コンセプトミニアルバム『SEASONS』に込められた思い
──今回の「3ヶ月連続映像配信企画」のMVでは、モデルさんの活動を追うドキュメンタリーで、ミニアルバムのコンセプトは「恋愛」。一見するとHIP HOPシーンの中ではあまり見られない試みなのかな、と感じたのですが、そこには何か意図があるんですか?KLOOZ たしかにHIP HOPシーンの中では受け入れ難い試みかもしれないですけれど、逆にぼくはHIP HOPをどんどん外に、よりポピュラーな存在にしていきたいと思っているんです。だから、今回のミニアルバムに関しては、誰もが共感できる「恋愛」をコンセプトに選んだし、そこにさっちょのドキュメンタリーMVを制作することで、さっちょがHIP HOPに興味を持ってくれたように、もともとHIP HOPに興味がなかった人たちに、「KLOOZっていうアーティストがいるんだ」、「HIP HOPって面白いんだ」ということに気づいてもらえたらいいなと思います。
──今回楽曲のプロデューサーも、KLOOZさんにとってはじめてコラボされる方々だと思うのですが、これはどのように決められたのでしょうか?
KLOOZ ぼくはマッシュアップのように色々な要素を混ぜ合わせることが好きで、映像も楽曲に関しても、どんどん新しい要素を取り入れたいという気持ちがあります。だから今回はHIP HOPでないジャンルのビートにラップを乗せたくて、アーバンテイストとR&Bを混ぜた楽曲が作りたかったんです。そういう意味でSeiho、grooveman Spot、Takemoto Kenichiさんの3人にしました。
特にSeihoは、フリーダウンロードで公開してた楽曲「I Feel Rave」を聞いた時に、もう今回のコンセプトミニアルバムの企画にはSeihoしかいない! と思ってお願いしました。grooveman Spotは昔からHIP HOP系のサウンドを強めにやっている方なんですけど、一十三十一さんというアーティストに提供しているアーバンテイストな楽曲を聴いて、すごくよかったのでお願いしました。Takemoto KenichiさんはEXILEやSuperflyとかメジャーアーティストとお仕事をしている、完全にR&Bの楽曲を作っている方で、そんな方と一緒に何かやれたら面白いと思って頼みました。
Seiho - I Feel Rave (Official Video)
『SEASONS』では、より多くの人が聴きやすいようにラップしたので、HIP HOPの怖いイメージとかそういう部分も全く感じさせない「恋愛」の音楽を作りました。リリックも実体験を交えて書いていて、現実味を出せていると思うので、みんなに共感してもらえたら嬉しいですね。──ちなみに、コンセプトミニアルバム『SEASONS』にだけ収録されている4作目のMV「Make New World」はどのような作品になっているんですか?
KLOOZ 「Make New World」は〝ケンカをした後〟というのがテーマになっていて、1人になって昔の出来事を思い出すということをラップしています。それでMVでは、さっちょがこれまでの3作品で行った場所を、全部ぼくが周ることでそれまでの思い出を巡ってるような作品になっています。
及川 これがすごくエモい作品になってるんですよ。Web上で公開する予定はないですが、是非見て欲しいですね。
本当のテーマはさっちょを可愛く撮ること
──及川さんは映像を撮影する上で、KLOOZさんのそういう思いを意識されていたんですか?及川 意識してたことはさっちょを可愛く撮ること、それ一点です。
KLOOZ 正解です。
佐藤 やばい(笑)。
及川 KLOOZくんのアツい思いは多分頭の片隅にあって、でも映像としては、いかにさっちょを可愛く撮るか、いかに可愛いさっちょを撮り逃さないか、それだけを考えていました。
──KLOOZさんから映像を撮影する上で何か及川さんに意見したりすることはあったのでしょうか?
KLOOZ 喜怒哀楽を出したいみたいな話し合いは頻繁にしてましたね。だけど本当のテーマは及川さんの言う通り「いかに可愛くさっちょを撮るか」だったので、撮影に関しては及川さんに任せてました(笑)。
及川 今回は一つ一つの楽曲がしっかりとしたストーリーになっていて、KLOOZくんはより多くの人に届けたいから「恋愛」をアルバムのコンセプトに選んだ。だから映像としてできることは、MVを見た人をどのくらいさっちょに感情移入させられるかだと思っていたので、さっちょのすべてを撮り逃さないように、どのさっちょを見ても可愛く思ってもらえるように意識していました。
──ずっと撮影されて、映像を編集されていて、改めて気づいた佐藤さんの魅力ってありますか? 佐藤 えぇ、恥ずかしい(笑)!
KLOOZ それはいっぱいあるなぁ(笑)。さっちょには言ってないけど編集してる時に、レーベルのスタッフやマネージャーのみんなで「おれはこのさっちょがいいと思う」、「いや、このさっちょがいいね」とか言ってましたね(笑)。
及川 おれの事務所でも完全に同じことが起きていて、それぞれの好きなさっちょ選びとかやってました(笑)。
佐藤 やばい(笑)。
及川 編集してる時とか無意識にニヤニヤしてたみたいで、ほかの人に「気持ち悪い」って言われたりして。
佐藤 あはは(笑)。 及川 でも本当にさっちょは何もしてなくても、ただ立ってるだけでもすごくいいんですけど、たとえばエレベーター乗るだけでも変なことしてくれたり。
佐藤 違うんですよ(笑)!!! エレベーターの中に外の人から見えるカメラがあるじゃないですか? それでその視点で撮りたいからカメラ目線を下さいって言われたんですけど、カメラのある場所がわからなかっただけなんですよ(笑)。それを「変なこと」って言われて…。
及川 ほかにも2作目の「You Are...」での、車のイスを何回もカタンてさせてるところとか、最初はサービス精神でやってくれてるのかな、と思ったんですけど、ずっと撮ってたらどうやら違うぞということに気がついて、さっちょにしかできない行動や仕草をしてくれて、本当によかったです。
KLOOZ それが自然にできてるところがすごいと思いましたね。
佐藤 ありがとうございます。
──及川さんは今回の企画の中でほかのお二人と接した時間が一番長いと思いますが、改めて気づいたお二人の一面などはありますか?
及川 さっちょはたしかに面白いんですけど、ものすごく企画に対して真摯に向き合ってくれていて、最初はボーっとしている印象だったんですが、密着しているうちにすごくしっかりしていて、芯のある人なんだと思いましたね。
KLOOZくんは、大月さんがつくった映像をずっと見ていて、気持ちのいい人だなと思っていました。そのモニター越しの印象は直接関わるようになってからも変わらなくて、一緒に企画をやったことでKLOOZくんの人としての気持ちよさをより大きく感じました。企画の最中に困ったときも気持ちよく接してくれるのでKLOOZくんはぼくの心の拠り所でしたね(笑)。
KLOOZとさっちょがはじめて直接リンクしたジャケット
──『SEASONS』のジャケットでは、KLOOZさんの顔の部分に佐藤さんの顔があったり、限定版のジャケットでは、後ろから佐藤さんがKLOOZさんにいたずらしていたりと、KLOOZさんと佐藤さんが色んなバリエーションでジャケットになっていますが、これは何か意味があるのでしょうか?及川 今までMVで発表してきた3曲の配信ジャケットでは、MVの中のさっちょを切り取って、それに色をつけたものを使って、そうすることで統一感を出していたんです。それでアルバムのジャケットの話になったときに、KLOOZくんとさっちょを絡められたらいいなぁと思って。
KLOOZ そうですね。今までさっちょがジャケットになっていたので、いきなりぼくだけがジャケットになってしまうのも何か違うかな、と思っていて、ぼくとさっちょがリンクしたのは3作目の「Lack of Communication」のMVでさっちょがぼくのライブに来てくれたくらいだったので、今度は一緒に写りたいなって話をしていましたね。 ──佐藤さんはMVで密着されて、こうしてジャケットにまでなっていかがですか?
佐藤 今回の映像企画はすごくつくりこまれたコンセプトだったので、打ち合わせではじめて聞いた時から「本当にちゃんとできるのかな」というプレッシャーが正直ずっとありました。HIP HOPも元々聴いてなかったし、KLOOZさんのことも知らなくて、私のことを好きでいてくれている人たちやHIP HOPが好きな人たちが、私を受け入れてくれるのかな、という不安もあったけど、こうして無事すべて配信されて、私の周りの人たちやKLOOZさんの周りの人たちからの反響もよくて、本当に安心しました。
ジャケットに関しては、私がジャケットに写っていいのかなっていまだに思ってます…。だけどはじめて及川さんに撮影された謎の日からすると、こんなジャケットになることなんて考えてもみなかったから、すごく嬉しいです(笑)。 ──改めて「3ヶ月連続配信企画」が終わってみていかがでしょうか?
KLOOZ 結構探り探りの部分があって、撮影も最後までどうなるかという不安があったけど、うまく落ち着いてよかったです。さっちょ、自分、及川さん、みんなのいいところを出せたと思うので、さっちょのことが好きな人もぼくのことが好きな人も及川さんのことが好きな人も、みんなに楽しんでほしいですね。
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KLOOZ
MC/ラッパー
唯一無二のキャラクターで衝撃を与え続ける"Yasso!!"の愛称でもお馴染みのKLOOZ。2010年春にリリースしたMixtape"No Gravity"が音源のクオリティは勿論、BlogやTwitterなどをいち早く使った独自のプロモーション方法で反響を呼んだ。その後、映像作家の大月壮とタッグを組んだ画期的な映像ムーブメント"KLOOZ Movie Day"を開始、数々の豪華アーティストをも巻き込んだ実験的かつ革新的な10本の楽曲/映像を発信し、集大成としてまとめサイトをTumblr上で公開。そして、2012年12月に満を持してリリースしたDr. KことKREVAがトータルプロデュースした1000枚限定シングル"It's My Turn"は一瞬で店頭から姿を消し、その人気度が噂レベルだけではなかった事を実証し、初のオフィシャルアルバム"Decoration"をリリース。今後の動向に注目が集まっている。
http://ameblo.jp/klooz3156/
佐藤さき
モデル/DJ
独特の雰囲気と持ち前のファッションセンスで注目され、多数の雑誌のストリートスナップに掲載。その後、青文字系ファッション雑誌『Zipper』(祥伝社)にて、専属モデルとして活躍中。雑誌だけでなく、数多くのファッションイベントにも参加。またDJとしても活躍の幅を広げクラブイベントはもちろん、様々なレセプションイベントにも出演する。
http://asobisystem.com/satosaki/
及川佑介
ディレクター
映像作家の大月壮のもとで修行を積み、SKY-HIやLBとOtowaのMVを手がけてきた。2013年11月より始動したKLOOZによる映像企画では、モデルの佐藤さきに迫った3つのドキュメンタリーMVを制作。その独特の感性から作り出される作品には、さまざまな方面から大きな注目を浴びている。
http://yusukeoikawa.tumblr.com/
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