と人として対応してくれている温かみを感じるのです。ももちとファンの間には、少しずつつくり上げてきた、がっつり手を握らなくとも見える“世界一可愛い絆”があるのです。
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ぱいぱいでか美
歌手/タレント
1991年5月3日生まれ。三重県出身 O型 おうし座 桃色。
一度聞いたら二度と忘れられない名前と、「言うほどでかくないがそこそこでかい」おっぱいを武器に、場所を選ばず大活躍。
日本テレビ「有吉反省会」、「24時間テレビ」、NHK「紅白歌合戦」への主演、大森靖子プロデュース楽曲の発表やゲスの極み乙女。の幕張ワンマンライブへのゲスト出演、はたまた週刊プレーボーイでの水着グラビアなど、ジャンルやメディアにとらわれず神出鬼没。
可憐なアイドルとは一味違う等身大の世界観は、自身が作詞作曲を手がける楽曲やライブパフォーマンスやトーク、文章を通していつの間にか観るもの魅了し、気付いたら頭の中は「ぱいぱいでか美」でいっぱい。
退屈な人生を送っていたが、ももちこと嗣永桃子さんに出会って以来人生桃色に。 休みの日はハロプロの動向をつぶさにチェック、もしくは動物園巡り。生涯ベリヲタ。
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